茶多令夫人の恋人 | 松ボックリのブログ

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 獅子戸岳で昼食を採って次の新燃岳に向かう。新燃岳は釜の底のあちこちから硫黄の湯煙が立ち昇り、風に乗って東に流されて噴火口の底まで見渡せた。

遠足で来た時は新燃岳のなだらかな斜面は「深山霧島」が群生する素晴らしい眺めだった。他の斜面は部分的に新燃岳噴火の硫黄で年々枯果て灰褐色の立ち枯れ状態になっていた。

緩やかな斜面に咲きこぼれている灌木の「深山霧島」は背が低く、花は天然自然の花と思えないほど濃艶で色とりどりに変化して、紅ツツジより小さい。

中岳を過ぎると高千穂峰の全容が見える。高千穂峰を背景に深山霧島の群生の中に立って「お願いします」とシャッターを切って貰った。美しい三角錐の山容。赤い山肌。山裾から燃え立つ草花の緑、赤い山肌の稜線と谷間の黒い影は色彩画のように鮮やかに映っていた。

それから最後の高千穂峰に登る。火口まで登ると外輪山の縁が砂地になっている処があって一歩進む毎に足が後ろにずれて疲れる。やっとの思いで外輪山の一番高い処にたどり着いた。

しばらく休憩して御池を目指して獣道の様な急な自然歩道を降り、高原駅に向かった。黙々と歩いて、あっという間に高原駅に着いた。アオイ達はコイツと呼ばれた男と宮崎市行きのJRに乗って、広島に帰る他の二人と別れた。

電車の中ではコイツとの会話は一緒に霧島高原縦走破した続きで角が取れて和気あいあいと話した。

日本で貴族の地位が「どうのこうの」と言うのはいささか滑稽であるが、祖父が子供の頃、下級貴族が軍人将校を占めていた関係上、秩序(栄辱)を教え込まれていた。