(再)どうして10月は年金から天引きする介護保険料等が変わってしまいやすいのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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最近、ニュースで日本年金機構が送付した振込通知書97万通がご送付であった事の発表がありました。
 
本人の年金とは違う記載がされてるようですが、愛知県の委託業者の印刷ミスのようです。
 
ところで10月になると年金額が変わりやすいので、変更された場合は振込通知書というものを随時送って受給者の人にお知らせしています。
 
 
10月は主に9月に標準報酬月額が変わった事による在職老齢年金額の変更や、介護保険料などの年金天引き社会保険料額が変わって年金振込額が変わる事が多いです。
 
在職老齢年金による年金額の変更はともかく、なぜ10月になると年金から天引きする介護保険料などの社会保険料の金額が変わるんでしょうか。
 
これにはある一定のルールがある事を今まで申し上げてきましたが、基本を復習しましょう^^
理屈は簡単です。
 
再投稿記事となります。
 
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では本題です。
 
65歳以上の方なんですが…年金から介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、個人住民税というのが年金から引かれていませんか?
源泉徴収税とは別にですね。
 
 
65歳以上の人全員が全員そういうわけではないですが、65歳以上になるとこれらの料金が原則として年金から天引きされるようになります。
 
 
 
税金が引かれるのは老齢の年金だけの話ですが、社会保険料天引きは老齢の年金だけでなく、非課税年金である遺族年金や障害年金からも行われる場合があります。
 
 
 
この辺は市区町村がどの年金から天引きするか決める(処理上、老齢基礎年金が最優先されますが…)。
 
 
 
年金機構は市区町村から依頼された保険料を天引きしてるだけだから金額の詳細を年金事務所に聞いてもわからない。
だから問い合わせの場合は市区町村になる。
 
 
 
というわけで、この年金からの社会保険料天引きを年金からの特別徴収と言います。
 
 
年金は偶数月に年6回支払われるのが原則ですが、その間に特別徴収する際は、大きくわけて仮徴収と本徴収を行います。
 
 
 
 
まず、年金から社会保険料を天引きする際は、4月、6月、8月の年金から仮徴収。
10月、12月、2月の年金で本徴収を行います。
 
 
 
なんで、こんなふうに分けてるんでしょうか。
これは前年所得の確定時期(6月)に関係します。
 
 
 
 
まあとりあえずここまではなんの事か分からないと思いますが、下の例をご覧くださいニコニコ
 
 
 
今年の4月、6月、8月から天引きした保険料や個人住民税は今年の2月に天引きされた金額をそのまま「仮に」使って、4月、6月、8月の年金から保険料等を徴収します。
 
 
 
要するにその4月~8月間はまだ今年徴収する保険料額が確定してないから(前年所得が確定するのは6月ですが、事務処理関係上間に合わないから8月まで余裕をもたせている)、2月の年金に引いてた社会保険料をそのまま使い続けるわけです。
 
 
前年所得が確定してなくて徴収する金額が分からないから、仮のまま金額を使って年金から天引きするという事です(仮徴収)
 
 
 
 
そして今年の保険料納付額とかが確定するのが6月なので、その確定した保険料額から4月、6月、8月まで年金から引いてきた保険料を除いた金額を10月、12月、2月の3回で均等にして保険料を徴収します。
この10月、12月、2月に天引きする事を本徴収っていいます。
 
 
 
つまりはこういう事であります。
例えば、今年の2月の年金から本徴収で天引きされた介護保険料が15,000円だったとします。
でも、今年の徴収しなければならない保険料金額は前年所得が確定する6月にならないと保険料の計算できないからその2月に年金から引いた15,000円をそのまま4月、6月、8月の年金まではとりあえず仮に天引きし続けます。←仮徴収
 
 
 
そして前年所得が確定する6月において、今年徴収する介護保険料が例えば96,000円に決まりました。
 
 
 
となると、4月、6月、8月で仮徴収した合計額45,000円を今年の確定保険料額96,000円から引き(96,000円-45,000円)、残りの保険料額51,000円を10月、12月、2月の3回で割って17,000円ずつ10月、12月、2月の年金から保険料を天引きします←本徴収
 
 
 
 
この流れで行くと、最後の2月の本徴収額17,000円を使って、次回の社会保険料が確定するまでは4、6、8月の年金からの保険料天引き額はそれぞれ17,000円の仮徴収でとりあえず引き続けて、また前年所得確定したら10月から本徴収に〜の繰り返し!
 
年金からの特別徴収はつまるところそういう事なんです。
 
 
 
 
年金から介護保険料や国民健康保険料とか後期高齢者医療保険料、個人住民税を天引きする場合はこのような徴収の仕方をします。
去年の所得が下がったはずなのになかなか保険料下がらないな〜チュー!!おのれ〜社会保険料め〜チュー!!というのは仮徴収してるからなので、保険料徴収額が下がるのは10月の年金支払いまで待つ必要があります(前年所得が下がった場合は10月からの徴収金額が下がる。もしくは無い)。
 
もちろん前年所得が上がってたら10月からの本徴収額が上がって年金振込額が減る事になる。
だから10月の年金振込額というのは、変更されやすい時期。
 
 
なお、天引きが開始するまで納付書で社会保険料を納めてた場合は、それまで納付書で納めた額を引いた残りの額で上記のように年金振込回数で割って均等にして、保険料を年金から天引きします。
 
 
※注意
個人住民税は年金所得のみについて取ってます。なお、非課税年金からは取らない。
例えば給与所得とかは給与から個別に住民税を取る。年金からまとめて徴収してはいない。
 
 
さて、特別徴収といえば介護保険料が主役!
この介護保険料が年金から天引きされないならそもそも他の社会保険料や個人住民税も天引きされないです。
 
 
4月1日時点において65歳以上になると特別徴収の対象になりますが、すぐ年金から引かれ始めるわけではなく大体半年~1年くらいしたら天引きが開始されます。
 
 
 
しかし、以下の場合は特別徴収されません。
 
主に、
①徴収される対象となる年金年額が18万円未満(全体の年金総額で見ない。老齢基礎年金から徴収してるなら老齢基礎年金のみで18万以上か未満かを判断する)。
②何らかの原因で特別徴収対象の年金が停止。
③年金を担保にしている
④年金が差止め
 
 
の場合は特別徴収とはならず、普通徴収(毎月納付書で納める)に変更になります。
基本は口座振替。
①はすごく年金額低い場合ですが、それでも介護保険料とかは免除されるわけではないんです^^;
どんなに年金が低かろうが、非課税世帯であろうが社会保険料は納付しなければならない。
 
 
社会保険料の滞納が酷いと、年金の差し押さえという事も普通に起こります。
年金額が不自然に減ってる人を見かけますが、この場合は税金や社会保険料滞納による年金差し押さえが原因だったりもします。
 
 
また、介護保険料については65歳以降は上記に当たらない場合は必ず特別徴収となり、希望で普通徴収(納付書での納付)にする事はできません。
個人住民税も希望で普通徴収は不可だけど、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料は希望により普通徴収にしてもらう事はできる。
 
 
※追記
年金受給者が死亡した場合は死亡日の翌日の属する月の前月分(死亡月の前月分までと記載している市区町村もありますが、介護保険被保険者でなくなるのは死亡日の翌日になるので普通は死亡日の翌日の属する月の前月分までとなります)までが保険料を納める事になります。
 
 
しかし、介護保険料に限っては特別徴収の場合は保険料を先払いとなるため還付金が発生する事があります。
(個人住民税は還付には普通はなりません。途中での死亡の場合、残りの個人住民税は相続人が支払う事になります)
 
 
例えば今月8月支給の年金は6、7月分の年金ですが、8月の年金から引かれる介護保険料は先払いだから8、9月分の介護保険料なので、8月に死亡した場合は8、9月分の保険料が遺族に還付される場合があります(死亡の場合は8月15日に正常に年金振り込まれて保険料が徴収されてたら還付という話になってくる)。
 
 
その場合は保険料取った市区町村から還付通知がきますが、念のため市区町村に問い合わせてください(過去に未納分とかあると、還付金分が充当に回される事があるため必ずしも還付があるとは限らない。あと、月割じゃなくて日割りにしてる市区町村もある)。
 
 
また、引越しで特別徴収している市区町村から転出した場合は、転出した月の前月分までが転出する前の市区町村に保険料を納める事になります。
でも保険料の先払いしてるからさっきの死亡の場合と同じく、還付金が発生する事があります。
 
そして、転出した月分以降は転入した新しい市区町村に介護保険料を納める事になります(8月に転出したら8月分以降は新しい市区町村に保険料を納めるって事)。
 
 
転入した場合は、新しい市区町村からの特別徴収が始まるまでは納付書で納めてもらう事になります。
 
 
 
それでは今日はこの辺で~
 
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10月13日の第211号は、「働き続けると夫婦の年金総額が増えると思ってたら、減ってしまう場合」。
 
10月20日の第212号は、「間違って第3号被保険者となってしまう事を引き起こしたよくある原因と、年金の訂正」。
 
10月27日の第213号は、「65歳未満の厚生年金はなぜ特別なのかという事と、失業手当を貰う場合の年金計算」。

10月6日の第210号は「厚生年金期間が割り増しされる職業の年金と、厚生年金を貰うために存在した救済措置」を発行しました。

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