農産物からエタノールを製造する場合の EROEI 計算において、計算に含められるべき input には例えば以下のようなものがある。

(1)耕運機・収穫機・乾燥機・灌漑用ポンプなど、農業用機械を稼動させるのに必要なエネルギー

(2)化学肥料を製造するのに必要なエネルギー

(3)化学肥料、特に窒素肥料の原料として投入される天然ガス(石油の場合も一応ある)

(4)農薬を製造するのに必要なエネルギー

(5)農薬の原料として投入される石油

一番多いのは(3)で、3分の1近くを占めているのだそうだ。

さとうきびにせよ、甜菜にせよ、穀物にせよ、化学肥料や農薬は必ず投入されるし、機械化されていない農業は現在では非常に細々としたものしか無い。EROEI が高くならない原因の少なくとも一部はこういったことだろう。

或るデータによると、窒素肥料を適量施肥する場合と全く施肥しない場合とで、さとうきびの収穫量は倍以上違う。もし化石燃料が高騰して施肥量が減少すると、エタノール生産量も減少する可能性がある。

ということは、「石油や天然ガスが得られないと、バイオエタノールを効率よく製造するのは現状では難しい」ということだ。

ん? 本末転倒じゃないか。

そう、本末転倒だ。今のところ仕方ない。

Biofuels に限らない。風力発電だって、風車と発電機を製造するときは化石燃料を燃やして作ったであろう電気エネルギーなどを投入して製造する。太陽電池しかり。水力発電所だって、建設前・建設中は化石燃料を大量に投入する。

それだけ我々が化石燃料、特に石油に依存しているということだ。「生産された代替エネルギーの大部分を消費者に供給し、残った一部をその代替エネルギーの再生産に充てる」という循環は、まだ実現していない。

では、バイオエタノールの EROEI はどれくらいなのだろうか?

入手した資料によると、こうなっている。

① さとうきび ・・・ EROEI = 1:6.6 ~ 1:9

② 甜菜 ・・・ EROEI = 1:2.8 ~ 1;3.2

③ とうもろこし ・・・ EROEI = 1:1.4 ~ 1:3.8

④ 大麦 ・・・ EROEI = 1:1.5 ~ 1:2.1

⑤ 小麦 ・・・ EROEI = 1:1.0 ~ 1:2.8

⑥ 高粱 ・・・ EROEI = 1:1.0 ~ 1:3.2

残念ながらセルロースを原料とする場合についてはデータを入手できていない。

あらかじめ申し上げておくが、ここで取り上げた EROEI の数値については、石油のそれも含めて、どれも見た資料の受け売りだ。これは本当は問題だ。計算の前提条件が同じでないと本来比較できないはずだからだ。やっかいなことに、計算の前提条件を記載した上で EROEI を掲載している資料は少ない。

単純に比較するのが危険であることは承知の上で、言える範囲内と考えていることを言おう。

(A) バイオエタノールは石油と比べて決して割の良いエネルギー源ではない。ただし、石油がどんどん割が悪くなりつつあるので、将来的には「石油より割の良い」エネルギー源となる可能性は一応ある。

(B) 砂糖作物は穀物より効率が良い。うっかり条件が悪くなると、穀物を原料とする場合ほとんど意味の無い結果に終わる可能性がある。

(C) さとうきびの EROEI が最も高いのは、「搾りかすの茎を火力発電の燃料に投じている」ことが理由と推定される。これはブラジルで実際に行われていることで、これにより "energy returned" にエタノールだけでなく電力まで含めて計算している。今のところ液体燃料のみの output だと石油に対抗するのはまだ難しい。

カナダのタールサンドがやっかいなのはこれだけではない。つぎ込むエネルギーが主に天然ガスだということもある。(地元で手に入るからだが)

天然ガスのように比較的汚染の少ない「きれいな」エネルギー源を費やして得られるエネルギー源が、タールという「重くて汚い」エネルギー源というわけだ。

カナダは石油も天然ガスもアメリカに輸出している。天然ガスの需要はアメリカでは火力発電用を中心に伸びている。アメリカに天然ガスを輸出するか、タールサンドから液体燃料を製造して輸出するか、カナダ人が選択を迫られるときが来るに違いない。

個人的な見解だが、mattはカナダのタールサンド開発を決して楽観視していない。ここ3~5年くらいだったら順調に拡大するかもしれないが、30~50年という長期で見ると、天然ガス生産量の推移に全てがかかっていると思う。

カナダのタールサンド開発については、生態系破壊の問題や二酸化炭素排出の問題もあるが、ここでは環境保護の話は横に置いておき、エネルギー源確保の話に集中しよう。

タールサンドから液体燃料を採り出す過程を見ると、在来型の油田では必要の無いプロセスがいくつもあることが分かる。

① 掘り出すだけのために蒸気を生産しなければならない。

② 蒸気に圧力をかけて地下へおくりこまなければならない。

③ 産出したタールサンドを加熱しないと、油(原油)を取り出せない。

④ 採れた原油をさらにエネルギーを使って分解してやらないと、使える液体燃料にならない。

軽い成分の比較的多い在来型の油田から採れた原油なら、化学的に分解しなくても、蒸留するだけでもとから含まれている成分を分離し、ガソリンなどの液体燃料をたくさん得られる。

生産の各段階でどんどんエネルギーを投入しないと生産活動が成り立たないことが分かっていただけたと思う。EROEIも当然低い。参照する情報によって数値が異なるが、高いものでEROEI=1:4程度、低いものだと1:1.6~1:1.7程度とされている。

どの数値が正確なのかはともかく、「掘り当てればどんどん軽い油が噴いてくる昔の油田とは大違い」という傾向があることだけははっきりしている。もし現時点で EROEI = 1:1.6 だとしたら、タールサンドを開発すべきか否か疑問を抱く人がいてもおかしくないということはお分かりいただけるだろう。

タールサンドから人間が便利に使えるエネルギーを得るための作業はこれで終わりではない。

その後、タールと岩石の混合物を加熱(乾留)し、油を搾り取る。

この油は残念ながら揮発成分 - 軽い油 - がかなり飛んでしまっている重い油なので、この油からは、ガソリン・軽油・灯油などの人間が便利に使える液体燃料はあまりたくさんとれない。

そこで、乾留して採れた油(重質油)を圧力・温度を調整し、触媒と接触させ、(天然ガスを分解して得た)水素を添加して化学的に分解してやるのだそうだ。

こうしてようやく人間が使いたい液体燃料を望む量得ることができる。

経済的にはともかく熱力学的に見てどれほど意味があるかどうか疑問に思われるエネルギー開発の例を見てみよう。

カナダのアルバータ州北部にタールサンドと呼ばれるエネルギー源が埋まっている。石油の需給逼迫に伴い注目を集めている。

地下にタールやアスファルトなど重い成分が多い油を含む岩石が大量に埋まっている。埋蔵量は本当に大量らしく、技術的に採掘可能(註1)と推定されている量はサウジアラビア級の規模(註2)らしい。

しかし、通常の油田と比較すると採掘は大変だ。これまで集めた情報を総合すると、こういうことらしい。

(1) まず地上から地下の油層へ向けて何本も井戸を掘る。

(2) 次に地上で大量の蒸気を生成する。

(3) 蒸気を井戸へ注入する。地下の油層が暖められ、タールが岩石から染み出し流動性が高くなってくる。

(4) 流動性が高くなったタールと岩石の混合流体が採掘用の井戸から地上へ上がってくる。

ということだそうだ。

この作業を北極圏でやらなければならない。真冬の3カ月間は作業不能だそうだ。

- - - - - - - - - - -

註1: あくまで「技術的に採掘可能」なタールサンドのこと。現在の技術で採掘したとして、経済的に引き合うかどうか疑問視される埋蔵量を含んでいる。

註2: OPECにサウジアラビアが届け出ている埋蔵量が2600億バレル程度。カナダのタールサンドは3100億バレル程度。
石油がエネルギー源として世界で広く使われるようになった理由の一つは、長い間EROEIが高かったことだ。

1960年代までは世界で巨大油田の発見が相次いだ。そのころまで石油はEROEIの高い(input に対して output の大きな)エネルギー源だった。

Input 1単位に対して output が20単位(以後、“EROEI=1:20”と表記する)以上、場合によっては EROEI=1:100 を上回ることもあったらしい。

60年代半ばを過ぎると巨大油田が発見されなくなり、発見される油田の規模が小さくなった。

発見されても、ひどく深い地下にあったり、深海底にあったり、単一の巨大な油層がドンと発見されるのではなく分散した小さな油層がたくさん発見されたりするようになった。

そうすると、同じ1バレルの石油を掘り出すのに、エネルギーを余計に投入する必要がでてくる。

地下深ければ深いほど、掘削にエネルギーを要するようになる。それ以前に探鉱にエネルギーが要るようになる。地上で探査機器をあちこち移動させなければならなくなっていく。

海底油田もエネルギー投入が増える。船を建造しなければならないし、その船で油田地帯まで設備を移動させ、設備を据え付けるときには海中で建設工事を行なわなければならない。

小さな油層がたくさん分散していると、掘らなければならない井戸の数が増える。

ある情報によると、現在新規に油田開発すると EROEI=1:10 以下くらいが普通らしい。1:5 程度という情報もある。どの数値が正確なのかはともかく、傾向として昔よりぐっと割の悪いエネルギー源になってきているのはほぼ間違いない。
偉そうに書いている matt 自身バイオマス系液体燃料について調べ始めてから始めて知ったのだが、エネルギーについて考えるときに考慮しておかなければならない重要な概念がある。EROEI(Engergy Returned on Energy Invested)という概念だ。

エネルギーはただでは得られない。何らかエネルギーを消費して人間や家畜や機械を働かせてはじめてエネルギー源(例えば石油)を地中から掘り出したり、空気の動き(風)を電気に変換したりすることが可能になる。エネルギーの output を得るためにはエネルギーの input が必要というわけだ。

そうすると、少ない input で大きな output を得られるエネルギー源が優れたエネルギー源だということになる。逆に、input より小さな output しか得られないエネルギー源の開発には意味が無いことになる。

EROEIは「経済学的な概念」ではなく、物理学の一分野、熱力学の考え方をエネルギー産業に当てはめたものだ。金勘定と関連することはあり得るが、金勘定そのものではない。「金銭的な利益が得られても、熱力学的な見地からは無意味なエネルギー開発」というのはあり得る。そういうエネルギー源は長期的には持続できない。

NIKKEI NET 6月11日記事
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060611STXKA015111062006.html

「ザビエルの兄弟の子孫」とは書いていないし、「ザビエルの親戚の子孫」とも書いていない。

「ザビエルと血縁」あるいは「ザビエルの一族」という書き方でもない。

「ザビエルの子孫」と書いてある。

おいおい、ザビエルはイエズス会宣教師だから、カトリックの聖職者だろう? 少なくとも公式には子孫がいないはずだ。

聖職に就く前に子が生まれていたのか?

それとも、歴代の法王のように、子がいたのか?

セルロースの供給源は色々考えられる。

供給源①: 農産物の廃棄物 ・・・ とうもろこしやさとうきびや稲などから炭水化物を採った残りの茎や葉や籾殻(もみがら)はセルロースで出来ている。

供給源②: 森林 ・・・ 建材として使える材木からエタノールを作るのはちょっともったいない。しかし、日本のように「育てる林業」をしている地域なら間伐材を得られるし、建材として使える材木でも樹皮や枝や葉は建材には利用されずに廃棄される。それらはセルロースで出来ている。

供給源③: 雑草 ・・・ そこらに生えている「雑草」もセルロースで出来ている。アメリカでは "switchgrass"(該当する日本語訳が無い?)と呼ばれるどこにでも生えている植物を原料とすることが検討されている。

供給源④: 工場廃棄物 ・・・ 工場で農産物や林産物を加工すると廃棄すべき屑が出る。これにセルロースが含まれていれば、それも使える。製材所のおが屑は良い例だろう。

供給源⑤: 廃建材 ・・・ 木造建築を解体すると廃木材が大量に発生する。現在は産業廃棄物として処分場へ運ばれているが、これもセルロースで出来ているので理論上エタノールの原料にできる。

これらを原料とできるようになれば、原料供給が飛躍的に増える可能性がある。