厚年加入全体の給与平均で年金額を計算するから、再雇用にて低い給与で働くと年金額は下がるのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 

 
人間にはなかなか答えがはっきりしない深い悩みってあるじゃないですか。

例えば死ぬのが怖い、重い病気にかかってしまった、大切な人を失った、他人から認められたい、毎日が楽しくない、将来が不安だ、孤独である、お金持ちになりたい、自分と他人を比べてしまう、会社を辞めたいがやめられない、恋人や妻(夫)との喧嘩が絶えないetc…

 
どうしていいかわかんない悩みってありますよね。
でもそういう悩みってもう何百年何千年という前に哲学者が答えを出してたりします。
 
哲学ってすごく深いんですが、コロナやなんかでどうしようもない悩みを持つ人が増えたと思うので、僕のお勧めの本としてはこちらを読んでみるといいです。
 

哲学書は難しいですが、この本はかなり読みやすいので楽しく読む事が出来ます(内容は深いけど)。
一つ一つの人間が抱く悩みに対して哲学者が答えを出してるので、読みやすくおススメです^^
 
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では本題です。
 
厚生年金って年金貰うまでに加入してきた時までの給与と賞与の総額を平均して年金額を計算します。
 
だから、入社した時から引退するまでの給与や賞与がすべて足されて、それが平均されるわけですね。
 
 
例えば若い頃は20万円くらいの給与で1年間働いて、その後50万円の給与で1年間働いた場合の平均は(240万円+600万円)÷24ヵ月=35万円になりました。
 
 
 
この35万円を用いて年金額を計算します。
 
 
単純に年金額を計算すると、35万円×5.481÷1000×24ヵ月=46,040円の年金になります。
 
 
 
ところで定年後も働いてる方は多いのですが、再雇用とか継続雇用をする時に大幅に給与が下がるケースが大半です。
 
 
そこで一つの疑問を持たれるのですが、低い給与で働く事になると、その結果として全体の給与平均が下がって年金額を下げてしまう事になるのではないか?と。
 
 
確かに、過去から今までの給与の全体の平均を取るので、せっかく高い給与だった人が低い給与で働く事になると給与の平均を下げて年金額を下げる事になりそうですよね。
 
 
果たして年金額は下がってしまうのかを検証していきましょう。
 
 
1.昭和32年8月生まれの女性(今は63歳)
  ・(令和2年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12563651891.html

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12564534484.html

 
 
20歳になる昭和52年8月時点では外国に在住していたため(国籍は日本)、国民年金には加入できなかった。
 
昭和61年3月までの海外在住期間は国民年金には加入不可だった。
昭和61年4月以降の海外在住期間は任意で国民年金加入は可能にはなった。
 
 
昭和52年8月から昭和57年5月までの58ヶ月間はブラジルで過ごす。
 
 
なお、この58ヶ月間は国民年金には加入できなかったので年金額には反映しないが、年金受給資格期間最低10年には組み込むカラ期間にはなる。
 
 
昭和57年6月からはサラリーマンの男性との婚姻を機に日本に帰って住むようになる。
 
婚姻したのがサラリーマンの男性だったので、この女性は引き続き国民年金には加入する必要は無かった(昭和61年3月31日までの時代は)。
 
 
昭和57年6月から昭和59年3月までの22ヶ月間は国民年金には加入する必要は無かったが、将来の事も考えて任意での加入をした。
 
一緒に付加保険料毎月400円も22ヶ月間納めた。
 
 
 
昭和59年4月からは民間企業に就職し、60歳前月の平成29年7月までの400ヶ月間は厚生年金に加入した。
 
 
 
なお、昭和59年4月から平成15年3月までの228ヶ月間の給与平均(平均標準報酬月額)は25万円とし、平成15年4月から平成29年7月までの172ヶ月間の給与と賞与の合計を平均したもの(平均標準報酬額)は48万円とする。
 
 
さて、この女性の生年月日を見ると、60歳(平成29年8月に受給権が発生する人)から厚生年金が貰える。
 
 
・60歳からの老齢厚生年金→25万円×7.125÷1000×228ヵ月+48万円×5.481÷1000×172ヵ月=406,125円+452,511円=858,636円(月額71,553円)
 
ところが、60歳以降に継続雇用として働き続ける事を希望したため、60歳以降は月10万円(標準報酬月額98,000円)で働く事になった。
賞与なし。
 
毎月の厚生年金保険料は98,000円×18.3%÷2(労使折半だから本人負担分)=8,967円の負担だった。
 
 
あと、年金を貰いながら厚生年金に加入すると年金停止の問題が出てくるんですが、年金月額71,553円と月の標準報酬月額98,000円の合計が28万円に届かないため、年金は停止されない。
 
 
ここで今回の問題として、60歳の定年後に継続雇用で非常に低い給与で働いてますよね。
 
 
なんとかそれまでに平均が48万円になるほどまでに高くなってたのに、10万円を加えるようになったら平均が下がるのではないか?!とちょっと不安になった。
 


一旦、平成29年8月から令和2年10月までの39ヶ月間10万円(標準報酬月額98,000円)で働いたとしましょう。
 
 
まあ、39ヶ月間働いたので、退職月の翌月である令和2年11月分の年金額から変更になる。
 
 
 
ここで平成15年4月以降の給与の平均をしてみましょう。
 
 
48万円×172ヵ月+98,000円×39ヵ月=8256万円+392万円=8648万円
 
この8648万円を(172ヵ月+40ヶ月=212ヶ月)で割って平均しますと…407,924円に下がってしまいました^^;
 
平均が48万円あったのに、40万円まで下がってしまいましたガーンあせる
 
 
 
めっちゃ平均標準報酬額下がっとるやん!年金が下がるやんか!o(`ω´ )oプンスコと思われたかもしれないですね。
とりあえず令和2年11月からの年金額を再計算してみましょう(退職改定)。
 
 
・令和2年11月分からの老齢厚生年金→25万円×7.125÷1000×228ヵ月+407,924円×5.481÷1000×212ヵ月=406,125円+473,996円=880,121円(月額73,343円)となり、60歳時点よりも年金額は高くなりました。
 
 
これは給与額がどうこうというよりも、加入した月数さえ増えれば必ず年金額は増える。
 
 
考え方としては、60歳時の25万円×7.125÷1000×228ヵ月+48万円×5.481÷1000×172ヵ月=406,125円+452,511円=858,636円(月額71,553円)があったじゃないですか。
 
そこに98,000円×5.481÷1000×39ヵ月=21,486円が足されたと考えればいいです。
 
 
そうすると858,636円+21,486円=880,121円になるから結局金額は同じ。
 
 
よって、今まで給与が高かった人が低い給与で働く事になったとしても、年金は増える事になるので低い給与でも安心して働いてもらえればいいです。
 
 
ついでに、65歳からの年金総額を算出します。
 

・65歳からの老齢基礎年金→781,700円÷480ヶ月×(任意加入22ヵ月+20歳から60歳までの国民年金同時加入期間である厚年期間400ヵ月)=687,245円
 
・付加年金→200円×22ヵ月=4,400円
 
・老齢厚生年金(報酬比例部分)→880,121円
 
・老齢厚生年金(差額加算)→1,630円(令和2年度価額)×439ヵ月(全体の厚年期間)-781,700円÷480ヶ月×400ヵ月(20歳から60歳までの国民年金と同時加入状態の厚年期間)=717,200円ー651,417円=65,783円
 
 
よって、65歳からの年金総額は老齢基礎年金687,245円+付加年金4,400円+老齢厚生年金(報酬比例部分880,121円+差額加算65,783円)=1,637,549円(月額136,462円)
 
 
※追記
過去の年金記録が間違っていて、加入期間は増えずに過去の給与額が下がるだけのような場合は年金額が下がる事はある。
 
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10月28日の「第161号.なんでわざわざ年金の形は2階建ての形で支給するようになってるのか」

10月7日の「第158号.令和4年度から始まる75歳までの年金増額法と、もし途中で年金の繰下げを諦めた場合の新しい取扱い」を発行しました。

10月14日の「第159号.いつもと違う障害年金額を受給してる人の年金事例と、65歳からの年金からの社会保険料強制徴収」を発行しました。
 
10月21日の「第160号.支給開始年齢や厚生年金加入できる期間を引き延ばしてきた歴史と、それに伴う必読重要事例」を発行しました。


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