「実録! 株式市場の錬金術師たち」

という本が店頭に並んでいます。この中の86~97ページは、リンク先「有報作ってても株はテクニカル」の管理人 hetaregumaさん(hataさん)が書いています。

(株)イースト・プレスから出版されています。

伝統的な軍隊、「弾道兵器」に依存する軍隊は、銃砲・火薬の使用とともに始まった。

最初は、大砲と小銃を軍隊に備えさせるだけのものだった。そのうちに、帆船に大砲を搭載するようになった。

「弾道兵器」の発達とともに、中世ヨーロッパで主流だった、重武装騎兵の時代は終わった。小銃で武装した歩兵隊、砲兵隊、大砲を積んだ帆船で編成した船隊、が主な兵力となった。(註1)

大航海時代~重商主義時代~植民地時代と、「弾道兵器」を備えたヨーロッパ人の軍隊は無敵の強さを誇り、世界を圧倒した。

そのうちに、ヨーロッパ列強どうしの植民地争奪戦が激しくなり、「弾道兵器」を持つ者どうしがまともに戦うように戦争の形態が変わり、激烈化してきた。(註2)

戦場で大量に弾薬が消費され、多数の兵士が死ぬようになった。弾道兵器も単なる小銃から機関銃へと進化し、戦場で消費できる弾薬の量がさらに増えた。

そこで対策として戦車が考案された。自動車に装甲をほどこし、その自動車から敵の兵士を銃撃させる。そうすると自分はやられないが、敵はやられる。敵を倒した後、味方の歩兵隊を送り込み、敵地を占領する。

戦車は次第に進化し、装甲がさらに重厚になり、搭載する火器は機関銃から大砲(Cannon)に変わっていき、相手も敵の歩兵から、敵の戦車へと変化していった。が、基本形は上述したことだ。

上に見るように、弾道兵器を持つ者どうしで戦争をする場合、「まず防御をほどこした後、敵を攻撃する」必要があることがわかる。しかし、防御をいくら強化してもいたちごっこだ。敵もすぐ対策を練ってくる。敵も戦車を開発し、敵が味方の戦車を破壊するためのCanon砲を戦車に搭載してくる。こちらの戦車が敵に破壊される。だからますます味方の戦車の装甲を厚くし、より強力な火器を搭載する。(註3)

このプロセス、兵器の「衰退」の過程と呼ばれている。

軍隊にとっては、戦闘行為・戦争はできるだけ単純明快に実施できるのが良い。「弾道兵器」体系下での戦争なら、敵が弾道兵器を持っていない状態で自分だけ小銃や大砲を使えるのが良い。この条件が破れたとたんに、防御の必要が生じる。

一旦この競争が始まると際限がない。どこまでも、火器の強化と防御の強化の競争が続く。 戦車の場合、初期の車体重量1トンから、いまでは70トン近くにまで跳ね上がった。もはや、「どこの道路でも走る」というわけにはいかない道具となってしまった。(註4)

エンジンもいまではガスタービンになっている。航空機用に開発したジェットエンジンの変形版を戦車を動かすために使っているわけだ。 しかし、どんなに防御を固めても、必ずと言っていいほど攻撃用兵器はそれを上回って進歩する。そして防御は破られてしまう。

このために、前回述べた「大部隊を編成して、敵に肉迫して一斉行動をとって射撃し、敵に弾薬の雨を降らせる」という戦法は、いつまでたっても「敵の反撃に遭うリスク」を下げられない。そうすると、損害も減らない。 ますます防御・火器を強化することになる。

ついには「敵の歩兵を機銃掃射する」というもともと単純だった目的を実行するのに、

・複合材料を使った強力な装甲

・装甲された敵の戦車を倒す強力な対戦車火器

・重い戦車を動かすガスタービンを駆動させるための航空用燃料(ケロシン)

・歩兵隊と戦車隊とが連携して戦場で行動できるよう、日ごろから共同訓練を行う

などなど、どんどん物入りになってくる。こういう現象を「兵器の衰退」と呼ぶ。単純な目的を達成するためにどんどん複雑なシステムになっていくプロセスだ。

どんどん物入りになるのに、損害は減らない。「投入したinputに対するoutputを得る効率がどんどん落ちていく」わけだ。

アメリカ人にとっては、これは困ったことだった

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註1: 騎兵がすぐに消滅したわけではない。騎兵の運命については、「胡と漢」シリーズで後日述べようと思う。

註2: 国家総力戦が行われるようになったのは、一つにはこのためだ。「宇宙戦争?(その5)」の註3で弾薬の消費量が多くなる旨述べたが、最先端の「弾道兵器」を持つ者どうしで戦うから、大量に弾薬を投入することになる。当然大量に弾薬を生産しなければならない。だから、「銃後の守り=工場生産への徴用」が行われたわけだ。

註3: 相手の装甲を破るより強力な火器を追い求めた結果、劣化ウラン弾が開発された。地上で弾道兵器の弾頭に与えることができる速度は初速で秒速1kmが限界であることがすでに分かっている。運動エネルギーは「重さ」と「速さの2乗」に比例するから、弾頭に与える運動エネルギー=破壊力を大きくするには、後は弾頭を重くするぐらいしか手がない。(厳密にいうと、内蔵する弾薬の性質を変える手もあるが、ここでは省略する)

そこで、鉛より重いタングステンが最初は選ばれ、いよいよ物質が見つからなくなって、原発で余って困っていたウランが使われたというわけだ。比重が鉛の3倍近いウランを使わないと、いまや敵の装甲を撃ちぬけなくなっているわけだ。

註4: こんなに重いと、重量に耐えられない弱い舗装の道路や、弱い橋など、いくらでもでてくる。そもそも、戦車が1輌単独で行動することはめったにないから、橋ならこの数倍の重さに耐えられる構造でないといけない。

mattは日経(朝刊のみ)を毎日読んでいる。

普通は32ページ目くらいにある(現物)商品市況欄から読む。そこから順番に前の方のページへと移っていく。一面トップ記事は見出しを眺めて終わりにすることが多い。

が、今日は違った。

特に注目したのは、三菱重工業が「政治的配慮から米エンジニアリング会社と組んで」というところだ。

どの会社かは書かれていない。いまのところmattには分からない。可能性があるのは、例えば Bechtel のような会社だろう。

三菱重工業には頑張ってほしいと思う。

宇宙空間の利用に依存している兵器の一つに、巡航ミサイルと呼ばれるミサイルがある。高度30メートルくらいの超低空を亜音速(音速近くの速さ)で地形に沿って飛行し、何百キロ(最大で2千キロメートルぐらい)先の目標に命中するという、あれだ。米軍のトマホークが有名だ。

超低空を何百キロも亜音速で地形に沿って飛行するから、地形を正確に把握し、かつミサイル自身がミサイルの現在位置を正確に捕捉できなければならない。事前に地形をミサイル内蔵コンピュータに記憶させ、GPSの信号を頼りに現在位置を測定しながら目標に向かって飛行する。

命中精度は高い。mattの記憶は1988年頃のもので古いが、その当時でCEP30メートル(註1)というすばらしいものだった。まだGPSが実用に供されていない時期でそれだけの精度を誇っていた。あれから15年以上経過している。TVで「ピンポイント攻撃」と報道しているのは、本当にそうなのだろう。

地形データだって、人工衛星から撮影する写真に大きく依存しているはずだ。

何百キロもの遠距離射撃でこの命中精度を維持できるのはすなわち、アメリカが宇宙を利用できていることにミサイルの性能が依存しているということだ。

アメリカ人にとって重要なのは、「遠距離で高精度」ということだ。

遠距離射撃ができるということは、ミサイルを目標近くまで運搬する「兵器プラットフォーム」を危険にさらさなくてよいということだ。

トマホークは、水上艦船にも、潜水艦にも、B52のような爆撃機にも、搭載できる。これら水上艦船・潜水艦・爆撃機も、敵の近くに展開しないですめばそれに越したことはない。乗組員・搭乗員の生命を危険にさらさなくて済む。

命中精度が高いということも、兵器プラットフォームを危険にさらさなくてよい、ということに貢献する。

伝統的な軍隊が依存している兵器、爆弾や砲弾などの「弾道兵器」は、命中精度が低い。

例えば、TVドラマなどで刑事が拳銃を発砲すると当たっているが、遠距離での拳銃の射撃はとても難しい(註2)。歩兵が持つ武器は主にライフルだが、これも同様だ。撃って必ず当たるというのからはほど遠い。実際に兵士が行っているのは、大量の弾丸を敵に浴びせることだ。そうするとその一部が当たり、敵を倒すことができる。(註3)

航空機が地上を爆撃するのも同じだ。爆弾を投下しても命中率は低い。だから大量に爆弾の雨を降らせる。そうすると、その一部が目標を破壊してくれる。

砲撃も同様だ。砲弾を発射しても命中率はやはり低い。大量に砲撃して砲弾を雨を降らせ、一部が目標を破壊する。

こういう「弾道兵器」による攻撃は、「大量に爆発物・弾頭を敵に向けて降らせる」ことが前提となっている。だから、歩兵にしろ、戦車隊にしろ、爆撃機隊にしろ、たくさんの数で大部隊を編成し、その大部隊を敵のすぐそばまで行かせ、弾頭の雨を降らせることになる。

大部隊を目標に向けて一斉に動かすわけだから、部隊の構成員はみなロボットのように上官の命令に忠実に従い、一斉に同じ行動を起こせなければならない。だから、軍隊では徹底的に規律を叩き込み、小部隊・兵士各人ごとに勝手な行動はとらさないようにしなければならない。

しかし、こういう戦闘行動をとると、多くの兵士を敵の眼前に連れて行き、敵の反撃にさらすことになる。おまけに、命中率が低いから、目標を破壊するまで何度も何度も繰り返し攻撃を行うことになる。

だから被害がとても多くなる。

命中率を高くできれば、敵前に出撃する回数を減らし、敵の反撃に対して露出する頻度を下げることができる。だから、命中精度を高くできると全体として損害を減らすことができる。

さて、アメリカはインドシナ(と朝鮮半島?)で戦った結果、弾道兵器の限界が身に染みた。そしてベトナム戦末期にちょうど「精密誘導兵器の走り」が登場した。そこから米軍の戦略が少しづつ変わり始めた。

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註1: CEP="circular error probability"。「CEP30メートル」とは、「半径30メートルの円内に50%の確率で命中する」という意味。トマホークの最大射程は2000キロメートル。公称性能をそのまま信じて単純計算すると、2000キロメートル先の目標が建坪の縦横それぞれ60メートルの建物なら、2発撃てば必ず命中させることができる、ということになる。

註2: mattは射撃をしたことがある。拳銃を撃つと、反動で跳ね上がる。銃身を目標に正確に向けぶれないようにするのは、とても難しい。拳銃ほどではないが、ライフルでも同様だ。

註3: だから、戦時の弾丸・火薬の消費はすさまじい。

London でテロ事件があったことを考えると、英国内市場も含めてみな冷静で小動きだったと思う。


今週の売買: none
現在のポジション: EUR/USD 平均@1.2509 売り
今週末の市況: EUR/USD @1.1970前後 | USD/JPY 112.17前後 (05:50 09/07/2005 JST)

地球の周辺の宇宙空間を支配するには、いくつか重要な「場所」がある。「ラグランジュ点」と呼ばれる5箇所だ。

地球と月との関係のように、大きな星の周囲を小さな星が回っているとき、2つの星の重力が均衡し、そこに位置する物体が軌道をずれることなく(2つの星に対する相対的な位置が)安定する点のことだ。

地球と月との関係で言えば、月の軌道上にあって月と地球とその点とでほぼ正三角形を形成する位置が2箇所あるが、この2箇所が最も安定している。

ほかにも、月の裏側と表側(月と地球との間)に1箇所ずつ、月の軌道上で地球から見て月と正反対の方向に1箇所ある。この3箇所は最初の2箇所ほど安定性が高くない。

火星と木星の間にたくさん小惑星があるが、この小惑星のかなりの部分は「太陽と木星とで形成される、木星の軌道上のラグランジュ点2箇所」からそれほど遠くない空間に存在している。「もともとはラグランジュ点上に惑星があり、それが何らかの原因でばらばらに砕けた」という説があるくらいだ。

20年以上前に放送された「機動戦士ガンダム」では、「サイド7」とか「サイド6」などという名の宇宙ステーションが出てきたが、あれら宇宙ステーションはみなラグランジュ点に位置している。

まったくその通りで、地球の周囲の宇宙空間を支配するには、地球と月が形成するラグランジュ点5箇所に宇宙ステーションを設置するか、或いは月面に基地を設置するのが良い。

地球と月の「系(システム)」の中では、地球の引力が圧倒的に強い。だから「地球の外から地球に向けて弾丸を発射できる位置」が最も攻撃に有利な位置となる。地球から宇宙空間に向けてミサイルを発射するより、月から地球に向けてミサイルを発射する方が、ミサイルに与えなければならない運動エネルギーがはるかに小さくて済む。保有している兵器が同質なら、月面基地から地球を攻撃する方が地球の表面にある基地から月を攻撃するより簡単だ。

将来の地政学は、こういった「宇宙空間の地政学」なのかもしれない。現代の地政学で言うところの、スエズ運河、パナマ運河、マラッカ海峡なみの重要性をラグランジュ点が持つかもしれない。

上述したことも、基本的なコンセプトは「戦場の未来」に書いてある。

カーナビに使われているGPSは、90~91年にアメリカがイラクと戦ったとき、初めて実戦に投入された。これ以来、各部隊・各兵士が自力で自分の(地球上での)所在地を把握できるようになった。(註)

GPSとデジタル無線通信を駆使すれば、各部隊が自力で自分の居場所を把握し、他の部隊の所在地も把握し、敵の所在地と規模を把握し、司令部の方針を把握しつつ、自発的に作戦をその現場で立て、行動できるようになる。

これは大変な進歩だ。実を言うと、伝統的な軍隊は自力で自分の居場所すらなかなか把握できなかった。英語で "fog of war" と表現するのだが、「戦場で戦っている者は、自分の周囲の状況が分からず、自分がどういう敵と戦っているのか、敵がそもそもどこにいるのか、味方はどこにいるのか、よく分からない」状況に置かれやすい。

軍隊では一般に、上官の命令に忠実に従う部隊が必要とされている。これは一つには、fog of war のためだ。徹底的に規律を叩き込み、命令どおりに大部隊に一斉に同じ行動をとらせる。そういう訓練をするわけだ。そうすると、自発的に作戦を小部隊レベルで考えて行動する、などということは通常はできない。そういう教育をしないからだ。そうしないと、fog of war に巻き込まれたときに、不安にかられて兵士がてんでばらばらな行動をとってしまいかねないということでもある。

それをコンピュータと電気通信の技術革新が解決しつつある。IT技術の進歩によって、小規模な部隊に自発的に考えさせ、自律的に行動をとらせることが可能になりつつあるわけだ。

アメリカ国防省は1990年代に“Force 21”というプロジェクトを実施した。精密誘導兵器の時代に向けて、過渡期の地上軍を模索したプロジェクトだ。IT技術を駆使して部隊を統合運用する実験を行った。

その成果の一部は2003年春にイラクをアメリカが攻めたとき、新聞やTVで見ることができた。カタールの前線司令部の写真を覚えている方がおられると思う。テントの中でノート型パソコンに向かって作業をしている兵士がたくさん写っている写真だ。現代のアメリカ地上軍では、これはすでに重要な一部となっている。

TVニュースでときどき、「英軍や日本の自衛隊では、米軍と作戦行動をともにできない。米軍の足手まといになる」という解説が最近はなされるようになった。これは上記のようなネットワーク化の程度の違いを反映している。米軍以外の軍隊はネットワーク化されていないので、米軍と同レベルの情報共有ができず、作戦行動をともにやりたくてもできないのだ。

この「ネットワーク化された地上軍の統合運用」に、人工衛星の利用は欠かせない。上に述べたようにGPS無しではもはや米軍は何も出来ない。衛星通信も必須となっている。

宇宙空間の利用が必須となった以上、宇宙空間を支配できなければ軍隊の展開に支障が生じる可能性が出てくる。通信衛星やGPS衛星を破壊すれば、アメリカ陸軍を無力化できるとまでは言わないが、少なくともその能力を大幅に低下させることはできる。だから、今すぐ問題とは多分ならないが、長期的には「宇宙空間を支配するための、大気圏外での戦闘」が発生し得るというわけだ。このことは「戦場の未来」にはちゃんと書いてあり、アメリカ人がまじめに想定し、研究していることがわかる。

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註: 当時は1日22時間しか使えなかったらしい。

堀江貴文社長のおかげで宇宙が注目されているようなので、もう少し書こう。

熱い戦争になるかどうかは分からないが、アメリカと世界の覇権を争う国がもし出てくるとしたら、その国は宇宙空間の支配権をアメリカと争う必要があるであろうことは、すでに指摘されている。

例えば、こういう本がある。

「戦場の未来 - 兵器は戦争をいかに制するか/The Future of War」(徳間書店刊、George & Meredith Friedman 著)

原書は1996年、日本語訳は1997年に出版されている。mattが読んだのは1998年だったと思う。

mattが自分なりに理解しているところの著者 Friedman 夫妻の主張はこういうものだ。

・砲弾や爆弾などの弾道兵器を前提とした兵器体系は衰退しつつある。これからは精密誘導兵器の時代だ。

・精密誘導兵器の時代には、兵器を搭載する「兵器プラットフォーム」は、弾道兵器の時代に比べて小型あるいは外部から発見されにくい形態のものがよい。弾道兵器を使用することが前提の(戦車と航空母艦に代表される)従来の重厚長大型兵器体系を根本的に変えなければならない。

・精密誘導兵器を存分に使うにはコンピュータ技術と宇宙空間を支配することが必要。これにより、アメリカは制海権、ひいては全世界規模の覇権を引き続き維持できる。

もうすこし細かいことは後日書くとして、大雑把に言うとこういう主張だ。(註)

7月1日の投稿のように、中国の宇宙開発に注意したのは、こういう背景があるからだ。

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註: この主張は、リンク先「週刊アカシックレコード」の一部記事にも影響しているとmattは思っている。

金曜日、NYでドルが上げた。一番売られたのは日本円か。

先週の売買: none
先週末のポジション: EUR/USD 平均@1.2509 売り
先週末の市況: EUR/USD @1.1957前後 | USD/JPY @111.78前後 (05:50 01/07/2005 JST)