天才をのぞき、普通の人がトップレベルにいくにはトップレベルにたくさん触れることで、そこで常識とされることに自分が染まってしまうのが一番早い。人はすごいことをやって引き上げられるというより、「こんなの普通でしょ」と思うレベルの底上げによって引き上げられると思う by 為末大
ブログを読んでくださってる方には申し訳ないことに、9月10月11月とほぼ更新せずに来てしまいました。なんというか、めちゃくちゃ充実していました。この充実感とスピード感をシェアすることこそ、ドタバタバス弾きのブログなのに全く役割を果たせていなくて申し訳ない。。
日本から帰ってすぐには、2015年1月にスイスで共演して以来ものすごくファンになった指揮者とのプロジェクトが!
古楽オルガン奏者出身でありながら現在欧米を中心にかなり幅広いレパートリーで一流のオーケストラを指揮して回っているというマシュー・ホールズ氏。その経歴が気になりすぎて調べている途中に出会った名前が自分のキャリアにも多いに影響するなど、音楽性・インテリジェンス・紳士的でありつつ合理的なリハーサルに感服することもさることながら、個人的に存在自体にもえらく感謝している次第です。
そんな来歴でありながら、HIPの教育活動はやっていてもほとんど所謂古楽オーケストラの指揮はしていない模様。そんな中、ご縁を保っているカプリッチョはすごい。
そして、いつも弾かせてもらっているオーケストラだからこそ、こういった一流のゲストが来たときの豹変ぶり、「こんなにポテンシャルがあったのか!」という驚きはひときわすごい。
常々思うのは古楽の世界では、プロの指揮者が少ないということ。それぞれの楽器なり歌なりの専門家が転じて指揮をするのが多いのだけど、本当に棒のテクニックがある人が前にたつとまた違った世界が見えて面白いし刺激的!というのが単純な私の感想であります。(まあそれに見合ったものが返せないといけないと思う次第。だから普通の指揮者はやりたがらないのかな・・・)
今シーズンを以て2020年まで改装のために閉館してしまうチューリッヒのトーンハレにて。
モーツァルト 交響曲39番EsDur、交響曲40番gMoll、交響曲41番CDur。
一年のうちに作曲された最後の3つの交響曲。全て毛色が違うのだが、ひとつの演奏会で取り上げるということでそのテーマを最初のリハーサルで一言で表すことをしたのが印象的だった。闘いの中で39番は「挑戦」、40番は「苦悩」、41番「勝利」。確かにバラバラに演奏する機会も多いけど、こういう風にひとつの線の上に配置するといいなあ。
このプロジェクトも一年半くらい楽しみにしていたからこれ以上楽しいことはないんじゃないかと燃え尽き症候群が心配されていましたが・・・なんのなんの、「クライマックスは更新される」シリーズは続きます。

