デヴィッド・フィンチャー監督作品ということで、予備知識なしで、WOWOWで観ました。

原作はギリアン・フリンの全米ベストセラー小説。出演者はベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キャリー・クーン、キム・ディケンズらです。ロザムンド・パイクは本作で第87回アカデミー主演女優賞を受賞しています。

 

物語は、

幸福な夫婦生活を送っていたニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。

警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進めるが、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる。

エイミーはなぜ失踪したのか、殺されたのか? 捜査が進むなかでエイミーの計画的な失踪が浮かび上がってくる。そして、・・・。

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ミステリーとホラーが幾重にも重なる奇妙な夫婦の物語、こんな夫婦が居るのかと仰天、とても面白く楽しめました。

これほどの激しい夫婦喧嘩、ミステリー/サイコスリラー映画とカテゴライズされていますが、ブラック・コメディーだと思いました。() 

 

この夫婦喧嘩、ここまでやると“ぎょと”しますが、「結婚にはこんな想いもある」と夫婦なら覚えのあるもの。これが面白さの肝でした!!

キャッチコピーの「本当に大切なものはいつも、失くして初めてわかる」というのとは違っている。

過激な報道が事件の行方に大きく関わる展開は、まさに今の世界、大きな社会性を感じます。

 

監督特有の深みのある映像に、ロザムンド・パイクがその魅力を最大限に見せてくれ、たまらない作品でした!

 

 

あらすじ&感想:

〇妻エイミーの失踪。

夫ダンが「いつもその頭を思う。愛しい骸骨を開いて頭脳を解きほぐし答えを知りたい。結婚の基本的な問い、“何を考えているのか?“”どう感じているのか?“”俺たちはどうしたんだ“」と妻の髪を撫でる夢から覚め、妹マーゴット(キャリー・クーン)が営んでいる「ザ・バー」で出掛け、バーボンを口にして「今日は結婚記念日、5周年だ」という。

 

妻エイミーに対するダンの不満は何なんでしょうか?

 

ダンは「人生ゲーム」をしながら5年の結婚生活を反芻し、「何をプレゼントしようかな?」と、自宅に戻りと部屋の中が荒らされ妻が居ない。

驚いたダンは警察に届け出ると、女性刑事のボニー(キム・ディケンズ)と警官デヴィッド(パトリック・フュジット)がやってきて自宅を捜索したが、部屋が荒らされている以外に異変が見つからなかった。ダンが妻の血液型をしらないし「エイミーが昼からワインを飲む」など奇妙な生活をしていることからボニー刑事は、ダンに疑いを持った。

 

エイミーの両親を伴って記者会見して妻の捜索協力を訴えるが、エイミーはハーバード大出の英才で児童文学書「エイミー」の著者して知られており、ニュースで事件を知った市民から「何があったのか?」とダンが非難され始めた。

 

エイミーの両親は「エイミーには高校2年生のときデジーという男にストーカーされたことがある。いまはセントルイスにいるはずだ」とダンを庇った。

 

エイミーは失踪するまでの結婚生活、夫への想いを綴った日記を残していた。そこには、エイミーのダンに対する激しい怒りと浮気相手の女に対する嫉妬が書かれていた。

「ダンは小説家で、ニューヨークのあるバーで出会い、ともに作家であり、直ぐに恋に落ち2年の交際を経て結婚した。Ⅰ~2年はとてもうまくいったが、ダンの母が癌に倒れたのを機に、エイミーは“ミズリー人になる”と移住したが、田舎暮らしは彼女にはきつかった。

 

不況でふたりとも執筆依頼がなくなり経済的に苦しくり、ふたりの関係は次第に冷えていき、短大で文学を教えるダンは女学生と逢引する始末。

このピンチを乗り切ろうとエイミーは子供を作ろうと言い出すが、ダンが猛反対しエイミーを突き飛ばしてした。エイミーは身の危険を感じ銃を持つことを考えた。」

 

ボニー刑事がこの日記を、エイミー失踪後2日目に手に入れた。

 

血液検査で妊娠反応が出るし、血液が床一面に付着しこれをふき取った形跡があり、さらに、家賃の支払い、貯金通帳、「ザ・バー」と車の所有者がすべてエイミー名義で、エイミーの死亡保険が増額に改契約されていた。

 

ダンは捜索ボランテアの集まりで妻の早期発見協力を訴えるが、逆に怪しまれる。「身籠った妻をどうした!」と非難の声が上がる。ワイドニュースでダンの不注意で取られたペア写真が話題になる。

さらに、女学生と自室で密会しているところを妹マーゴットに見られ、責められる。

 

日記を読み終えたポニー刑事は闇市でエイミーが銃を買ったことを掴んだ!

デヴィッド巡査が「逮捕したら!」と勧めるが、ポニー刑事は「遺体が見つかっていない!」と監視を続けることにした。

 

ダンが殺したのか?しかし、ダンに殺すだけの勇気(風貌で)があるかな?と思っているところに、次のシーンで唖然としました!! 

 

 

〇おっとどっこい、エイミーは生きていた。

エイミーは「あの日記は夫を殺人者に仕立て刑務所に送るための手順書」と呟きなから、安く買った車を走らせていた。()

 

ところが、彼女の計画に予期しない狂いが出てくる。

 

エイミーはモーテルでダンが殺人者として捕らえられるのをTVでチェックしながら過ごすつもりだったが、持ち金全部を隣室の男女に奪われた。エイミーはダンに暴行されたように装い、かってストーカーされたデジーを訪ね、豪華な別荘に匿ってもらう。デジーはエイミーが手に入ったと大喜びした。

 

一方、ダンはエイミーの芝居だと気付き、殺人者にされると分かった。そこで、この種事件専門の弁護士ボルト(タイラー・ペリー)を雇い、TVでエイミーの陰謀を訴えることにした。しかし、直前に交際していた生徒がTVで不倫事実を告白したためダンは不利な状態に追い込まれたが、作戦を変えて不倫を認めて「妻への敬意を忘れていた。帰って欲しい」と訴えることにした。

 

 

エイミーはダンの謝罪会見を別荘で観た。警備の厳しい別荘でデジーと一緒に暮らす気などさらさらない彼女は「これで元に戻れる」と、デジーをレイプ犯人に仕立ててここからの脱出を図る。テジーをベッドに誘い首を切って噴き出す血を全身に浴びるという陰険極まりないもの!

 

ダンの謝罪報道後も、エイミーの母の「ダンへの愛は消えた!」の発言で、市民のダン批判は一層厳しくなり、住宅は報道陣に囲まれていた。

 

ポニー刑事がらエイミーを撲殺した凶器が見つかったと出頭を命じられるが、そこに全身血まみれのエイミーが車で戻ってきた。

エイミーは「デジーにレイプされ」と無実を訴えた。巧みなエイミーの答弁にポニー刑事もボルト弁護士も太刀打ちできなかった。TV報道で煽られた市民の圧倒的なエイミー支援の声が後押しした。

 

〇元の鞘に収まったふたり。

エイミーはシャワーで血を洗いながら「私は戦士よ、戦ってあなたのところに戻った。あなたが懇願したから」と何もなかったように喋る。ダンは事態が収まれば出て行くつもりだった。しかしエイミーは「あんたのために殺したのよ、平凡な女ではダメでしょう!」と応じない。

 

エイミーが家に戻ってから7週間後、彼女は「預託していた精子で妊娠した」と告げる。ダンが「クソ女!なんで苦しめる!」と言えば「これが結婚よ!」と応える。

ふたりはTVのインタビューに答え「子供が出来た、いい夫婦になります!」と宣言した。TVをうまく利用したエイミーの作戦勝ちのようなTV会見だった。

 

めちゃめちゃの夫婦像ですが、「これが結婚よ!」と言われると全面否定できないところが憎い! この物語のテーマは何だったでしょうか。()

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