今回は年金を特別に引き下げません!という事をやってしまうと、結局後が苦しくなる。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 
安倍元総理が銃殺された事件の動画を見ると、見れば見るほど警備体制について悔やまれます。

あんなに簡単に背後に近寄られ、1発目が発砲されてから2発目までに3秒近くあったのにSPも警察も安倍さんを伏せさせるか飛び掛かっていない。

2発目が安倍さんに命中した後も、周りは後ろの犯人のほうを向いて倒れ込んだ安倍さんにしばらく気付かなかった。
 
一体どこ見てるんよ。
ただただ悔しい…
 
 
・まぐまぐ大賞2021語学資格部門2位と知識ノウハウ部門3位のダブルで頂きました(6年連続受賞)
本当にありがとうございました。
https://www.mag2.com/events/mag2year/2021
 
 
物価が上がってるのに年金が下がっているため、様々な批判が出ています。
 
なぜ年金が上がるどころか下がったのかというと、最新の物価や賃金の伸びは翌年度の年金に反映するからです。
今年の最新の数値は前年令和3年のを使っているから。
 
ちなみに年金の財源を支えているのは現役世代の賃金の一部である保険料から支払っているので、年金の伸びは必ずしも物価ではなく賃金の伸びが優先される事が多いです。
 
 
例えば物価が3%上がって、賃金が2%という事になるとどちらを年金に反映するのかというと賃金2%のほうです。
よって年金は2%増額になります。
 
また、物価が3%上がったのに、賃金はマイナス1%となれば、年金にはマイナス1%が反映されて年金は1%下がる事になります。
 
 
なので令和4年は物価が結構上がってると思いますが(実際の数値は翌年にならないとわからないですが…)、物価が上がってるから翌年の年金は上がるとは言えないのが難しいところです。
 
 
 
もし、物価が上がってても賃金が下がってるという事になると、翌年も年金が下がってしまうという事になるからです。
 
 
なぜ物価ではなく賃金の伸びで抑えようとするのかというと、賃金の力は年金を支えている現役世代の力ですよね。
 
でも物価の伸びが賃金を超えてしまい、物価の伸びで年金を変更しようとすると、支え手の力を超える事になります。
 
 
年金制度をこれからも無理なく続けていくものとするためには、あくまでも支え手が苦しくなるような状況を作りたくないわけです
 
 
で、最近は年金が下がった事に対しての許せない!反対!みたいな声が、選挙中だったのでありました。
 
 
こんな時に年金を下げるとは何事だ!と思われますよね。
 
 
 
そういえば年金を下げなければいけない時に下げなかった時が実際昔ありました。
今から20年ほど前に物凄く景気が悪くなった事がありました。
 
 
平成11年から平成13年までに合計1.7%の物価が下がった事がありました。
 
 
それまで物価が下がるなんて事は無く、年金は毎年のように上がるのが当たり前の状態でした。
 
 
 
ところが平成11年に初めて物価がマイナスに傾いたため、翌年度の平成12年度年金額を下げる必要が出てきました。
 
 
しかしながら景気が悪く、倒産する企業も相次いだため、緊急措置として年金を下げなかった事がありました。
 
 
 
平成11年~平成13年までの1.7%の物価下落した時に年金を下げないようにしました。
 
こんな景気の悪い時に年金を下げたら受給者への影響が強いであろうと考えられたので、特別に年金を3年間下げなかったわけです。
 
 
 
例えば年金が100万円から98万円ほどになってしまう所ですが、下げずに100万円で支払い続けたという事ですね。
 
 
さて、本当は前年の物価に合わせなければならないというルールを無視したような、この当時の特別措置は何を引き起こしたのでしょうか。
 
 
本来ならば年金が下がるはずが、下がらずに据え置かれたので一時的には嬉しいですよね。
 
 
 
ですが、年金を下げなければならない時に下げないという事をやるという事は、年金を過払いしてしまうという事です。
 
本来の年金額以上に年金を支払うと、財政には無理な負担がかかります。
 
 
物価が下がった時にキチンと年金を下げれば、無理のない本来の姿の年金額を支給する事になります。
 
 
下げなければならないのに下げないという事は、無理して肥満過剰な年金を支払うという事です。
 
 
年金を下げなければならない時に、特別措置みたいに年金を下げなかった時にそのまま年金の払い過ぎが続いてしまったため、約10年間の間に7兆円ほどの過払いを引き起こしました。
 
過剰に支払わなくて済んだなら、他に本当に必要な政策に使えたかもしれない財源を。
 
 
あの3年間の1.7%の物価を下げなかったせいで、毎年一兆円規模で無駄に多く支払う年金が増え続ける事になったので、平成25年から平成27年の間に以前下げなかった物価分を年金から無理やり引き下げて、この過払いに終止符を打ちました。
 
 
年金は本来は物価が上がれば下がるし、物価が下がれば年金は下がるものです。
その原則を無視して下がった時は世間から批判されるから、特別措置をやろう…みたいな事はその時はいいかもしれませんが、どうしても将来のそのツケを支払わされることになります。
 
無茶な赤字を増加し続けた時、それを返済するのは将来世代の人達になります。
 
 
なので、年金は物価や賃金にスライドするものという大前提の基本をまず頭に入れておかないと、結局「年金を下げるなんて許せない!絶対反対!」という事を立候補者が言ったりするんだから、そういう声に国民が踊らされてまた過去と同じようになるという事が怖いところであります。
 
選挙の票を獲得するために目先の利益を釣りに使う事は、巡り巡って国のためにはならない。
 
 
もちろん物価が上がってる時に年金が上がらないとか、下がるというのは生活水準が下がる事ですから、それに対しての対策というのは大切な事だと思います。
 
でも、年金を下げてはいけないというような話と、それとこれとはまた別の問題であります。

それでは今日はこの辺で。
 

※参考
年金の下落と、年金額変動の仕組み(2022年3月有料メルマガバックナンバー)

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7月13日の第250号.障害厚生年金受給者と離婚する時の年金分割は簡単にはできない理由と、振替加算事例。

7月20日の第251号.昔はいろんな年金を貰えたのに突然に複数受給禁止となったが、例外的に複数貰えてる事例。

7月27日の第252号は「他人のせいで死亡し、遺族年金が発生した場合の年金支払いは最大3年間全額停止が基本だが…」。

7月1日(号外)戦後以降の物価上昇の経緯と、将来は一体いくらの年金が貰えれば安心なのかという問い。を発行しました。
 
本日7月6日の第249号.「昭和41年4月1日以前の人の年金に加算金を付ける理由と、漏れた年金記録を訂正する時の損」。

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