名作「猿の惑星」を観ていない。さらに本作は“完全なる新作”だという。それなら観ようと決めました。(笑)

ところが冒頭の「シーザーの死から300年後」という物語の設定(設想)が分からない!と言うことで当初物語に入れなかった。

 

初心者は「猿の惑星」リプート3部作「猿の惑星:創世記」「猿の惑星:新世紀」「猿の惑星:聖戦記」の最終作「聖戦記」(2017)の結末だけは押さえて臨んだ方がいいと思います。

 

ことが分かってくるととてつもない面白い話だった。当初映画「アバター」のような作品と思ったらいろいろなオマージュ映像が入り「風の谷のナウシカ」になってくる。(笑)

猿は時間とともに「人類の創世記」を巡るように進化し、一方人間は退化し野生動物化していく。猿の青年ノアが唯一人間として生存していた若い女性メイと出会い成長し、ふたりで猿の王国(キングダム)を崩壊させる話。猿の進化に視点を合わせ見る物語だった

 

この物語はこの結末では終わらない!次作が「人類と猿の共存を問う作品」となると思う。まさに現代の問題に直結するテーマになってくる。

 

監督:「メンズ・ライナー」(2014)ウェス・ボール、未見です。脚本:ジョシュ・フリードマン リック・ジャッファ アマンダ・シルバー パトリック・アイソン、撮影:ギュラ・パドス、美術:ダニエル・T・ドランス、衣装:マイェス・C・ルベオ、編集:ダン・ジマーマン ダーク・ウェスターベルト、音楽:ジョン・パエザーノ。

 

出演者:オーウェン・ティーグ、フレイヤ・アーラン、ケビン・デュランド、ピーター・メイコン、ウィリアム・H・メイシー、他。

 

物語は

「猿の惑星:聖戦記」から300年後の地球。荒廃した世界で人類は退化し、高い知能と言語を得た猿たちが地球の新たな支配者として巨大な帝国「キングダム」を築こうとしていた。若き猿ノア(オーウェン・ティーグ)は年老いたオランウータンから、猿と人間の共存についての昔話を聞かされる。

ある日、ノアは人間の女性と出会う。その女性は野生動物のような人間たちの中で誰よりも賢いとされ、猿たちから狙われていた。彼女と一緒に行動することになったノアは、本当の人間を知るうちに、キングダムに違和感を抱き始める。(映画COMより)

 

 

あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

冒頭、ヴィールスが猛威を振るい激変した地球では人間の世界は荒廃し猿のシーザーが地球の支配者となった。そのシーザーの死を火葬で送るシーンから物語が始まる。猿が“火葬“する、これだけでも大進化だ!

 

シーザーの死から300年の世界が始まる

 

イーグル族の青年ノア、アナヤ、女性のスーナは3人の絆を確かめる儀式のためワシの卵を獲りに森に入った。

儀式とは3人がそれぞれ一つの卵を獲り、持ち帰ってひとつの巣で3つの卵を育て成鳥にする。彼らは森に入り、一つ目の巣には3個の卵しかない、ひとつ残して、険しい絶壁を這いあがり別の巣を捜す。ここでは枯れ木を道具にして巣に近づく。自然を破壊させない工夫と道具を使う

 

これだけでも凄い進化だ!ここからまだまだたくさんの進化を見る。何を見せられているのかと眠くなるから要注意です!(笑)

 

彼等は帰り道、トンネルに差し掛かった

これから先はエコーの世界(人間)として立入禁止。ところがここに馬が繋がれていた。彼らは馬で村に帰ってきた。持ち帰った卵を見てノアの父コロ(ニーナ・サンディランズ)はその勇気を称えた。長老が馬についていた布の匂いに疑念を持った(人間の匂い)。

 

彼等はワシで漁をし、魚を干して、食べる。これを他人に分け与える

 

夜、火を焚きながら、ノアが寝ているとエコーが近づいてくる。ノアは慌てて卵を抱え込み潰してしまった。朝、スーナ(リディア・ベッカム)から「今日の絆の日は延期にしよう」と言われた。スーナの判断も人間並みだ!

ノアはひとり森に入り卵を採取した。その帰り、トンネル付近で面を着けた武士団に会う。死体が転がっていた。ノアは慌てて家に帰ると村が襲われ、父は「シーザーのためだ」とノアを逃がした後、殺された。ワシのサンを空に放った

 

ノアは「必ずイーグル一族を見つける」と馬に乗り旅に出た

立入禁止のトンネルを抜けた。そこは廃墟となった人間の街だった。母ターが着けていたショールが堕ちていた。サンが上空から見守っていた。夜は火を焚いて眠った。朝、歩き出すと仕掛け穴に落ちた。(笑)

 

罠はオランウータンのラカが設けていたものだった。(笑)

ラカ(ピーター・メイコン)はノアから村が乗っ取られた話を聞き、「そいつはマスクたちだ」と言い、「生きのびるためにはこの本を読め!知恵がいる」とシーザー本を勧めた。ラカは「シーザーは人間から学んだ。人間はここにいる。人間はゴミを漁るが、人間とエイフは共存していた。人間はシーザーにとってとても大切だ。案内してやる」と歩き出した。

 

夜、焚火をしていると若い女が近づいてきた

若い女はラカに懐いて居た。ラカがノヴァ(フレイヤ・ノーラン)と名付けた。「賢い奴だ!」と言い、ノアに「母のショールをやれ」と言うが、ノアはその気になれなかった。

朝、人間が放置した天体望遠鏡を発見した。ラカは「光のトンネルだ」と説明した。ノヴァがこれを覗く!ノアはこの行動に驚いた!ラカが「この女は使える。強力な武器だ」と馬を与えた。

 

水飲み場に着いた。人間がシマ馬の一緒に水を飲んでいた。ノヴァは「シーザーの教えに従いここで人間になる」と言い出す。ラカは身に着けていたシーザーから受け継いだペンダントをノアの首に着け、ノアと別れることにした。

 

人間と一緒にいたラカとノヴァ。そこにゴリラの軍隊(シルヴァ)が襲いかかる

「帝国の王プロキシマス・シーザー(ケビン・デュランド)にこの人間を見せる」と捕獲にきた。大草原にノヴァが逃げ込んだ。ラカとノアでノヴァを救い出し、逃げ切った。

 

ノヴァが「私はメイだ。シルヴァの居ることろが人間が居るところだ。そこに行く。場所を知っている」と言い出す。ノアは「一緒に行く」と母のショールを譲った。

 

急流に掛けた橋を渡る

シルヴァに先回りされていた。網を掛けられ捕られた。ラカが急流の中に消えて行った。

 

ノアとメイは巨大な防波堤を持つ砦に連行された

 

ノアはエイブたちの収容所所に、メイは人間の部屋に収容あれた。ノアは母のター、アナヤ、スーナと会うことができた。しかし、ターが「餌をくれる」と喜ぶ姿に「奴隷にされている。シーザーの教えに反する」と違和感を持った。一方メイは同室の人間の男性トレヴェイサがいた。そして沢山の本があった。彼のプロキシマスに寄生した生き方に義憤を感じた。

 

朝、ラッパが鳴る。捕らえられたエイブたちが集められ、プロキシマスの号令で岩山に取り付けらた巨大な扉を開くために、掛けられた綱を引かされるどんなに引っ張っても開かない。そこら中に血痕が飛び散るという厳しい作業を強いられていた。

 

プロキシマスはメイに貯蔵庫(人間の残した武器などの格納庫)の扉を開ける協力を求めた

ノアは「メイから貯蔵庫に入る方法を聞け」と命じられた。ノアがメイを尋ね「読んだ本は何だ?」と聞くと「人間が残した遺産。これを取り戻して使える」と答えた。これを聞いたトレヴェイサンが「何も変わらない!」と止めに掛かった。メイはトレヴェイサンの首を締めて殺し、海に投げ捨てた。これを見たノアは「メイと共にプロキシマスを倒す」と決意した。

 

ノアはアナヤとスーナをメイに紹介し、絶壁を伝って砦の上に出て上からの入口を捜すことを勧めた。

4人が絶壁をよじ登った。そこに穴があった!ここから貯蔵庫に侵入した。ノアたちは人間が残した本を見た。自分たちの先祖が檻に入れられた絵があった。人形もあった。

 

メイはコントロール室に入り、ボタンを押した。巨大な扉が開いた

そこにプロキシマスが入って来る。メイはもう一つのボタンを押した。大堤防が吹っ飛び大量に海水が流れ込んでくる。まるで津波だ!

メイは制御プログラムのハードディスクを取り外して退避した。ノアと仲間は貯蔵庫に入って来るイーグル族を上層階に誘導した。

 

全員が崖(貯蔵庫)のテラスに逃げ切った

そこにプロキシマスが怒り狂って攻め込んできた。ノアが“ホ~ホ~”と唇を震わせる。イーグル族の皆がこれを真似る。大軍のワシが集り、プロキシマスを海に投げ捨てた。

 

ノアは村に戻り、破壊された村の再建を始めた

メイは地下の研究室に制御プログラムハードディスクを渡した。これが作動し天体望遠鏡が作動し始め、他の惑星との交信が始まった。ノアたちも覗いていた。

 

メイは拳銃を隠し持ってイーグル村を尋ね。ノアはに会った。ノアはラカから譲り受けたペンダントをメイに譲り「シーザーは正しかった。エイブと人間は共存できる」と話した。メイはしずかに去って行った。

 

まとめ

設想が受け入れられれば痛快なSFアクション物語だ!猿の進化、ノアの成長と家族の物語だった。オーストラリアでロケ撮影したという、美しい壮大な絵物語となっていた。

冒頭の大森林内での猿のタカ卵採取行動、激流の橋梁でシルヴァ軍に追われ網にかかるシーン、ラストの大堤防の砦の戦い。しっかり楽しめた。音響もすばらしかった。

 

猿の進化を追うのが楽しい。彼らの動作・表情が生き生きとしていて、これには驚いた。アバターよりリアリティを感じた。

 

人間と猿は共存できるか。メイは何者か?制御プログラムハードディスクで人間たちが生き返ってくる。ノアがメイによって得た体験はいかほどの進化をもたらすか。

この先を描くことで、民族対立が激化する今の世界にメッセージが届くと思っている。続編を期待する。

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