在職しながら年金を貰っていると年金振込額が変化しやすい。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
今のこの時期は年金受給者にはほぼ全員に年金振込通知書が送られてます(年金生活者支援給付金を受給してる人にも別途送付される)。
3000万人~4000万人規模で送付される時期。
 
 
年金振込通知書は年金額が変わった時なんかに送られるものですが、1年に一回定期的に年金額を確認するように6月15日振込年金から翌年4月15日振込までの年金額が通知される。
 
 
向こう一年間の振込予定額なので、年の途中に年金額が変われば随時年金振込通知書や支給額変更通知書が送られてくる。
 
 
さて、年金額が変更される原因というのは本当にいろんな事例がありますが、どういう時に年金額が変わるのかを把握しておくと後々慌てる事は無いかなと思います。
 
ところが、中身はそう単純ではない事が多いので年金受給者の人にとっては、何コレ!?どうしてチュー?!となる事が多いです。
原因は何か、どういう計算でそうなってるのかを説明しないといけない。
 
 
 
原因はともかく、金額がなぜそうなるのかという点で骨が折れる事が多いですね^^;
中にはぐちゃぐちゃな状態になってるものもあるので…
 
 
さて、今回は特に金額の変更が頻繁になる事が多い在職老齢年金に関して考えていきましょう。
 
 
1.昭和33年6月10日生まれの女性(今は62歳)
 ・(令和2年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12563651891.html

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12564534484.html

 
 
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※この女性の61歳(令和元年6月)からの年金額
老齢厚生年金96万円(月額8万円)
厚生年金期間は20年以上あり。
65歳からは70万円の老齢基礎年金が国民年金から支払われる予定。
 
54歳(昭和41年2月12日生まれ)の夫あり。
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平成30年6月9日に定年を迎えたが、その後も厚生年金に加入して再雇用で現在のA社に継続して勤務。
定年までの給与は35万円だったが、195,000円(標準報酬月額20万円)に低下した(低下率は55.71%)。
 
 
60歳到達時賃金を35万円として、その後の給与の低下率は75%未満になると雇用保険から高年齢雇用継続給付金が低下した賃金の最大15%(低下率が61%未満の場合)貰える場合がある。
 
 
賞与は65歳になるまでは7月と12月にそれぞれ30万円貰えるとする。
 
 
60歳定年後は月収入195,000円と、高年齢雇用継続給付金195,000円×15%=29,250円の合計224,250円の収入を得ていた。
7月と12月にはそれぞれボーナス30万円が支給。
 
 
その後は61歳(令和元年6月)からの老齢の年金受給権発生後は老齢厚生年金が月額8万円も貰える事になった。
 
ただし、厚生年金に加入して働くと給与と直近1年以内に貰った賞与と、月年金額の合計によっては年金額が停止される。
 
 
年金が停止されるとすれば年金受給権発生の翌月である令和元年7月分の年金から。
 
 
なお、停止される年金は老齢厚生年金のみ。
国民年金からの老齢基礎年金や、障害年金、遺族年金は在職による停止はかからない。
ここで言う「在職」というのは厚生年金加入の事を指すので注意。
 
 
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令和元年7月から適用される停止額を計算する。
ちなみに、直近1年(平成30年8月から令和元年7月の間)に貰った賞与30万円×2回=60万円を月換算すると、5万円。
 
この賞与を月換算した5万円と標準報酬月額20万円の合計を総報酬月額相当額と言います。
その総報酬月額相当額25万円と年金月額8万円を用いる。
 
 
 
令和元年7月からの停止額→{(総報酬月額相当額25万円+年金月額8万円)-停止基準額28万円}÷2=25,000円
 
あと、高年齢雇用継続給付金を貰ってる場合は更なる停止がかかる。
 
 
 
高年齢雇用継続給付金による停止額→標準報酬月額20万円×6%(低下率61%未満の場合)=12,000円
 
 
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※参考
6%停止するというのは、給付が15%のうち6%を年金停止するという事になる。
つまり給付金支給に対して、6÷15=40%分を年金停止しますよっていう事。
なお、停止額を算出する時は実際の給与額ではなく標準報酬月額を使うのでその点は注意。
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よって、令和元年7月からの年金収入は8万円ー(在職による停止額25,000円+高年齢雇用継続給付金を貰ってる事による停止額12,000)=43,000円になる。
 
 
 
なので、月収入としては給与195,000円+高年齢雇用継続給付金29,250円+年金収入43,000円=267,250円
 
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※注意
年金は偶数月に前2ヶ月分を支給し、高年齢雇用継続給付金は申請した月が偶数月か奇数月かによりますが奇数月または偶数月に前2ヶ月分を支払う。
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その後、令和2年に起こった新型コロナウイルスの影響により、令和2年4月から給与は195,000円(標準報酬月額20万円)から、180,000円(標準報酬月額18万)に低下した(標準報酬月額の等級としては2等級以上の差が出た)。
 
その上、賞与は支給されない事になった。
 
 
令和2年4月から大きく給与が下がり、5月、6月と続いたから、令和2年7月から標準報酬月額が20万円から18万円に変更された(随時改定という)。
 
 
なお、標準報酬月額は4月、5月、6月の給与の平均を取って9月から新しい標準報酬月額を適用しますが、随時改定が7月から12月の間に行われた場合は、随時改定による標準報酬月額を来年8月(令和3年8月)まで適用する。
 
 
 
さて、令和2年7月から標準報酬月額が今までの20万円から18万円に変更となり、賞与も令和2年7月からは出なくなった。
年金停止額にも変更が出る。
 
 
ちなみに直近1年(令和元年8月から令和2年7月まで)に貰った賞与は令和元年12月に貰った30万円のみ。
 
賞与30万円を月換算すると25,000円。
 
 
高年齢雇用継続給付金も18万円×15%=27,000円になる。
 
 
 
・令和2年7月からの年金停止額→{(標準報酬月額18万円+月換算した賞与25,000円+年金月額8万円)-停止基準額28万円}÷2=2,500円
 
 
高年齢雇用継続給付金による停止額は標準報酬月額18万円×6%=10,800円
 
 
 
よって、令和2年7月からの年金収入は8万円ー(在職による停止額2,500円+給付金による停止額10,800円)=66,700円
 
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その後は、令和2年12月になると令和元年12月に貰った賞与30万円が外れるので、また年金額が変わる。
 
・令和2年12月からの年金停止額→18万円+年金月額8万円=26万円<停止基準額28万円になるので在職老齢年金による停止は無くなる。
 
 
なので、年金月額8万円ー高年齢雇用継続給付金による停止額10,800円=年金月額69,200円
 
 
よって、令和2年12月分以降の収入をまとめると、給与18万円+高年齢雇用継続給付金27,000円+(年金8万円ー高年齢雇用継続給付金を貰う事による停止額10,800円)=276,200円となる。
 
 
最大で65歳到達月まで支給される高年齢雇用継続給付金による停止は在職中はずっとかかる。
ただし、厚生年金加入から外れるとこれらの停止はすべて無くなる。
 
 
※追記
65歳未満の人の在職老齢年金の停止基準額は令和2年度現在は28万円ですが、令和4年4月以降は65歳未満の人の停止基準額は28万円から47万円に変更される。
65歳未満の在職により年金停止される人はかなり減る事になるでしょう。
 
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6月3日第140号は「過去に旧国鉄共済組合が年金財政危機に陥った理由と、厚生年金に統合された歴史」を発行しました。
 
6月10日の第141号は「よくある年金を担保に融資を受ける受給者と、障害年金の加給年金が付かなかった事例」を発行しました。

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