なんで加給年金が終わる時に配偶者の老齢基礎年金に加算したりするのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
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こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
まず、ちょっとお知らせなんですが、有料メルマガ記事もそろそろ300記事+号外記事と書いてきたわけなんですが、過去の記事(2017年10月創刊)以降の記事を令和5年4月以降の法律と数字に書き直して、記事内容も改訂する部分は改訂して別枠でのメルマガで発行していく予定です。
 
毎週日曜日20時に毎週発行する予定です(価格は440円を予定)。
発行時期は6月4日からと考えていますが、6月分は初月無料とします。
 

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5月24日の第295号は働いた事で受給中の遺族厚年の計算式が変化する時と、障害基礎年金を受給できる時。
 
(内容)
1.遺族厚生年金の2つの計算
2.働いてる最中に年金額が変わり、計算式が変わる。
3.妻が働いていて老齢厚生年金が増加した時に…
4.B子さんが障害基礎年金を貰える人だった場合。
 
でお送りします。
 
途中で登録しても、5月に発行した記事はすべて読む事が出来ます。
 
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では本題です。
 
 
厚生年金期間が20年以上ある夫(妻)が65歳になり、その時に65歳未満の生計維持している配偶者がいると、夫(妻)に配偶者加給年金という加算が付く事があります。
 
年額397,500円(令和5年度価額。67歳までの人と68歳以降の人で違いなし)なのでなかなか貴重な年金となっており、年金受給者の人は関心が高いです。
 
 
 
とはいえ加給年金が一生加算されるわけではなく、配偶者が65歳になると消滅します。
 
 
 
配偶者が65歳になるまでの有期年金となります。
 
 
 
ちなみに、仮に夫が65歳になって自分自身の老齢厚生年金に配偶者加給年金が付くという時に、妻がすでに65歳以上であると配偶者加給年金が付く事はありません。
 
 
 
なので、結婚するなら年下がいいという声もあったりします。
例えば10歳以上の年下の人と婚姻して、将来は配偶者加給年金をたくさん貰うという野望を抱く人も居ます(笑)
 
 
ちなみに、なぜ65歳になると配偶者加給年金は消えるのかというと、配偶者が65歳になると国民年金から老齢基礎年金が支給されるからです。
 
 
65歳からは少なくとも老齢基礎年金がどんな人にも支給される年齢になるので、老齢基礎年金を貰うようになったらもう家族手当としての配偶者加給年金は支給する必要は無いだろうという事ですね。
 
 
また、配偶者が65歳前から20年以上の期間がある厚生年金を貰えるようになったら、その時にも配偶者加給年金は全額停止してしまいます。
 
 
なお、夫(妻)に配偶者加給年金が加算されてる時に、配偶者が20年以上の厚生年金期間のある(共済期間含む)厚生年金を受給できるようになると夫(妻)の配偶者加給年金は全額停止します。
 
令和4年3月31日までの仕組みだと、配偶者が20年以上の厚生年金を貰い始めても、それが在職中とか失業手当受給中でその厚生年金が全額停止した場合は、夫(妻)の配偶者加給年金は全額停止しませんでした。
 
しかし令和4年4月以降からは20年以降の厚年期間のある配偶者の厚生年金が全額停止したとしても、夫(妻)の配偶者加給年金は全額停止したままになる事になりました。
ちょっと配偶者加給年金への制限が厳しくなったのですね。
 
 
さて、配偶者加給年金への関心は高いですが、同じくらい有名なのが振替加算という加算金です。
 
 
 
例えば夫に加給年金が付いていた場合に、妻が65歳になると妻の老齢基礎年金に振替加算という加算が妻の生年月日に応じた額が加算されます。
 
 
夫の加給年金から妻の老齢基礎年金に振り替えられるので、振替加算といいます。
 
 
なお、振替加算は「昭和41年4月1日以前生まれの配偶者」にしか付く事はありません。
 
なんで昭和41年4月1日以前生まれの人だけそんな優遇してるの!?許さん!って思いますよね。
もちろんそれには理由があります。
 
 
これは昭和61年3月31日までのサラリーマンの専業主婦の取り扱いが関係しています。
 
 
例えば昭和28年度生まれの専業主婦の人だったら、昭和61年度時点で33歳になります。
 
 
 
サラリーマンの専業主婦って昭和61年3月31日まではどのように取り扱っていたでしょうか?
 
 
そう、国民年金には強制加入させなかったんですね。
 
 
 
なぜサラリーマンの専業主婦は強制加入させなかったかというと、夫が加入する厚生年金で老後の「夫婦」の生活費の面倒を見る制度だったからです。
 
 
夫の厚生年金で老後の夫婦の生活費の面倒を見るから、わざわざサラリーマンの専業主婦に国民年金強制加入させる必要は無いよねという事で加入させていませんでした。
 
あと、もし夫が途中で亡くなったら夫が受給していた厚生年金から遺族年金を出して、その遺族年金で妻が終身受給してれば夫死亡以降も妻の生活が保障されたのです。
だから、専業主婦を国民年金に無理に加入させませんでした。
 
 
ところが、そのような専業主婦も昭和61年4月からの改正で、国民年金強制加入にしました。
 
専業主婦も国民年金に強制加入にしたから、将来は専業主婦の人の名義で年金が貰える事になりました。
 
 
65歳になれば国民年金(老齢基礎年金)が自分の口座に振り込まれるようになったわけです。
 
 
 
その国民年金は20歳から60歳までの40年間保険料を支払った人は、満額の795,000円(令和5年度満額。67歳年度末までの人の場合)を支払いますよという事になりました。
 
 
昭和61年4月からの改正で、20歳から60歳まで強制加入して保険料を支払えば満額の老齢基礎年金が貰える。
 
 
 
専業主婦も65歳から老齢基礎年金が貰えるようになったから、夫に付いていた配偶者加給年金397,500円は不要だろうと。
 
(昭和61年3月31日までの旧年金制度は一生夫に加給年金が加算されました)
 
 
 
 
うーん…じゃあ先ほどの昭和28年生まれの人は昭和61年3月までは年金に加入してなかったけども、昭和61年4月から強制加入させてもその時点で33歳なのに、60歳まで頑張って強制加入しても27年間しか保険料支払えませんよね。
 
 
 
40年で満額なのに、いくら頑張っても27年分しかもらえない。
始めからサラリーマンの配偶者でも国民年金強制加入にしておけばそんな問題は生じなかったんでしょうけど、国の都合で加入させてなかっただけなので配偶者本人には責任がありません。
 
 
 
老齢基礎年金が貰えるようになった代わりに、配偶者加給年金は消えましたけど27年分の年金にしかならない。
 
 
本人の責任ではないので、じゃあどのように老齢基礎年金の低下を補うか考えたわけです。
 
 
 
 
そこで、先ほどの昭和28年生まれの妻であれば、20歳から33歳まで加入していなかった期間に応じた配偶者加給年金の一部を振替加算として支払おうという事になったわけです。
 
 
ちなみに配偶者加給年金本体は397,500円ではなく228,700円(令和5年度価額)が本体であり、168,800円は特別加算として加算されています。
 
 
 
この228,700円に生年月日に応じた率を掛けて振替加算を支払っています。
 
 
 
もう一つの理由は、昭和61年4月から妻に支払う老齢基礎年金よりも、消滅する事になった配偶者加給年金の額のほうが多くなる場合が生じる事を防ぐためでもありました。
 
こちらが振替加算を作った本当の理由ですね。
 
 
 
例えば昭和16年4月2日生まれの妻が、20歳時点でサラリーマンの夫と結婚したら国民年金に加入する必要はなかったわけですが、昭和61年4月から強制的に加入させられた時点では妻は45歳になってますよね。
 
 
 
45歳から60歳まで保険料納めたら、老齢基礎年金額は795,000円÷40年×15年=29万円ほどになりますよね。
 
 
でも夫に付いてる配偶者加給年金は39万円ほどだったら、妻が65歳になった事で39万円が消えて、妻には老齢基礎年金29万円が支払われるようになりますよね。
 
 
 
そうなると世帯収入は、妻が65歳になる事で10万円減る事になります。
 
 
 
年金というのは65歳前の年金額より、65歳以降の年金が減ってしまう事を嫌う場合が多いため(既得権の保護をしたい)、65歳前より減らないように配慮される事があります。
 
 
なので、先ほどの妻の老齢基礎年金29万円に振替加算136,860円(令和5年度価額。この妻の生年月日による)を加算する事で、65歳前以上の年金となりました。
 
※加給年金と振替加算額(日本年金機構)
 
 
このように加給年金よりも、妻の老齢基礎年金が減ってしまう場合があるために振替加算を作ったという事ですね。
 
 
というわけで年金には一見不公平そうに見えるものもありますが、それには往々にしてワケがあるのであります。
 
 
では本日はこの辺で。
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5月24日の第295号は働いた事で受給中の遺族厚年の計算式が変化する時と、障害基礎年金を受給できる時。

5月31日の第296号. 障害年金もらってるのに傷病手当金調整されない事例と誤診からの障害年金計算。

6月7日第297号.少子化と年金とその重要な背景。

6月14日第298号.旧民主党時代に煽られた年金不安とそれに伴う年金の繰上げブームと、繰上げ年金事例。

6月21日第299号.手取りの年金額は毎年の社会保険料に左右されやすい事と、8月と10月に起こりやすい調整。

5月3日の第292号.国民年金保険料の前納の重要な仕組みと事例、そして年金受給後に任意未納分の納付をする時。を発行しました。

5月10日の第293号.既に何らかの年金を受給中に別の年金が発生して重複した場合と、年金が過払いされた時。を発行しました。

5月17日の第294号は65歳前の特老厚受給者が遡って障害年金を発生させた場合と、障害年金自体はもう停止された人。

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▼4月に発行した記事
4月5日の第288号.年金貰うのを遅らせると年金が増えるけども、今の制度の前の2度の繰下げ制度事例比較。

4月12日の第289号. 新しい繰下げ制度による令和5年度からの新しい仕組事例と、80歳を超えてしまった時等。

4月19日の第290号. 60歳から65歳まで貰う老齢年金は何が「特別」かという点と、それに至った最重要過程。

4月26日の第291号.厚年期間が1年に満たない人の4パターン事例と、全額税金で救うしかなかった障害者の人への改善。

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本当にありがとうございました!(7年連続受賞)

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