昨日、ジュンク堂書店三宮駅前店において、立岩陽一郎さんと対談。北朝鮮の非核化がテーマだった。書店始まって以来の大盛況ということで、さすが関西での「ちちんぷいぷい」の影響力ですね。

 

 この問題を議論すると、どうしても現在の韓国との関係をどうするかという問題にも行き着いてくる。昨日も、会場からの質問では、そういう種類のものが多かった。そこでお答えしたことのうち、近く執筆を開始する本に書いておこうと思う問題があったので、備忘録として。

 

 徴用工問題をはじめ日韓の歴史問題の解決策として、私は2つの種類にわけて考えないとダメだと感じている。中長期的な解決と当面の解決である。

 

 徴用工問題をとってみても、韓国にとっては当然の要求であろう。植民地支配という支配される側の体験をしている。かつそれを否定することが韓国憲法の大精神であって、しかもこの間の民主化によって、植民地支配時代に日本に協力した人々の犯罪を追求する国内法をつくり、それが目の前で進行している。韓国にとってみれば、そういう自分たちの考え方にもとづき、日本側にあれこれ要求をしてきている。

 

 一方、日本にとっては植民地支配はダメなことだったよねという曖昧なところでは大方が一致しても、それが犯罪だったというところでは日本国民の間でも見解が分かれる(分かれると言っても犯罪というのはごく少数だろう)。ましてや、70年前までの行為が犯罪だったという最近できた韓国国内法の考えを日本にまで適用し、日本企業に賠償を求めるようなやり方では、ほとんど同調する人はいないのが現状である。

 

 この関係は簡単には変わらない。安倍政権、自民党政権で変わらないというだけでなく、野党統一政権ができたところで一致点になる問題ではない。だから、この問題は議論をしていく必要はあるが、早急な解決は難しい。

 

 一方、このブログで書いたことだが、明治期の産業革命施設のユネスコの世界記憶遺産に登録する際、日本政府は韓国の同調を得るために、徴用工について「意に反して労働させられた」ことを表明した。それを記憶に止める事業をやることも約束した。

 

 だから、徴用工問題について、「すべて解決済み」と繰り返すのではなく、意に反した労働をさせられた人々に配慮して、それを記憶に止める事業を大規模にやることはすぐにできることだ。ユネスコにおける表明は安倍政権下でのことなので、安倍首相自身にもできることだ。

 

 そこで事態を落ち着かせ、静かな環境で中長期的な問題を議論していく。そういう二重の接近が必要だと感じる。(続)