全然足りてない税収だけど、年金のどこに使ってるのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
今の消費税10%は税収に直すと約22兆円になります。
 
22兆円というと所得税の19兆円や、法人税の12兆円を超える規模です。
 
今は税収としては一番高いのが消費税。
 
なお、全体の一般歳入は102兆円であり、税収で賄われてるのはそのうちの59兆円に過ぎない。
歳入の60%ほどしか税収が足りてない。
 
 
じゃあ足りない分は何で補うかというと、借金ですね。
つまり国債を発行する。
 
国が発行した国債は、国民や銀行に買ってもらって資金を調達する。
 
 
そんな状況が昭和50年以来もう45年ずっと続いている。
 
昭和50年頃から税収が赤字になり始めたので、増税なき財政再建をするために、行政改革が行われる事になった。
まあ3公社(電電公社、専売公社、国鉄)が昭和60年から昭和62年にかけて国営から民営化されたのは、記憶に新しいとこですよね。
 
特に国鉄は赤字がすごくて民営化された。
 
 
さらに平成元年になると消費税3%が導入された。
赤字で借金作ってきてしまったから、それを返済するために初めて消費税が導入された。
 
 
さて、消費税22兆円が何に使われてるのかというと、社会保障と税の一体改革によりすべて社会保障関係費35兆円に回されている。
 
しかし消費税を10%に上げたもののまだ13兆円くらい社会保障関係費には足りないから、足りない分は他の税金で賄っている。
 
 
 
社会保障関係費は一般関係歳出(国の支出)約102兆円のうちの35兆円というのは3割を占めていて、歳出の中では最も多い。
 
 
次に多いのが借金の返済である国債費の23兆円。
 
あまり借金の返済に追われると、必要なところへの予算が足りなくなる財政の硬直化を招く。
 
 
高齢化が進む中なので(現在は28%ですが2050年頃には40%くらいになってそれが維持される見込み)、医療費や年金、介護等の給付が多くなっているので、社会保障関係費は上昇し続けている。
 
 
特に医療費と年金でそれぞれ12兆円を占めている。
 
そんなにお金かかってるの!?と思われたかもしれませんが、これはまだ序の口といったところかもしれない。
特に医療費は今後が心配される。
 
 
ところで年金に対して使われる税金12兆円はどこに使われているかというと、すべて基礎年金に投入されています。
 
 
たとえば65歳から貰う老齢基礎年金の満額は781,700円ですが、その半分の390,850円は税金でできているという事です。
 
 
つまり、老齢基礎年金の半分が税金12兆円で、残りは保険料から支払うので基礎年金だけで24兆円はかかってる事になりますね。
 
 
 
税金がすべて基礎年金に回ってますが、なぜ基礎年金にすべてを回してるのかというと基礎年金はすべての年金受給者が受ける基礎的な年金であるので、国民の全員に税金の旨味が行き渡るようにするには基礎年金に全部回した方がいいから。
 
昭和61年4月に基礎年金制度が出来てからずっと税金は基礎年金へ集中させている。
 
 
基礎年金の半分も税金が占めているというのが日本の年金の大きな特徴。
 
 
税金の割合を増やす事で支払う保険料の負担を軽減させる事が出来るので、平成16年改正の時に3分の1の割合を2分の1にまで引き上げた(年金記録としては平成21年4月以降が2分の1に反映。それ以前は3分の1)。
 
 
その時に巨額の税収が必要だったので、消費税を引き上げる必要があり、平成26年4月から消費税が5%から8%になった事でようやく安定した税収を確保する事が出来るようになった。
 
 
消費税が税収として選ばれているのは安定的に税収が見込めるからだった。
 
 
それにしても社会保障にかかる全体の給付費はどのくらいかかってるかというと、年間120兆円ほどですね。
 
1年間で120兆円。

 
その内年金には60兆円以上かかっている。
 
 
年金の支払いはさっきの税金だけでなく、主な収入である保険料で賄っている。
補助的に年金積立金からも給付に回している。
 
 
高齢化率は今後も進行していくので、これから社会保険給付費(年金や医療費等に対する総支払い)は150兆円とかそれ以上となっていくでしょう。
 
消費税は今は10%ですが、他国に比べてまだかなり低いほうなので、第二弾第三弾の引き上げは覚悟しておく必要があるかもしれない。
 
 


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