年金支給開始年齢は引き上げられていくけど60歳以降になれば請求して貰う事はできる。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

おはようございます!
年金アドバイザーのhirokiです。
 

僕は過去にやってしまった後悔を思い出す事があります。
あの時ああしてたら良かったとか、こうしとけば良かったとか。
特に昔はその思いによく苦しんだ。
 
その悔しさを消すために、向上するエネルギーに変えてきた。
 
後悔って、過ぎてしまった事を取り戻せないからという苦しみというか、自分が選択しようと思えばできた事をしなかった事への苦しみを持つ事ですね。
過去の自分にアドバイスできるなら、素直になるという事かな。
 
心に従う事。
 
他人からどう言われようが、思われようが、自分の気持ちを優先させろよ!って。
 
やっちゃった後悔はもう仕方ないかなと思うけど、しなかった後悔は思い出してしまうとやはり辛い。
 
チャンスはいつも突然で、一瞬。
 
神様からのサインを見逃さないためには素直になる事だったなとつくづく思う。
 

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では本題です。
 
これからの年金の受給の仕方は65歳からが主流になりますが、60歳になって年金の受給資格(年金保険料納付済期間+免除期間+カラ期間≧10年)がある人はいつでも老齢の年金の受給を請求する事ができます。
 
 
なぜそんな事ができるのかというと、自ら保険料支払う形である国民年金ができた昭和36年4月の時に国民年金(今でいう老齢基礎年金)は元々65歳から支給するってなっていました。
 
 
年金というと60歳から貰うというイメージが強いですが、国民年金に関してはそもそも創設当初から65歳支給開始だった。
 
 
当時の厚生年金が60歳支給(男子は昭和29年改正の時に55歳支給から60歳に引き上げる事が決まって、女子は昭和60年改正の時に55歳から60歳に引き上げる事が決まった。共済は昭和54年改正の時)だった。
 
 
厚生年金には定年があって、60歳に引退する事が多かったので厚生年金に関しては60歳支給開始となっていた。
 
逆に、国民年金は定年が無い農業や漁業とか自営業の人が主に加入する年金制度だったから65歳支給とした。
 
 
でも、サラリーマンとか公務員だった人は60歳から貰えるから、国民年金も60歳からでも貰えるようにしてほしいという要望があり、昭和37年の時に本来の65歳の年金受給開始よりも早く貰う事を可能にした。

これが年金の繰上げの始まり。
 
 

ただし、本来の年金の支給開始年齢よりも早く貰えるから、ペナルティとして年金額が生涯に渡って減額されたものとなります。

 
今の制度だと1ヶ月早める毎に、0.5%ずつ年金が減額される。
 
 
なお、平成13年4月から老齢厚生年金も支給開始年齢が引き上がるようになり、本来の老齢厚生年金よりも少ない額になってしまうために、基礎年金の繰上げと本来の老齢厚生年金よりも低くなった老齢厚生年金額と同時に貰えるようになった。
 
 
昭和16年4月1日以前生まれの人は、年金の繰上げをした場合は繰り上げた老齢基礎年金と、老齢厚生年金の同時受給が出来なかった。
 

しかし、平成13年4月から老齢厚生年金の支給開始年齢引き上げが始まった時に、老齢厚生年金と繰り上げた老齢基礎年金が一緒に貰えるようになった。
昭和16年4月2日以降生まれの人はそれが可能。
 

まあ、今の受給スタイルですね。
 

ちなみに昭和16年4月2日生まれの人は平成13年(昭和に直すと昭和76年)4月1日に60歳になる。
 
 
こう考えると、平成13年4月1日以降に60歳になる人から、老齢厚生年金と繰り上げた老齢基礎年金が同時に受給できるようになったという事ですね^^
 
 
さて、その年金の繰上げの受給スタイルを見ていきましょう。
 

 
1.昭和33年9月16日生まれの男性(今は60歳)

高校卒業する18歳年度末の翌月である、昭和52年4月から平成28年2月までの467ヶ月は厚生年金に加入。
20歳に到達するのは昭和53年9月。
 
 
平成28年3月から60歳前月である平成30年8月までの30ヶ月の内、短時間労働をやりながら3ヶ月だけ国民年金保険料を納めた。
あとは未納。
 
 
なお、昭和52年4月から平成15年3月までの312ヶ月の平均給与(平均標準報酬月額)は38万円とします。
 

賞与も年金額に含むことになった平成15年4月から平成28年2月までの155ヶ月の平均標準報酬額(給与と賞与の合計額の平均)は47万円とします。
 
 
この人は60歳到達を機に引退する事を固く決めていたチュー
 
 
しかしこの男性の年金支給開始年齢は63歳から。

 
それまでは年金が支給されない。
 
 
自分が長生きできる自信が無かったため、さっさと貰いたいと思った。
 
 
そんな時に年金の繰上げを知った。
 
 
平成30年12月に年金の繰上げの請求をする事にした。
 
年金の繰上げをした場合はその繰上げ請求をした月の翌月から年金が発生する。
 
 
さて、この男性の平成31年1月からの年金額はいくらになるか。
 
 
まずこの男性の年金記録で63歳からの老齢厚生年金額と65歳からの老齢基礎年金額を算出する。
 

 
・63歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)38万円÷1000×7.125×312ヶ月+47万円÷1000×5.481×155ヶ月=844,740円+399,291円=1,244,032円
 
 
・65歳からの老齢厚生年金(差額加算)1,625円(平成30年度定額単価)×467ヶ月ー779,300円÷480ヶ月×450ヶ月(昭和36年4月以降の20歳到達月から60歳前月までの厚生年金期間)=758,875円ー730,594円=28,281円
 
 
※参考
厚生年金や共済組合は20歳前や60歳以降も加入できるが、国民年金に強制加入となるのは20歳から60歳までなので、その期間の差額を埋めるための年金が差額加算(主に経過的加算という)。
なお、昭和60年改正の時に厚生年金の定額部分廃止に伴って、65歳からはその定額部分とほぼ同じくらいの給付だった国民年金を国民共通の基礎年金とする事にした。
定額部分の単価2400円を1250円に引き下げ、国民年金の単価も2000円から1250円に引き下げたが、定額部分と国民年金の計算式が違うので65歳前の定額部分と65歳以降の国民年金(基礎年金)との差額が生じてしまうのでその差額を埋める為でもある。


 
65歳からの老齢基礎年金779,300円÷480ヶ月×453ヶ月=735,464円
 
 
で、これらを平成30年12月に年金の繰上げ請求する。
 
 
そうなると、平成31年1月分から繰り上げた年金が発生となるが、いくらの年金になるのか。

 
繰上げによる年金減額をする場合は、本来の年金支給開始年齢よりも1ヶ月早める毎に0.5%減額されて支給される。
 

 
まず、老齢厚生年金(報酬比例部分)は63歳(平成33年9月→新年号3年9月)から支給開始だが、請求月である平成30年12月から本来の支給開始年齢の前月である平成33年8月までの33ヶ月の期間分減額する。
 
つまり、33ヶ月×0.5%=16.5%減額
 
 
繰上げ老齢厚生年金(報酬比例部分)1,244,032円×(100ー16.5)%=1,038,767円
 
 
また、65歳から支給される差額加算や老齢基礎年金は平成30年12月から、65歳到達月の前月である平成35年8月(新年号5年8月)までの57ヶ月分減額。
 
つまり、57ヶ月×0.5%=28.5%減額
 

繰上げ老齢厚生年金(差額加算)28,281円×(100-28.5)%=20,221円
 

ただし、28,281円ー20,221円=8,060円の減額分は報酬比例部分から差し引いて、差額加算自体からは減額しない。
 

よって差額加算は28,281円支給のまま。
 
なぜ差額加算はそのまま支給するかというと、「当分の間は差額加算相当額は全額支給する」と法律で定められているから。
 
 

繰り上げ老齢基礎年金→735,464円×(100-28.5)%=525,856円

 
まとめると、平成31年1月分からの{老齢厚生年金(報酬比例部分)は1,036,787円ー差額加算の減額分8,060円=1,028,727円}+差額加算28,281円+老齢基礎年金525,856円=1,582,864円(月額131,905円)となる。
 
 
このように、減額された年金が一生支給されることになる。
また、冒頭に説明したように今の制度の場合は繰り上げた場合は老齢厚生年金と老齢基礎年金の併給ができる。
平成13年4月1日以降に60歳になる人(昭和16年4月2日以降生まれの人)。
 


※追記
65歳の時に65歳未満の生計維持している配偶者が居れば、65歳から配偶者加給年金389,800円が加算されて年金総額が増える場合はある。
あと、繰上げ後も70歳までは厚生年金には加入できるからその分の厚生年金が増えたりする。
 
余談ですが、直近2年1ヶ月以内の国民年金保険料納付時効以内の60歳までの国民年金保険料納付義務がある期間の未納がある場合は、繰上げした後も納付して既に繰り上げた基礎年金額を増やすことはできる(追納や後納は繰上げ請求後は不可)。
ただし、年金額を再計算しなおす処理をするので直近2年1ヶ月以内の未納期間の国民年金保険料は原則としてまとめて支払ってもらう(要年金事務所相談)。
 
 
それでは今日はこの辺で〜
 
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