「20年に一度誕生する全ての人の胸を打つSF感動作!」という紹介文に魅せられ、これはもう義務感で観なければと観ました。(笑)

 

幼い娘ハンナを病で失ってから深い喪失感の中にいる言語学者ルイーズが、政府の要請でエイリアンと接触し彼らのメッセージを読み解いて地球を救い、この経験を経てどう人生の選択をするかという物語。

 

原題はArrival。邦題“メッセージ”の方が面白い。宇宙からのメッセージ、我々はこれにどう対処するかを問う作品。

 

エイリアンといえば異形で恐ろしいと感じていたが、ここでは違う。人間より高い知性がある。これを言語学から解き明かすという知を感じる作品。そして、短命な子が生まれることを知りながら産む人間の尊厳さを知る。大宇宙の謎を感じる作品だった。“戦争なんか止めとけ”と思わせてくれる作品でした

 

原作:人気SF作家テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」に基づくもので原題は「ARRIVAL」、未読です。

監督:ドゥニ・ビルヌーブ、原作:テッド・チャン、脚本:エリック・ハイセラー、撮影:ブラッドフォード・ヤング、編集:ジョー・ウォーカー、音楽:ヨハン・ヨハンソン。

 

出演者:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ、マーク・オブライエン、ツィ・マー。

 

物語は

ある日、突如として地球上に降り立った巨大な球体型宇宙船。言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、謎の知的生命体との意思疎通をはかる役目を担うこととなり、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていくのだが……。(映画OMより)

 

70回アカデミー賞(2027)で作品賞、監督賞、脚色賞等8部門にノミネートされ音響賞を受賞した作品。

 

 

あらすじ&感想:

冒頭、癒しの曲「オン・ザ・ネイチャアー・オブ・デイライト」のなかで言語学者のルイーズが、亡き娘のいろいろな年齢のアンナと会話やゲームに興ずる映像のなかで、「これは“あなた”の物語。”記憶”って不思議。いろんな見え方をする。人は時の流れにしばられている」と呟く。これにハンナがルイーズに「嫌い」という言葉を吐く。ルイーズはこの言葉が耳から離れない!ルイーズは「これが最後よ」と少女に成長したハンナの頭を撫でて見送った。

始まりと終わりは存在しないのかもと思っていたが運命の日というものがある。例えば彼が現われた日」という。一体、誰が現れどう運命が変わったか?

 

〇ルイーズはエイリアンの声の分析を依頼され、現地に飛んだ。

ルイーズが教室で言語学を講義していた。ひとりの学生がPCで大ニュースを見つけた。「宇宙からの物体(シェル)が世界中に降りてきた」というニュース。ルイーズは講義を中止し帰宅した。上空で航空機の爆音がする。さらに「シェルは8時間動かない、全部で12隻、無人の可能性もある。ベネズエラでは暴徒化している」のニュースを聞く。

 

翌日、ルイーズは大学に出勤して国家非常事態宣言が発令されたことを知り、ウエーバー大佐(フォレスト・ウィテカー)に会った。大佐からバークレーで勤務し、2体のエイリアンの声の分析を求められた。しかし、雑音が多く分析不可能なため接触することが必要とコメントした。大佐は「今はその段階でない。サンスクリット語の戦争の意味は?」と諮問し、・・・・と答えると「身元検査を終えた」と帰っていった。

 

夕方、ルイーズが自宅で「ロシアと中国は情報を共有することになった。株価が暴落」というニュースを聞いていると、突然ヘリの爆音とともに大佐がやってきて急遽バークレー行となった。

 

このヘリ機には物理学者のイアン・ドナリー博士(ジェレミー・レナー)も乗っていて「文明を解くのは科学だ。2進法シーケンスが役立つ」と挨拶され、ルイーズは「数学の前に普通にエイリアンと話すべき」と答えた。

 

ヘリから見るシェルは縦型のアーモンド型で好奇心を持つとともにアートを感じた。

 

○最初の接触

到着すると歩きながらブリーフィングを受け、予防注射をいくつか打ち、オレンジ色の防護服を着て、さっそくエイリアンとの接触に向かった。

シェルは18時間ごとにドアーが開く。この時期を待って、一行は鳥かご(ガスと空気希薄度検知)を先頭にシェルに進入、シェル内は無重力だった。透明なバリアーに突き当たり、ここにカメラ・録音機材をセットしてエイリアンが現れるのを待った。

 

しばらくしてエイリアンが現れた。想像通りのタコの姿だった

 

ルイーズは興奮状態となった。会話をすることなく、録音のみで任務終了。本部に戻り入念な除染をした。

大佐はルイーズに「前任者よりうまく行った」と褒めた。「アメリカ全土で暴動が発生、ノースカロライナでは144人の逮捕者が出た」とニュースが流れた。

 

〇2回目の接触

ここでは“視覚言語が伝わるかどうか”を確かめた。「HUMAN」と書いたボードを示し「人類という生き物。私は人類、あなたは?」と聞いた。するとエイリアンが墨を吐いて空中に輪のような文字(円文字)を描いた。ルイーズは大興奮。「人類、人類」と叫ぶと円文字が変化し2つ円文字がゆっくりと変形した。

 

今回はこれで終了し分析に入った。この際、ルイーズが「急がば廻れ」と、急ぐとかってクックがオースラリア原住民に殺されたようになる、ゆっくりと時間をかけて4つの円文字の分析に取り掛かった。ここで明らかになったことは、襞は単語、これが円となり文章になる。次回は地球にやってきた目的を聞き、そして意識があるかどうかを確認することにした。

 

〇3回目の接触。

ルイーズはipadで円形文字辞書を作っていた。この辞書で「私はルイ-ズです」と示すとエイリアンが新しい円形文字を描いた。「意識はある」とルイーズが防護衣を取り顔を見せて素手をシールド壁に当てるとエイリアンも手を壁に当てた。その手はヒトデのようで星型だった。「よろしくね」と手を引くとエイリアンも引く。エイリアンも同じことをすることが分かった。

 

私はルイーズです。あなたの名前は?」と問うと彼等がふたつの円文字が描いた。ルイーズはこれに「アボット」と「コステロ」というニックネームを付けた。

 

本部に帰ると厳重な診察を受け異常のないことを確認して、収集した文字の分析を始めた。ルイーズはひとつひとつの襞にハンナが“虫”と遊ぶ姿、“川”遊びをする姿を思い浮かべながら文字を解読し、この文字が表意文字であることを突き止めた。彼等エイリアンをペプタポッド(7本脚のタコの意味)と名付けた。

 

イアンは数値分析により「文章に時制がない」と分かり「思考も同じだ」(サビア=ウオーフの仮説)と言い出した。ふたりはパートナーでよかったと喜んだ。

 

環境団体が暴動化しエイリアンをやっつけろ!」と騒ぐニュースが流れる。

 

ルイーズとイアンは文字の分析に熱中した

ルイーズはハンナが作ったストーリー“動物(エイリアン)と話すパパとママの絵”を見ていた。ルイーズが疲れて伏せているとイアンが「医者に診てもらったら」と診断を進めた。

 

ルイーズは室外に出て空気を吸ってハンナのことを思い出した。ハンナと一緒に寝た記憶とペプタポッドと話しているときの記憶が交互に現れた。イアンが「君は何語で夢をみるか?」と聞くとルイーズは「何度もペプタポッド語で見た」と答えた。

 

ウエーバー大佐が「訳してくれ」と中国軍の情報を持ってきた。中国はシェルの能力を測りかねていた。ルイーズは中国が数、文字、花、麻雀そして対戦ゲームで話をしていることを知り、「この方法では戦闘に繋がる」と危険性を感じた。

 

〇4度目の接触

ふたりのペプタポッドが現れ「WEAPONを提供」と円文字を書いて寄こした。これを持ち帰り検討、「武器の意味かもしれないが何かの取引かもしれない」と結論が出ない。WEAPONの解釈をめぐり世界中が混乱に陥った。軍は「(ウガンダのように)地球を対立されるためだ」とウエバー大佐に伝えた。中国は「武器を使う」と解釈している。

 

軍がシェルを爆破するとC4爆薬を仕掛けた

しかし、ルイーズは5分間の時間を貰ってペプタポッドに会い「WEAPONの提供?」と聞くと「技術・方法だ」と答えた。ルイーズは再度これを確認しようとすると何も答えないでシールドに手を当てた。ルイーズも手を置くと沢山の文字を放った。ルイーズは気を失った。爆発と同時にルイーズは彼等によってシェル外に放出され助かった。

 

これを機にシェルは地面から大きく離れて空中に浮遊するようになった。中国は攻撃することに決し各国もこれに参加するよう勧めていてきた。

 

イアンが、最後のデーターは爆発で乱れておらず、これを分析した

 

「祝杯しよう。データーは意外にスペースが多い。ここにあるのは12分割のメッセージだ、他の地域のものを知りたい」と言うが、もはやこの時点では中国・ロシアにその意志も通信手段もない状況であった。中国、ロシアの態度は冷戦時に戻ったのか?

 

○最後の接触

ルイーズが野外でシェルを観測していると突然個人用のシェルに収容されて「アボット」と「コステロ」のところに案内された。ルイーズはipadを持っておらず言葉で会話した。

「アボットは死の過程だ。ごめんなさい、本当に。お願い、他の地域にメッセージを送って欲しい」と要求した。すると「あなたには未来が見える」と言って来た。「何故地球にやってきたの?」と問うと「3000年後に人類を助けるために、我々には人類の助けがいる」と答えた。

娘の記憶が分からない、誰の子?」と聞くと「ルイーズは未来を知ることができる。WEAPONは未来を開く」と言って去って行った。このあとルイーズは軍隊とイアンによって救出された。

 

ルイーズは、ペプタポッドとの接触を通じて超能力者になり、彼らのメッセンジャーとして選ばれたのだった

 

ルイーズは未来のハンナと話していた

ハンナが「ママは私を捨てるの?」、「すぐ会うよ」とルイーズ。「ママは変わった」、「ママが余計なこと言った?」。「ママを怒っているのは病気のこと?」とハンナが病気を苦にするので「あなたは水泳でも何でもできる強い子よ」と抱いた。ルイーズは、このときイアンと結婚していた。

「ママ、なぜ私はハンナなの」と聞くので「前からも後ろからもHANNAHと読めるから」と答えた。“永遠に続く命でありますように”という意味だった。

 

ハンナはペプタポッド語で書いた「ハンナに捧ぐ」をハンナに見せ、「この言葉を書いて未来を見ている。読める?」と聞くと「ペプタポッド語が読めてなんになるの?」と聞いてきた。「彼らは時が流れると見ていないから」と答えた。そしてハンナの臨終を思い出した。

 

○宇宙船、地球から撤退

シェルの攻撃を怖れ軍は撤退を急いでいた。ルイーズはペプタポッド語でエイリアンの行動を考えていた。ルイーズはあるパーテーで中国のシャン将軍に会い「1年半前に君は凄いことをした、君は世界をひとつにした。決めたのは君が話す妻の最期の言葉だった」と言われたことを思いだした。ルイーズは将軍の携帯電話番号を聞き出し、対策本部の電話を借りて将軍に直接「戦争は勝者でなく未亡人をつくる」と電話した。

 

中国は緊急会見で武装を解くことを発表した。ロシアも情報を公開すると発表した。これを確認したかのようにシェルが地球上から消えた

 

○ルイーズの選択

湖畔のルイーズの自宅。ルイーズが「ハンナ、あなたの物語。彼等が消えて始まったの。この先なにが起こるか分かってもかまわない。どの時間も大切にする」とハンナを抱き上げた。そこにイアンがやってきてふたりでハンナをあやしている夢を見た。

 

イアンが「このさき人生が見えたら選択を変えるか?」と聞くとルイーズは「変えない」と返事した。彼は喜び「子供をつくろう」と言い出した。ルイーズは亡くなったハンナの記憶がよぎるが「イエス」と受け入れた。ルイーズは生まれてくる子の運命を知っていてもこの子に会いたいと決意した

 

まとめ:

なんとも知的な宇宙SFだった。エイリアンが文字を持ち、これで人類と交感できる。エイリアンが吐く煙がまるで筆で書いた円環になり、円環についた襞が単語で円環が文章だという発想、映像に魅入った。

 

エイリアンは蛸姿で狂暴という世界しか知らないから天地がひっくり返った。人間よりすばらしい生物がいるという宇宙観もう人類同志の戦争なんかやっておれない

 

エイリンによって伝えられる地球へのメッセージは「地球と協力したい」ということだった。しかし、その真意が伝わらず中国の軍人が先制攻撃をしようとし、また12個に分割したメッセージが地球各国のコミュニケーション不足で伝わらないという地球の弱点が露呈し、エイリアンとの交流は3000年後の地球人類の進歩に託された

 

ルイーズは未来・現在・過去が同時に進行するエイリアンの思考環境のなかで、生れてくる子が短命な運命であることを知りながら人間として母としてあえてこの運命を受け入れ結婚する選択をした。ここでは「人間の生命」「愛」など人間の尊厳が問われている

 

物語は時制を越えて進展するので混乱に陥る。オーブニングのルイーズのつぶやきがラストで回収されたときは腑に落ちたと思った。我々は大宇宙の中で生きていることを感じる作品だった。すばらしい!!

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