何を連載にして、何を単独記事にしているのか、まったく基準はありません。今回、あまりいい別タイトルが見つからなかっただけ。

 

 いよいよ韓国による日本企業の差し押さえ資産処分が現実の問題になっている。菅官房長官などが韓国批判のボルテージを上げているようだ。

 

 私は、菅さんが言うように、韓国の司法が国際条約に縛られるとは思っていない。しかし、韓国政府が「司法の判断に介入できない」として傍観していることは、決して許されることではないと考える。

 

 いや、「司法の判断に介入できない」ということは、3権分立だから当然だろう。問題は、だからといって条約の当事者である行政府が黙って見ているのは許されないということである。

 

 韓国政府には締結した条約を遵守する義務がある。ところが韓国の大法院は、植民地支配の違法性を認めない条約は間違いだという認識に立って、今回の判決を下している。

 

 この時点で、韓国政府には、大法院と同じく条約には間違いがあるという立場に立つのか、それとも条約は尊重すべきものという立場に立つのか。それが問われているということである。

 

 条約を尊重すべきだという立場に立つなら、大法院判決で被害を受ける日本企業を救済する義務が生じることになる。資産が処分されるなら、その被害を補償する義務は韓国政府に生じるのではないだろうか。

 

 そうではなく大法院と同じく間違いがあるというなら、条約の改正交渉を日本に提起し、日本の態度を変えさせ、新しい条約をつくるために努力しなければならない。そうでないと、大法院判決を無視する不作為が問われることになる。

 

 後者の道は険しい。植民地支配された国がいっせいに旧宗主国に違法性を認めさせる条約を結ばせるくらいの世界的な大変動が求められるから。それだけのことを旧植民地諸国の先頭に立ってやる覚悟があるのかが、いま韓国政府に問われているということである。

 

 明日から土曜日まで出張。編集長やめて出張は減ったけれど、それでも月に一度は出かけなければならないんだよね。疲れるんだけど。