本来なら畑の中で苗床を用意しつつ
トンネル用支柱などを使って簡易温室をしつらえて
苗床を整えたらタネを蒔いて発芽を待つ・・・・
これは
品目・品種の分類に関係なく
春から育てていく野菜の育苗と
その後に行う本植(定植)の準備作業です。
中には
苗床に撒いて苗を準備しなくても
畝を起こしたら直播する野菜もありますが
その場合は
タネを蒔く間隔と作業手間次第で
発芽後の間引き作業手間が楽になる?…面倒になる?
そして
春に撒く野菜の中で
春の適期(春本番を迎えて温かさが増すころ)を待たず
寒いうちから苗準備を始めるのがナス科の野菜たちですね。
ウリ科はタネも撒いても発芽が早いので
温かさが増したと感じた頃に撒いても遅くいないです
ただ・・・疑似的な発芽環境での発芽は徒長しやすい
その原因は?
- 日照不足 光合成を行うための光エネルギーの不足により, 太陽光を求めて伸長生長が促進される
- 水分の与えすぎ
- 苗床が高温(該当品目の発芽低温より高い環境).
- 栄養素(特に窒素)の与えすぎ
- 風通しが悪い
一旦徒長してしまうと解消することができず
そのまま育てても丈夫に育てることが難しくなります。
その理由は?
- 葉の色素(葉緑素)が薄くなり、効率的に光合成を行うことが難しくなる
- 葉や枝の組織の密度が低く柔らかいため、害虫の食害を受けやすくなり、病原菌が植物体に侵入が容易になる
- 病害虫に対する抵抗力(耐性)が著しく低下します。
- 株元がふらつき支えきれず、茎折れ倒伏を招き易くなる。
徒長の結果・・・
- 定植後の生長が鈍く開花や着花数が減り、最終的に収穫量が落ちる要因になります。
- 耐性の低下に伴い病害虫からの攻撃や、気温変化など環境変化に反応できなくなります。(環境適応性の低下)
こぼれ話
せいちょうとは・・・
生き物などが小さい(幼い)状態から段階的変化を表す言葉です。
生育経過を表現する場合は、
人や動物に対してだと「成長」と表し、
植物の場合には「生長」という文字を充てます。
育っていく様を的確に表すので、
会話では同じ発音ということもあり、
どちらを使っても間違いではないかもしれませんね。
ただ・・・
日本人は言葉を文章に起こすとき、
意味を理解したうえで使い分ける事に長けていますよね。
幼い時から漢字に触れてきたことにより
漢字が示す意味を映像(イメージ)として捉えやすい長所です。
人や動物の生育過程を、
「生長」ではなく「成長」と記述しているのは、
育つ過程に長期的展望を含む場合に使うことが多いかも・・・
例えば
人以外だと「経済の成長」「企業の成長」「国家の成長」とかね
これも一種の「同音異語」に近い役割(使い分)かもしれず、
概ね植物や菌類に関しては「生長」という漢字を充てて、
普段から区別すると選り具体的なイメージが伝わりやすいですね。
これを強く意識するようになってからというもの
植物に関する記述や文章中に「成長」という漢字が充てられると、
何処となく違和感を感じるようになりました。
植物に対して比喩や擬人法を用いることが間々ありますが、
やはり「生長」と記したほうがしっくりします。