バイオディーゼルとは「メチルエステル」という物質を指すことが多いようだ。この物質はバイオディーゼルとして欧州では規格化されている。

基本的にこの物質は軽油にどのような割合で混ぜても良く、バイオエタノールのように腐蝕や内部での凍結などの問題を起こさないそうだ。

油脂とメタノールを混合し、水酸化カリウムなどの触媒と接触させるとメチルエステルを生成するらしい。

残念ながら今のところ matt がバイオディーゼルについて把握しているのはこの程度だ。EROEI についてもまだデータが見当たらない。

製造している企業に関する情報もほとんど入手できていない。

エタノールの話ばかり書いてきた。バイオディーゼルの話もしよう。

バイオディーゼルは天然モノの油脂から作る。原料は植物性油脂でも動物性油脂でも構わないが、普通は植物性油脂から作る。

原料作物は以下がよく取りざたされる。

・大豆(アメリカとブラジル)
・菜種(カナダ)

ほかにこういうのもある。

・パームやしの実(マレーシア)
・ひまわり

5月にマレーシアのアブドラ首相が訪日し小泉首相を官邸に訪問したが、その際「パーム油からのバイオディーゼル製造」が話題にのぼったらしい。

原料は上記に限らない。オリーブや椿の実でもいいし、胡麻や葡萄の種でも構わない。

主なバイオエタノール関連企業について書いておこう。


(1)「セルロース/酵素」系

日本ではあまり有名ではないが、こんな企業がある。

・Novozymes(デンマーク)
・Dansico の子会社 Genencor(デンマーク)
・Iogen(カナダ)
・Dyadic International(アメリカ)

Novozymes と Iogen は「酵素による加水分解」を経済的に実現する最有力候補企業と言われている。


Novozymes と Genencor は、アメリカ連邦エネルギー省から委託された研究開発プロジェクトに参加している。

また、三井造船がフィンランドのVTTという会社の技術を利用して、セルロースを酵素で分解してエタノールを製造する設備を岡山県に建設中だそうだ。


(2)「セルロース/酸・加熱」系

・月島機械
・BC International(アメリカ)
・日揮
・Arkenol(アメリカ)

游さんお薦めの月島機械と BC Int'l は提携関係にある。BC Int'l の加水分解技術を月島が導入している。また、日揮は Arknol の技術を使っているそうだ。

月島は「建築廃材」を利用してエタノールを国産する研究を進めている。また、単なるエタノール製造設備にとどまらず、「バイオリファイナリー」と呼ばれる生物系資源から様々な化学物質を製造する設備の建設を将来的に考えているようだ。日揮も同様のことを検討している模様だ。

"Biofuels (19)" に游さんが投稿されたコメントは、日揮と Arkenol に関するもの。3年後の2009年にカリフォルニア州で製造設備が稼動開始予定。

また、大阪府堺市で来年から廃建材を原料とする商業用バイオエタノール製造設備が稼動する予定になっている。こちらは、月島機械と BC International に関するもの。ただし、製造設備の所有者は別の5社が共同出資して設立した会社。


(3)「さとうきび」系

・アサヒビール

農林水産省が開発したさとうきびの新品種の栽培とそれからのエタノール製造実験を沖縄県で行っている。そに品種は面積当たりの茎の本数が従来品種の3倍になる。もっとも面積あたりの砂糖生産量が3倍になるのかどうかは確認していない。

さとうきびの搾り汁を「粗糖」と「廃糖蜜」に分離し、エタノール製造には「廃糖蜜」のみ充てる、という方針で研究している。これだと砂糖生産量を減らさずにエタノール生産量を増やせる、という触れ込みだが、単純にそう信じてよいのかどうか matt にはよく分からない。しかし、狙いは面白いと思う。

アサヒビールのさとうきび栽培は、2月に「ガイアの夜明け」で取り上げられたので、ごらんになった方もおられるかもしれない。

久しぶりに中共政権ねた。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060625STXKA005425062006.html

PBOCの小川くんによると、GDP成長率は去年今年と2期連続で2桁成長。その前も8~9%が続いていたから、これはすごい。

これからの焦点はおそらく、小川くんが「地方の銀行にいつどうやってどのくらいきつく貸し出しを絞らせるか」についてどういう考えを持っているかだ。

それによって、「いつどのくらいの規模の不況が来るか」が決まる。

もしこのまま高成長を2010年以降も続けさせるつもりなら、どこかの時点で急に供給不足/資源不足が来るに違いない。

小川くん、分かっているだろうがはっきり言っておこう。お宅のような政体では、ソフトランディングは無理だ。

1994年1月税制改正後まる4年かかった波及の過程を経験して俺は見当はついている。中央の意向に地方を沿わせるのにはお宅の国では少なくとも3年かかるし、あんたがこれからやろうとしているように貸し出しを引き上げさせるのは地方政府の利益に反するから必死になって抵抗するよ。

最終的には、現政権の者が強権を発動するか、或いは権力闘争を誰かが起こすかどちらかになるだろう。独裁国家にはそういう解決方法しかない。

貸し出し引き上げを示唆し始めたのは確か2年前だったな? 五輪までは我慢する気かい?

エタノールはハイテクでもなんでもない。にもかかわらず、代替エネルギーとして脚光を浴びている。

安価な石油供給の継続性に疑問符が付いているのが背景にあるが、素人考えで「それじゃあ、電気自動車とか水素自動車とか、水素燃料電池自動車とか、そういう選択肢はないのか?」と言いたくもなってくる。

結局、ガソリンが自動車の燃料として社会に広く行き渡っていることが背景にあるのだろう。

世界中、ガソリンスタンドだらけだ。

世界中、ガソリンを運ぶタンクローリーだらけだ。

世界中、ガソリンを運ぶタンク貨車が線路を走っている。

世界中、既にガソリンエンジンだらけとなっており、ガソリンエンジンは或る程度エタノールを受け付けることができる。

このように「炭化水素系液体燃料」を扱うインフラは、広く地球上に行き渡っている。「石油系燃料を代替する何か」をすぐに普及させたかったら、このインフラをそのまま利用できるのが一番安上がりだ。

もし、そのまま利用できないのなら、最小限の改造で利用に供することができるのが次善ということになる。

そうすると、エタノールは魅力的な代替物だ、ということになる。

EROEI が決して高くないにもかかわらず、アメリカでとうもろこしから製造するエタノールがブームを呼んでいるのも、これが原因だと思う。

消費側の話もしよう。

エタノールはガソリンよりエンジンのノッキングを起こしにくいという、優れている面もある。

しかし、以下3つの欠点がある。

(1)腐蝕性の液体であること。燃料タンクや給油パイプなどを腐蝕しやすい。エタノール濃度を上げるには、車体や給油設備に腐蝕対策を施す必要がある。

(2)水と混ざりやすい。水が混じっていると、寒冷地では給油パイプ中で水が凍る可能性がある。また、混じった水がエンジン内部等で金属を錆びさせる可能性もある。

(3)同じ体積のガソリンと比較すると熱量が少ないので、燃料タンクの容量とエンジンの出力・熱効率が同じなら航続距離が短くなる。

実用上は(1)が特に重要な点らしい。この欠点ゆえにエタノールはあまり使われなかった。

今のところ、日本の法律ではE3といって「エタノール3%+ガソリン97%」までしか許可されていない。読む資料によって異なるが、5%~10%の水準より低い濃度だと、腐食性を気にする必要がほとんど無いのだそうだ。

最近の報道によると、経済産業省は10%まで濃度を上げたE10を将来的に導入しようとしているようだ。

100%エタノールを使っているのはブラジルくらいのものだ。ガソリンとの混合物を使う国が多い。アメリカでは、まだ行って見てきたわけではないが、E10(ガソリン90%+エタノール10%)が今や日常的に使われる地域が出てきているようだ。E85(エタノール85%+ガソリン15%)の導入を推進しようとしている。

前回、「セルロースからエタノールを製造するプロセス」に存在する壁、について述べたが、「?」と思われた部分は無かったろうか?

最初に、植物体を「前処理」する、と書いた。この「前処理」の内容が何なのか、実は正確なところが matt には分かっていない。HPや書籍を色々とあたってみたが、はっきりと記載されていない。

探しているうちにヒントは見つけた。どうやら「植物体を細かく砕く」工程らしい、ということだ。まだ確定的なことは言えないが、不合理な推定とは言えないと思う。

例えば、間伐材を原料として投入するとしよう。

材木をそのまま加水分解用の反応容器に入れるのは好ましくない。酵素を使うにせよ、酸を使うにせよ、植物体がそれら薬品と接触する面積をできるだけ大きくするべきだ。その方が反応速度が速まる。

薬品との接触面積を大きくするには、材木を細かく砕かなければならない。

「木を細かく砕く」。なるほど。単純すぎる作業だ。技術的に難しいことは何もなさそうだ。

しかし、EROEI という観点を交えると、本当は無視すべきでないのかもしれない。「前処理」でどのくらいエネルギーを食うのかよく分からないが、消費エネルギーが少ないほうが望ましいに決まっている。

エタノールの原料としてセルロースが脚光を浴びているのは、農作物を原料として投入する必要が無いからだ。人間が食べないものを原料にできるし、セルロースを得るだけなら肥沃でない土地で肥料も農薬も与えられずに育った雑草や雑木林でも燃料源とできることになる。

しかし、セルロースからの生産には、今のところ壁がある。

セルロースからのエタノール製造過程は以下のようなものだ。

① 植物体を「前処理」する。

② 「前処理」した植物体を、化学的に分解して糖にする。

③ 糖を発酵・蒸留してエタノールを得る。

技術開発上の焦点となっているのは、②の工程だ。

この工程は「加水分解」と呼ばれる。酵素によって分解するプロセスと、酸(硫酸)を加えて加熱することにより分解するものと、2種類の方法がある。

どちらもまだ実用化段階まで達していないらしい。技術的にエタノールを製造できることは実証されている。しかし、少なくともこれまでは石油系燃料と対抗できるだけの経済性が得られていないらしい。

例えばさとうきびから作る場合なら、最初から蔗糖という「糖」が手に入っている。だから、上の①と②の工程が不要だ。セルロースから製造する場合は、最初から工程が多く、その分製造コストが上がる。

もっとも、6月20日の "Biofuels (17)"で紹介した2番目の記事によると、カリフォルニア州で日揮が建てるエタノール製造設備は廃木材を原料とすることを予定している。未確認なのであまり言えないが、ひょっとすると、採算性において何らかの進展があったのかもしれない。

エタノールを農作物から得るのは、EROEI(net のエネルギー収支)という観点であまり得ではない、という話をしばらく続けた。

しかし、技術的に壁を打ち破ることが将来できないとは限らないと思う。全てを悲観することはないと思っている。

例えば、乗用車がハイブリッド化され、ガソリンの消費を大幅に(数十%レベルで)抑えることが不可能で無くなって来ている。素人考えなのかもしれないが、耕運機や収穫機などの農機の熱効率が大幅に改善する日が来ないとは限らないと思う。

乾燥機だってそうだ。断熱性に優れた素材が登場して機器の材料として使われるようになれば、熱効率が大幅に上がって僅かな燃料で農作物を乾燥させることができるようになるかもしれない。

肥料と農薬はちょっとやっかいだ。しかし、これも考えようだ。肥料と農薬を使わなければ当然面積当たりの生産量は減少する。しかし、EROEI という観点から見ると、input が少なくて済むわけで、必ずしもエネルギー効率が悪化するとは限らない。肥料や農薬が少なくても耐えられる強い品種を入手できれば、EROEIを改善することは可能かもしれない。

そう考えてくると、技術革新を続ければ、「農作物から作ったエタノールの大部分を市場で売却した後の残りを農機具や設備の燃料とし、農作物を作ったらそれでまたエタノールを作る」という循環を形成できるようになるのかもしれない。

しかし、いずれにせよ広い土地は必要だろう。とても広い土地が必要だ。日本国内だけで考えるのはおそらく現実的ではない。

ちょっと飛び入り。

今日、バイオエタノールに関する新聞記事が3種類出た。ここで挙げておこう。

サトウキビエタノール混合ガソリン宮古島で実用化事業 経産省など3省1府 (日刊工業新聞)
http://www.nikkan.co.jp/hln/nkx0520060620024caao.html


日揮 車燃料用バイオエタノール 米社と製販契約締結 (日刊工業新聞)
http://www.nikkan.co.jp/hln/nkx0220060620011bcag.html

エタノール混合ガソリン 生産・給油所整備を支援 (日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060620AT3S0202F19062006.html

最初と3番目の記事から、いつの間にかバイオエタノール利用促進が国策となっていることがわかる。