日本への往路の機内で観た。

残念ながらB767ー300の古いエンタメ機材、エコノミークラスのちっちゃなモニターで観たので失敗した。

フライト時間が短いので最後まで観られず、復路のB777ー300のデカいモニターで観たら、映像が美しくてあらためてちゃんと家で観るべきだったと後悔した。原作・新海誠でアニメ版は彼が監督だった。

 

そして直感なのだが、これアニメの方がよかったのかな、、、、と。

映画でもストーリーのメインは中学時代の主人公たち貴樹と明里の瑞々しい恋物語なので、彼らが成長して美しい思い出を振り返る時、実写だとどうしても子役/成人役が別人が演じることになるため、観ている側は感情移入しにくい。少なくともMATTはそう感じる。

 

しかし、映画も心に残るよい作品だった。二人の男女の出会ってから別れるまでを描いた作品はほかにも数多ある。

この作品の白眉はやはり、貴樹と明里が雪の岩船駅で待ち合わせし、一本の桜の木の下で別れを惜しみ初めてのキスを交わすシーンだろう。その映像の美しさは、何年か経ってこの映画を振り返った時に、この映像しか心に残っていないのではと思わせるほど。

もう一度大きな画面で観てみたいと思う。

 

実はこの映画を観たいと思った動機があって、それは高畑充希(篠原明里)、森七菜(澄田花苗)宮崎あおい(輿水美鳥)、木竜麻生(水野理紗)、そして明里の幼少期を演じた白山乃愛という5人の女優が出ていたからだ(かなり豪華なキャストだ)。

 

共演でも安定した演技で魅せる高畑充希はさすがだった。遠野貴樹役の松村北斗(高校時代は青木柚)とは成人してからは一度も交わらない。長く離れ離れだったが終盤の舞台であるプラネタリウムで偶然に接近し、まさかの再会があるのかと思わせておいて、結局最後は幼い頃の思い出の場所だった踏切で互いのことに気づかないまますれ違う。

交わらなくとも、セリフが無くとも、その表情で長く遠ざかっていたかつて好きだった人への想いを表現できる、高畑充希の女優としての力。その高畑充希が劇中で共演するのが宮崎あおい。この二人は女優のタイプとしては、実は似ているのかもしれないと思った。二人とも多くを語らなくても、優しさや悲しみといったものを表現する力がある。

 

高畑充希はどんどん魅力的になっていく。「1122」も本当に良かった。

 

そして表現者としては森七菜も昔から注目している。この作品でも瑞々しい演技で劇中、もう一つの恋物語で爪痕を残している。B767のちっちゃいモニターでは最初誰かわからなかった。でもこの子すごいなと思っていたらしばらくして、あ、森七菜だと気づいた(笑)。貴樹に対する想いが決して実らぬものだと知った時、その絶望感が痛いほどに伝わってくる彼女の演技、この作品の一番の見どころだったと思う。

 

森七菜演じた花苗のこのシーン、美しい映像だった。

彼女の想いが貴樹に永遠に届かないことを知る、泣ける名シーン。

 

木竜麻生も主役でなくとも十分に存在感を発揮する女優さんだ。こちらも最初の方で貴樹の彼女役で出てきて、すぐに別れてしまい、ラストシーンで再会するのだが、最初のシーンでは顔も良く見えずわからなかったが、声と目で木竜麻生かな?と思っていたら、やはりそうだった。彼女は絶対にいい役をもらうべきだ。早く誰か主役で抜擢してあげてほしい。

 

最後にこの作品を支える本当の主演女優は白山乃愛だと確信する。

「ゆりあ先生の赤い糸」で印象深かったが、その後も「スカイキャッスル」、「波うららかに、めおと日和」、「照子と瑠衣」などに出演して着実に成長している。子供だった顔も少しずつ大人の顔になり、美少女ぶりに磨きがかかっているようだ。

子供時代の美しい恋物語、そこにはやはり誰もが認めるような美少女がいるべきなのだろう。それを演じることができる女優はそうはいない。白山乃愛はまさにそのポジションにいる。彼女が明里の子役時代を演じたことで、この作品の説得力が強化されたといっていい。白鳥玉季と並んで正統派としての将来が楽しみ。

 

共演者は岡部たかし、戸塚純貴、吉岡秀隆、堀内敬子、又吉直樹ら。

 

明里はすでに別の男を愛しており結婚して海外へ旅立つ。

貴樹は(おそらく)まだ明里のことが忘れられずにいて、目の前の愛する人の存在をも肯定できない。

これを男女の差とあっさり言うのは簡単だが、男女の間に流れる時の流れの差、という風に考えるとどうだろう。

タイトルの「秒速5センチメートル」は物語の中で象徴的に語られる。

桜の花びらの舞い散るスピード、だそうだが、それを観ている風景、感じている時間は男と女では違うのかもしれない。

 

なんかほとんど女優さん批評になってしまったが、この作品はもう一度大画面で観てみたい。

あと、アニメも見た方がよいかな。。。