安定のテレ東深夜枠「木ドラ24」で放映された。

もともと観るつもりはなかったのだが、ネットであのかたせ梨乃が狂気のストーカーおばさんを演じる、というから興味津々で観始めて、どっぷりとハマってしまう。

 

かたせ梨乃と言えば、豊満バディで若い頃はブイブイ言わせていたセクシーな女優だったのだが、まさかまさか、この御年でこんな不気味な役を引き受けるとは思ってもみなかった。

 

自分のことを永遠の16歳の美少女と信じ、偶然出会ったアパートの隣人である豆原一成演じるイケメン君の野村ヒロに一目ぼれし、ストーカーよろしく付きまとい、最後はとんでもないことをしでかすまでを、コミカルにホラーに描いていく異色作。

ヒロは結婚しており、奥さんのサエを岡田結実が演じている。彼女はギャルを演じると田辺桃子と並び実に上手い。

 

原作の漫画も面白いと思うが、「トランジットガールズ」「るなしい」の加藤綾子による脚本も良いのだろう。

テンポ良く、時に不気味に、時にコメディチックにと緩急織り交ぜて観る者を飽きさせない。

とりわけ、かたせ梨乃演じる白石美子の突き抜けた”やばい女”感が心地よい。

そして、美子を演じるかたせ梨乃の演技の振れ幅も特筆ものだ。やはりこれだけの不気味さを前面に出すには、それなりの演技力が無いと成立しない。その点においてかたせ梨乃のキャスティングは絶対だったのだろう。

 

そしてもう一つ特筆すべきは、美子の中に存在するもう一人の人格である、永遠の美少女を演じる林芽亜里の存在。

正統派の美少女ではないものの、愛嬌と魅力あふれる美少女で、かたせ梨乃演じる美子だけでは不気味さだけが拡大してしまうところを、彼女が画面に入ってくるだけで絶妙に中和される。

それほどに愛くるしい笑顔と可愛らしい仕草で、観る者を魅了する。

 

林芽亜里。表情がとても柔らかく声も良い。演技もなかなかいける。

そして愛くるしいマスク。将来が楽しみな女優さん。

 

ヒロが自分のことを愛しているのだと勝手な妄想の世界を作り上げ、迷惑を顧みずストーキングしていく過程がコミカルなのだが、それが一層のホラー感を増幅させていく。サエとともに温泉旅行に行ったヒロをストーキングする回は最高だったが、一方でヒロの会社の同僚の女性の死に間接的に絡むなど、ホラー要素も織り交ぜてカオスな展開が病みつきになる。

 

途中で美子の娘の夏美が登場し、美子がなぜ家族を捨てて一人暮らしを始めたか、そしてなぜ美子が心の中に永遠の美少女を抱えながら生きているかが明かされる。

実は永遠の美少女は美子の理想であり彼女の16歳の頃の姿ではなく、本当の美子は16歳の頃は冴えない普通の女の子だった。そして彼女を小間使いとしか思っていない夫や娘との生活に疲れ、60を過ぎて自分の人生に疑問を抱き、もう一度青春を謳歌したい、と決心し家を飛び出したのだ。

 

美子の過去と現在を知ると、哀れを感じ同情の気持ちも湧いてくる。だが、最終回での暴走でその同情も消えてしまうのだが。。。

最終回では16歳の美少女を殺し、生まれ変わったかのように見えた美子。

だがラストシーンでは、ヒロと会う前と同じような美子がアルバイトを探すために電話をし、アパートの部屋の呼び鈴が鳴って、ウキウキしながら玄関に走り去るところで終わる。また新たな隣人をロックオンしたのだろうか。。。。。

 

女優は年齢を重ねるとどうしても母親役などが多くなる。

しかし、今回のかたせ梨乃のように狂気に満ちた永遠の16歳、などという特殊な役も「有り」なのだと気づかせてくれたテレ東と、かたせ梨乃にあっぱれと言いたい。

 

最期に、このドラマを観ようと決心したシーン。初回のラストで流れた衝撃のシーン。

このシーンまでヒロと話をしていた美少女(林芽亜里)は妄想で、ノリノリで「センチメンタルジャーニー」を歌う本当の白石美子が登場し、実は61歳のオバサンと判明する衝撃のラスト。ナイスです。

 

最高です。かたせ梨乃さん。