9月は厚生年金保険料を算出する時に使う標準報酬月額が変更される時期。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは!

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
・まぐまぐ大賞2021語学資格部門2位と知識ノウハウ部門3位のダブルで頂きました(6年連続受賞)
本当にありがとうございました。
https://www.mag2.com/events/mag2year/2021
 
 
先に8月31日の有料メルマガ記事ご案内です。

8月31日の第257号.「そもそも退職しなければ厚生年金は貰えない年金だったのに、貰えるようにした歴史と在老計算事例」。

・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(月額770円税込み毎週水曜日20時にメルマガ発行)
まぐまぐ大賞2020・2021受賞。
途中で登録されてもその月の発行分はすべてお読みいただけます。

https://www.mag2.com/m/0001680886

 

 

 

令和4年4月から在職中の年金受給者への年金停止の基準が緩和されて、随分と在職中の年金は貰いやすくなりました。

高所得者ラインの人でなければ年金停止される事はほぼ無くなりました。

今現代は在職中でも年金が貰いやすくなりましたが、そもそも厚生年金って在職中の人には全く年金を支払わないのが当たり前でした。

なんで在職中の人に年金を支払わないといけないの?というくらい厳しめでした^^;


これは厚生年金ではなくて共済年金にも当てはまりました(在職中の年金停止に関しては共済のほうが厳しかったです)。


在職中なら一切年金は支払わないというのは今の時代なら非難轟轟になりそうですが、どうしてそれが当然だったのでしょうか。

そして、「在職中は全く厚生年金を支払わない」というその考えを少しずつ改めて、どうして在職中でも年金を出していく方向に傾いたのかという非常に在職老齢年金制度を考える上で重要な点を考えていきましょう。


257号はいつもよりやや長い記事になってしまったのですが、重要な部分なのでぜひ読んで欲しいと思います。


(内容)
1.昔、老齢の年金受給権があるのに働いてる人にはそもそも年金は支払われなかった。
2.昭和40年から在職中の65歳以上の人に年金を支払うようになった。
3.高齢者雇用を進めたかったから年金の停止は緩和していった。
4.給料高すぎて年金が全額停止事例。
5.65歳以上の在職老齢年金と遺族厚生年金との関係。



月の途中で登録された場合は、253号から256号までの記事が即座に送信されます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
では本題です。
 
そろそろ9月になりますね。
ここ数年間の暑さは、しんどいものでしたがこれから秋になって涼しくなっていくのが嬉しいです^^
 
ちょっと台風は気になりますけどね。
 
さて、気になるのは気候だけではありません。
 
もちろん年金も気になる頃です。
 
 
9月というと、標準報酬月額が変化する時だからです。
 
それが何?と思ってしまいそうですが、サラリーマンの方は他人事ではなく自分事であります。
厚生年金保険料というのは、厚生年金保険料率18.3%を事業主と社員で折半して支払っています。
 
折半するって事は、18.3%の半分の9.15%を支払うって事ですね。
 
 
じゃあこの保険料率をどこに掛けるのかというと、さっき言った標準報酬月額に掛けて徴収するわけです。
 
で、9月というのはこの標準報酬月額が変化する月なので、徴収する保険料額も変化してくる人が出てきます。
 
 
例えば標準報酬月額が40万円だった人は、40万円×9.15%=36,600円の厚生年金保険料が天引きされています。
ところが9月から標準報酬月額が40万円から45万円になったら、45万円×9.15%=41175円に天引き額が変更する事になります。
 
逆に標準報酬月額が下がる人は、天引き額が下がる事になります。
 
 
なので、9月に標準報酬月額がどう動くかで、10月以降の厚生年金保険料や健康保険料が変化してきます。
 
 
ちなみに保険料率は9.15%で取っているので、負担が増加するわけではありません。
天引き額の見た目は多くなってますが、給料に対しての負担割合は9.15%なので負担が増加したわけではないです。
 
 
さて、標準報酬月額は9月になると変化してくる場合がありますが、どうして9月に変わるのでしょうか?
 
 
これには決まりがあって、4月、5月、6月に貰った給与額の平均を元に、9月から適用しています。
 
 
もしくは前年7月から今年6月までの1年間の平均と比べて業務の性質上2等級の差が生じた場合は、1年間の平均を適用します。
4月、5月、6月だけ業務の性質的に異常に繁忙期で給与がドカンとアップしたりする事もありますよね。
 
 
基本的には4月から6月までの3ヶ月の平均額で9月から標準報酬月額を決めますが、それを定時決定といいます。
 
 
例えばある男性の標準報酬月額が34万円だったとします。
その男性の4月の給与が365,000円、5月が378,000円、6月が360,000円であれば367,666円になります。
 
じゃあその367,666円が標準報酬月額になる…のではなく、まず標準報酬月額表に当てはめます。
 
この給与平均367,666円がどのラインに来るかというと、35万から37万円未満のラインに入りますよね。
標準報酬月額表のこのラインに入るという事は標準報酬月額は36万円という事になります。
 
 
よって、この男性は8月分(翌月9月給与天引き)までは標準報酬月額34万円×9.15%=31,110円だったのが、9月分(翌月10月給与天引き)から36万円×9.15%=32,940円に変わります。
 
 
だから、10月の給与明細を見ると「あれ?!なんか保険料が変化してる!」という話題で盛り上がるわけです(笑)
 
 
なお、9月に決定された標準報酬月額は翌年8月までの適用となります。
 
厚生年金保険料の徴収は、当月分は翌月の給与からの天引きになります。
 
 
一旦、新しく標準報酬月額が決まったら原則として1年間はそれで固定して保険料を徴収し続けるわけですね。
 
 
なぜ一旦決めた標準報酬月額を1年間固定するのかというと、事務の煩雑を避けるためです。
 
 
毎月の給与は毎回同じ支給額とは限りませんよね。
結構細かに変動があります。
 
 
そのたびに毎月の給与額を把握して、厚生年金保険料率を掛けて徴収していたら大変です^^;
世の中には6000万人程の厚生年金加入者が居るからですね。
 
 
あと、なぜ4月給与から平均を取るのかというと、大抵は昇給したりするのは4月からが多いので合理的ではありますよね。
 
 
 
というわけで9月の標準報酬月額は、4月から6月までの給与によっては変化してくる場合があるので気にしておきましょう。
とはいえ実際の徴収額は10月給与から変わってきますのでそこで確認してください。



さて、新しく決まった標準報酬月額で向こう1年間の保険料額を出す事にはなりますが、それだとちょっと都合が悪い時もありますよね。
 
1年間の途中でも、給与額が大きく変わってくる人もいます。
 
 
実際の給与額と、標準報酬月額が合ってない状況になりますよね。
 
 
その場合は随時に標準報酬月額を改定します。
 
 
例えば12月から、何らかの手当が外れて給与が30万円になり、それが3ヶ月続いた場合は3月からの標準報酬月額を変更します。
ですから、3月分(4月給与から天引き)の標準報酬月額が今まで36万円だったのが30万円になったので、厚生年金保険料も30万円×9.15%=27,450円になりました。
 
5000円ほど保険料額が下がりましたね^^
 
 
36万円→30万円というのは、標準報酬月額表を見てみると等級が3等級の差があります。
 
1年間の途中に今までの標準報酬月額との間に2等級以上の差が出た場合は、給与が変動した月以後3ヶ月の翌月から標準報酬月額を変更します
 
 
まあ、細かい事もいろいろありますが、概ねこのようなパターンで標準報酬月額を決めて、厚生年金保険料を徴収しています。
 
 
保険料支払うのはできるだけ安くあってほしいと思うでしょうけど、保険料が低い人ほど将来の年金は低くなり、保険料が高かった人ほど高い年金が貰えるので、必ずしも安い保険料のほうがトクというわけではないです^^;
 
 
 
※追記
この記事では給与という用語を使っていますが「基本給」のようなものだけでなく、賃金、手当、俸給、給料その他どのような名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける者すべてをいいます。
 
例えば定期券2万円分を現物で貰っていて、基本給は30万円だったら、標準報酬月額は32万円になってくるラインですね。
 
ーーーーーーー

・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(月額770円税込み毎週水曜日20時にメルマガ発行)
まぐまぐ大賞2020・2021受賞。
途中で登録されてもその月の発行分はすべてお読みいただけます。

https://www.mag2.com/m/0001680886

 

 

 


8月31日の第257号.「そもそも退職しなければ厚生年金は貰えない年金だったのに、貰えるようにした歴史と在老計算事例」。

9月7日の第258号は「年金より生活保護を受給したほうがマシだという危険な考えと、バブル崩壊後の若者への残酷な社会」

9月14日の第259号は、「届け出忘れが頻発した平成14年3月までの第三号被保険者期間の原因と歴史、そして年金額の訂正」。


9月21日の第260号は、「年金受給者が就職すると即座に年金停止ではない事と、共済と厚年記録のある人の在職老齢年金」

9月28日の第261号は、「消費税対策のために始まった低年金者用の年金生活者支援給付金事例3つで復習!」


ーーーーーーーー
8月3日の第253号.第二次世界大戦中に作られた厚生年金の変化と、報酬比例の年金だけではダメだった理由等。を発行しました。

8月10日の第254号.80代前後あたりの年金受給者の年金記録は今とは違う事が多い事例。を発行しました。

8月17日の第255号.更に複雑化した年金繰下げ制度と3つの事例。

8月24日の第256号.年金制度特有であるカラ期間の成り立ちと、知っておきたい重要事例。

ーーーーーーーーーーーーー

※有料メルマガバックナンバーリスト(250記事以上ありますがバックナンバーは月単位で購入可能です)
バックナンバー記事はすべて読みきりなので、どこから読んでも差し支えございません^^

バックナンバーはこちらから。
https://i.mag2.jp/r?aid=a5e0498c7d627b