テレ東の名プロデューサー、祖父江里奈がまた攻めたドラマを作った。
深夜枠とはいえ、宗教団体の教祖でもある少女が主人公とはこれまた攻めすぎなんでないかい、と。
それでも彼女の作るドラマは確かなメッセージ性でどの作品も心に刺さるので、やはり見ないわけにはいかない。
原作は意志強ナツ子の漫画だが、今回はテレ東得意のキャスティングの妙でおそらくドラマ版は原作とは違った雰囲気となりそうだ。というのも原作の主人公・郷田るなに対し、ドラマ番のるなのビジュアルはわざと寄せなかったからだ。
髪型とメガネは変えずとも、原作ではそばかす顔の地味な少女という設定なのに、実写版ではまさかの原菜乃華。
若手女優の中でも演技力、美少女ぶりとも頂点に立つ彼女をるな役に設定した、その戦略的キャスティングが凄い。
このおかげで、実写版では美少女・るなを中心に男女問わず彼女の魅力(魔力)に吸い寄せられる哀れな人々、という構図ができあがる。またその美少女ぶりは、破滅に向かって突き進んでいく美しいヒロイン、という設定にも説得力を持たせている。
原菜乃華は連ドラ初主演なのだが、深夜枠でなおかつ実力が無いと演じ切れない役をやるというのは、女優としてのキャリアを積むには安全で明確だ。
実力も人気もそれほどでもないのに、突然ゴールデンタイムの看板ドラマや朝ドラに起用されて失敗した例は数多ある。
原菜乃華という正統派美少女で実力ある女優さんとしては、順調な船出と言っていいだろう。
彼女の魅力は愛らしいルックスと声優としても評価の高い、その優しさに満ちた声だ。多部未華子に通ずる才能の持ち主と言ってもいいかもしれない。そしてメガネをかけてもそのルックスが損なわれるのではなく、むしろ美少女ぶりが増すというのも正統派美少女の証だ。
母親とは幼い頃に別れ、育ての親であるおばば(根岸李衣)によって、鍼灸院(しんきゅういん)「火神(かじん)の医学鍼灸院」で、「火神の子」(神の子)として育てられるという、過酷な運命を背負ったヒロイン・郷田るなというなかなか難易度の高いキャラを、原菜乃華は彼女らしく、可憐に、そして人間臭く演じている。
うさん臭い宗教一家というと、一般人はどうしても世俗から遠くにいる近寄りがたい人間をイメージする。
しかし彼らも所詮は人の子であり、たまたま「あっちがわ」にいるだけなのだ。そんなたまたま「あっちがわ」にいる一人の平凡な少女が、「神の子」として生きていかないといけない悲哀を、原菜乃華は全身全霊で演じる。
特に最終話で、初恋の人であり復讐の対象である成瀬健章(窪塚愛流)と一線を越えてしまい、神の子ではなくなってしまったるな。自分のアイデンティティが崩壊してしまった恐怖と悲しみを、泣きながら錯乱した状態で幼馴染のスバル(本島純政)にぶちまける狂気の演技は圧巻だ。これまで、るなが心の奥底に封印してきたすべての複雑な感情が一気に爆発したのであり、神の子が人間の子に変わった瞬間でもあった。
るなは最期は信者たちから訴えられて刑に服すことになるが、人の子として再生するのかと思いきや、スバルと信者でありるなの第一の側近の塔子(影山優香)が交わることで、新たな神の子を誕生させて、出所したるなを出迎えるという衝撃のラストが待っていた。せっかく人の子になったるなは、また宗教の世界に取り込まれて行ってしまうのか。。。。
ドラマには影山優香のほか、駒井蓮、加藤小夏、滝澤エリカといった魅力的な女優陣も多数出演。
正名僕蔵も味のある信者役で存在感を発揮。
ナレーションは松本まりかが担当しており、おどろおどろしいナレは彼女の才能を感じさせる素晴らしいでき。
決して信者ビジネスを肯定する内容ではなく、そこに身を置く者たちも様々な事情があってそこにいるという側面を描いている。宗教が悪いはずはない。それは太古の昔より迷う民がいて、それらを救い安寧な世界を作るためには必要なものだった。
ラストシーンで一人の巫女のような女に群がる民が描かれる。彼女は言う。「救う代わりに代償を払え、と」。
悪いのは人間の心である。
るなが「神の子」のまま生きられず、地獄に堕ちてしまったのも人間の弱さをさらけ出してしまったからだ。
だからといって、信者を騙し続けた彼女の生き方を肯定するものではないが、それでも一人の人間として「神の子」として生きることを強いられた、るなには同情を感じざるを得ない。
原菜乃華は、そんなるなという哀れな存在をしっかり演じ切ったと思う。
るなが、ケンショーにチョコバナナを食べさせられるシーン。
ちょっとエロチックなシーンを、エロくなく演じてエロさを感じさせる原菜乃華はすごい。
(ちょっと何言ってるかわからない。。。笑)



