写真は散歩途中に出会ったお寺。高槻の中央図書館まで早足で歩いて35分で行けて、往復が1万歩になるので、ちょうどいい運動です。

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 韓国の徴用工問題に関して、「日本と韓国の企業、韓国政府による基金で賠償する」という案が浮上していた。それが現実的という人も少なくなかった。

 

 しかし、韓国大統領府の報道官が、「政府と韓日両国の企業が参加する基金という発想自体が非常識だ」とのコメントを出したと伝えられる。日韓の外交当局も基金案を議論していたが、大統領府によって中断を命じられたともいう。

 

 この問題が起きた時に書いた記事でも、現在のこの連載でも、私は基金案を肯定してこなかった。それは、韓国側の求めているものが、そんな程度のものではないと考えたからだ。

 

 だって、慰安婦問題でも、日本政府が全額を税金で支出して支払っているのに、それを受け入れないわけである。日本政府が一円も出さない基金案なんて、相手にされるはずがない。日本政府が全額を出す基金をつくったところで、慰安婦問題と同じ結果になるのではないだろうか。

 

 要するに、73年前まで日本が韓国を植民地支配していたことについて、当時から違法行為だったと認めろというのが、韓国側の最小限の要求なのだと思う。それをしない限り、韓国にある日本企業の資産を差し押さえるということだ。

 

 韓国の公権力が行使されたら、いくら日本企業が逆らっても、財産の差押えをやめさせることは不可能である。公権力というのは、その権力が行使できる領域内においては、絶対的なものだ。

 

 そういえば、もうかなり前のことだが、植民地から独立した国で、宗主国が現地に設立した企業を没収できるかどうかが議論になったことがある。その際も、宗主国の側は、そんな国際法は存在しないと抵抗したが、公権力を行使できるわけではないので、無理矢理没収された経緯がある。まあ、そうやって没収しても、企業をちゃんと運用できる能力が独立した国にはなかったので、ムダになったと記憶しているけれども。

 

 今回は、株式などの差し押さえなので、権力を行使した結果として韓国側が困ることはないだろう。日本企業が撤収を決断するリスクはあるだろうが、それよりも過去の清算にこだわるというのが、韓国側の姿勢なのだと思われる。

 

 まあ、よく考えてみれば、過去の植民地支配というのも、力を背景にして無理矢理押し付けたものだから、現在の韓国のやり方と似たようなものではある。100年後の報復と考えれば、筋は通っているわけだ。

 

 ただ、植民地支配が破滅的な結果をもたらしたように、現在の韓国のやり方も日韓関係を破滅させるように思われる。そういう破滅的な結論以外、何らかの解決策はあるのだろうか。(続)