(再)どうして国民年金は作られなければならなかったのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
 

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再投稿ですあせる


あのー、僕はよく昭和36年4月1日という年を出しますが、この日は年金にはものすごく大事な日で、国民年金と国民健康保険(国民健康保険は最初は昭和13年に農業や漁業に適用)が国民に同時に達成された日なんです。



ちょっと話が遡りますが、昭和30年の人口は約9,000万人でした。

この9,000万人の内、0~14歳の人口は約3,000万人、65歳以上人口は480万人程度で、出生率は安定の2.4くらい。

で、全人口に対し全就業者が4,200万人くらいでその内年金(厚生年金や共済、恩給)に加入出来ていたのは1,200万人程度だったんです。
特に自営業や零細企業は年金が無かった。


つまり、年金でカバーされてたのは全就業者の3分の1程度だったんですね。
また、農林水産業のような第一次産業が全就業者の40%を占めていたような頃でした。
今は第一次産業は4%くらいになっちゃったけど。


だから、1,200万人以外は何の年金もなかったわけです。



昭和17年6月から始まった厚生年金(最初の名称は労働者年金保険だったけど昭和19年10月に厚生年金になった)も戦争でほぼ壊滅したけど、昭和26年あたりから生活水準が戦前の水準に戻り、昭和29年に厚生年金大改正で形を変えて再建されて厚生年金が復活し、昭和30年になって今度は国民すべてに年金頼む!って声が強くなってきて、昭和33年に国民年金を作る事が公約されて総選挙があり、投票率も79%ちょいで、平成21年に旧民主党が大勝した時の69%の投票率よりも高かった。


そのくらい強い関心事で、自民党が大勝して急いで国民年金が作られたわけです(創設は昭和34年4月)。
今現代は年金嫌われ者だけど、当時は国民が国民年金を強く望んだ。

 
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まあ、本当は国民健康保険を先に優先のつもりがたまたま昭和36年4月に国民年金創設と国民健康保険が当時適用されてなかった人に同時に適用される事になったんです。



この昭和36年4月1に国民が皆、強制的に年金に加入する事になったから国民皆年金とよく呼びます。
20歳から60歳までの厚生年金や共済年金から外れてる人を強制加入にした。
そして、国民年金保険料納付した期間と免除期間が25年以上の人に支給する事になった。



ただし、サラリーマンや公務員の専業主婦は国民年金入らなくても夫が加入してる厚生年金や共済年金で守られてるし、また、学生は支払い能力が無いだろうからこの人達は強制的に国民年金に加入させず、加入したければ加入させるという任意加入にした。



国民年金は出来たけど、その時は完全に税金で支給する形(無拠出制という)にするのか、保険料を納めて将来に備える(拠出制という)形にするのか意見が分かれましたが、やはりあらかじめ自力で備える事は生活態度としては当然だし、日本社会は自己責任で自助努力の考え方に立つ事を基に成り立ってるから保険料を支払って将来に備える形になった。



当時から高齢化が進むと見込まれていたから、完全に税金だけの「無拠出制」でやってしまうと後々巨額の税金が必要になってしまうし、給付も微々たるものになり、しかも所得が高いなら支給しないという所得制限がかけられて何かと政府の事情が介入されてしまうから、やはりあらかじめ個人で保険料を納める社会保険の形を取った。



ただし、昭和36年4月1日時点で既に高齢の人(50歳以上の人)は保険料を納めれないまたは納める期間が短いから、この辺の人は完全に税金(無拠出制)で支給するしかなかった(当時は月額1,000円)。
一応50~55歳だった人は任意加入にはしたけど。
任意加入で保険料納めたら無拠出制ではない普通の国民年金を支給。




無拠出制の国民年金(70歳以上の人に支給される福祉年金と呼ばれた)は昭和34年11月から始まり、まず昭和35年3月3日に11月から2月までの4ヶ月分が支給されて、一般国民が国から少額ではあるけど年金が支給されるなんて思ってもみなかったから凄く喜ばれる出来事だったんですね。




まあ、4,200万人の内年金に加入出来てなかった人がとりあえず全て国民年金に加入する形にはなったけど、所得が低くて所得税納税者なんて国民年金対象者数になった2,500万人の内400万人くらいしかいなかったんですよ。
住民税の均等割すら支払えない人も沢山いた。



だから国民皆年金で国民年金強制加入の形を作ったものの保険料支払えない人が多いんじゃ、国民全てを国民年金に加入させれたとは言えないから、保険料免除制度で保険料支払えない人もカバーしたんです。

国民年金の3分の1は国庫負担(税金)だから、せめてその税金分くらいは受け取れるように(平成21年4月からは国庫負担2分の1に引き上げ)。

 
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最初は無拠出制の形で国民年金を支給するようにはなったけど、昭和36年4月1日に正式に保険料を支払う形の国民年金が実施されましたが、この時に国民年金、厚生年金、共済年金と分立していましたけどちょっと問題があったんですね。



それは、国民年金は単独で25年以上納めないと貰えない、厚生年金や共済年金は単独で20年以上無いと貰えない制度だったから、例えば19年厚生年金加入してた人が退職してイチから国民年金に加入したら国民年金だけで25年満たさないと国民年金は貰えないし、厚生年金も20年満たないから厚生年金からも年金出ない事態になるから、国民年金、厚生年金、共済年金それぞれの期間を通算して25年や20年を満たせば加入期間分は年金を出そうっていう年金制度の期間通算制度が出来たわけです。

年金制度がみんな単独でバラバラだったのを、みんな手を繋いでそれぞれの期間を繋ぎ合わせて期間を通算したから通算年金と呼ばれていました。

今は廃止されてるけど、経過的に支給されてる人も今も結構居る(大正15年4月1日以前生まれの人とかが該当してる)。




しかし、昭和61年4月に厚生年金や共済年金に加入してる人も全て国民年金に加入させて国民共通の年金(基礎年金)として、その国民年金(建物で言えば1階部分)の上に2階部分として厚生年金や共済年金を乗っけた形にしたから通算もする必要は無くなって、結局みんな国民年金に加入してる状態にしたからとりあえず25年以上何らかの公的年金期間(平成29年8月1日からは10年以上に短縮された)があり、その間1ヶ月でも厚生年金期間や共済年金期間があれば国民年金(基礎年金)と一緒に例えば1ヶ月分でも厚生年金期間あればその分の老齢厚生年金だすよ!!ってなったんです。


これは、昭和36年4月1日以降の20歳から60歳までの厚生年金期間や共済年金期間も遡って二重に国民年金に加入という形にして、今もその形で年金制度が運営されています。


まあ、この経緯を話すと恐ろしく文章長くなっちゃうから結構ザックリ書きましたがイメージしてくれましたでしょうか…


つまり何の保障もない人達が自助努力で老後に備え、保障される為に国民年金は作られたわけであります。
 
ちなみに公的年金は元々生活費の全てを賄うという考えで作られてはいない。
老後の有力な収入ではあるけれど、あくまで所得の一部であるという事です。
 
 
 
時代が目まぐるしく変わる中で、年金は破綻してるとか無責任な発言を繰り返す学者や、年金制度やめてしまえ!とか軽々しく論じられてますが、もし年金が無い世界であれば「今はもの凄い長寿国になったけど老齢になった両親や祖父母の方はそれぞれ子供なり親戚が自己負担で面倒みてやってね」って話になるだけです。
それが出来る人が一体今の時代どの程度いるんでしょうか。
 
 
年金が無い、またはほとんど出なかった昔の人達は自分の収入で老齢の親だけでなく子供や配偶者も養ってたわけで。

 
 
公的な負担(国からの年金支給)が無いなら、その負担は単に私的負担(自分の収入で老齢の家族の面倒を見る)に変わるだけだから、今の年金制度への不平不満どころの騒ぎではなくなり、世の中はより混沌とするでしょうね…
 
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9月15日の第207号は、男性の受給する遺族年金計算と、依然として女性に不利な社会が続く原因。

9月22日の第208号は、なぜ年金を全額税金で支給したり、積立金でやるのはデメリットが大きすぎるのか。

9月29日第209号は「年金受給する資格が無かった人が、以前よく使われていた特例でもらえる時。」

9月1日の第205号.「本来の初診日を適用すると障害年金請求できる余地が無かったが、元気に生活出来ていた期間があると…」を発行しました。

9月8日の第206号は、「国民にはよくわからないまま昭和末期から徐々に年金額を引き下げ続けていった過程」を発行しました。



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