その年金保険料免除は将来の年金額に反映しないが… | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

20歳以上になると国民年金に強制加入になります。

20~22歳までは大学生という人もいっぱい居るでしょうけど、しっかり納付書が送られてきます。
学生であろうと国民年金保険料は払わないといけないんですねー(^^;;
世帯主や配偶者も、その学生本人の保険料を支払う義務を負います。


届いてから、うっひょー(。A。;)ー!!と慌てて市役所や年金事務所に相談に行かれたりする人もいますが…(僕もそうでした。年金の事なんて全く知らなかったし…)


で、国民年金保険料を全額免除という形にはされるんですが、この学生の時に使った国民年金保険料免除(学生納付特例免除)は将来の年金額に全く反映しません
学生納付特例免除を今申請するなら、過去2年以内の期間と来年3月まで免除にする事が出来ます。


ただ、老齢の年金貰うために必要な25年以上(平成29年4月からは10年間)の加入期間に含まれるだけです。


老齢厚生年金は1ヶ月分でも厚生年金納めてたら貰えますが、この25年以上というのを満たさないと1円も貰えません。


よって、この学生納付特例の免除期間は過去10年以内であれば追納が出来るので、年金事務所に追納の申込みをして追納専用の納付書で納付しましょう。
もし未納の場合は今だったら過去5年以内の期間なら後納が出来ます。

なお、3年度以前の免除期間や未納期間の保険料を納付する場合は、当時の国民年金保険料に一定の加算金が付くので、当時よりやや割高になります。
あと、追納や後納で保険料を納める場合は一番古い方から納めます。
誤って新しい期間のを納めたりすると保険料が還付されてしまいます。


一般的に用いられてる保険料免除期間はたとえ全額免除でも老齢基礎年金の半分の額には税金が使われているので老齢基礎年金の半額分(極端な話、40年間全額免除でも半分の年額390,050円貰える。平成21年3月以前の期間は3分の1の額に反映)は貰えます。


ただ、学生(20歳から22歳の間に限らず)の間はこの一般的な国民年金保険料免除が使えないので全く年金には反映しません。


なお、学生納付特例免除は一般的な免除と違って世帯主や配偶者の前年所得は見らずに本人のみの前年所得のみが免除に該当するかどうかを見ます(所得基準は半額免除と同じ118万)。


学生納付特例の対象となる学校の範囲は結構広いので大学生に限った事ではありません。

高校、高専、夜間、通信、専門学校(修業年限1年以上)、海外大学の日本分校なども適用されます。
ほとんどの学生は学生納付特例が使えます。
※学生納付特例(日本年金機構)



そして、22歳から60歳まで完璧に厚生年金に加入や国民年金保険料納めてきても、38年間の国民年金加入期間になる為、65歳から貰う老齢基礎年金780,100円(最高40年納めた場合)には2年足りません。
38年間なら老齢基礎年金は741,095円。


よって、60~65歳の間は国民年金に任意で加入して国民年金保険料を納める事が出来るので余裕があれば2年加入して40年を満たすといいかもしれません。


ついでに※付加年金も納めるとより年金額がアップします(国民年金基金に加入する場合は付加年金保険料を支払う事は不可)。
※2年で元が取れるおトクな付加年金(参考記事)

なお、60~65歳に厚生年金に加入してる場合は国民年金に任意に加入が出来ず、老齢基礎年金を増やす事は出来ませんが、この場合65歳以降から貰う老齢厚生年金に※経過的加算が付くため、仮に60~65歳の間に2年間厚生年金に加入すれば一応国民年金保険料を納めたのと同じ効果が得られます
※経過的加算(参考記事)
※20~60歳まではみんな国民年金に加入している(参考記事)


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あと、学生と同じような全額免除制度に若年者猶予制度というのがありますが、これも将来の年金額には全く反映しません。


一応今の所は若年者猶予制度は30歳未満の人が使える免除制度ですが、平成28年7月からは50歳未満まで適用される事になっています。


一般的な免除制度だと世帯主、配偶者、本人の前年所得により免除に該当するかどうかを見ますが、若年者猶予制度は配偶者と本人の前年所得を見ます
だから、全額免除は通りやすくはなりますね。


学生納付特例も若年者猶予制度も年金額に反映しないんじゃなんだかあんまし意味ないなぁと思う方もいるかもしれませんが、とんでもありません(^^;;


これら免除を使う事で、未納期間を回避し、遺族年金や障害年金を貰う条件を満たす事が出来るからです。


今まで何度も書いてきたように遺族年金や障害年金を貰う為には、保険料納付要件があり、例えば障害年金なら病気や怪我で初めて病院にかかった日の前日において初診日の属する月の前々月までの直近1年間に未納がないか、前々月までの国民年金加入期間の3分の2以上が未納ではない事が条件です。


もし、障害基礎年金2級に該当する事になった場合は今まで免除で国民年金保険料を全く納めていなくとも、老齢基礎年金を40年間キッチリ納めた場合の金額780,100円(障害等級1級なら975,100円)が貰えます。


仮に20歳から22歳まで学生納付特例をしてて、22歳の4月に就職して厚生年金に加入して、その厚生年金加入中に初診日がある場合で障害等級2級以上に該当するような事があれば、障害基礎年金だけでなく障害厚生年金も支給されます。

極端な話、その1ヶ月の厚生年金期間中に初診日があって、1ヶ月しか厚生年金保険料納めてなくても300ヶ月の期間で計算します。
遺族厚生年金も、同じように在職中に死亡日があれば300ヶ月で計算。


※例
障害等級2級で給料が250,000円(標準報酬月額)だった場合。

障害厚生年金(250,000円÷1,000×5.481×1ヶ月)×300ヶ月=411,075円
障害基礎年金780,100円
合計780,100円+411,075円=1,191,175円になります。
その後配偶者や子が出来たら、障害厚生年金に配偶者加給年金224,500円、子供1人につき224,500円(3人目以降74,800円)が障害基礎年金に加算されます。



もし上記みたいな事態になって、20歳から就職する22歳まで未納なんかにしてたら完全にアウトなので、未納は避けてくださいねー(^-^)/