デイヴィッド・リンチ監督作品鑑賞第三弾だ。

 

寡作なリンチ監督にとって長編第4作目。

いつものリンチ作品かと身構えて観るも、意外に普通のストーリーだったりして少し拍子抜け。

古き良き時代のアメリカの田舎町を舞台に繰り広げられるサスペンスドラマ。

 

主演のカイル・マクラクランは「ヒドゥン」で初めて観て、クールでかっこいい役者というイメージだったが、あらためて見てみると佇まいが岡田将生と似ているというのが新たな発見だった。

ちょっと優男風のイケメン、というところが共通点だろうか。

 

物語は静に始まっていく。小さな田舎町で起こった謎の事件。事件の真相を追求しようとするカイル・マクラクラン演じる主人公・ジェフリーの行動はあまりに突拍子もないものだが、リンチ作品と思って観ているのでそれほど違和感なし。。。

 

ジェフリーの一挙手一投足は相当ぶっ飛んでいるのだが、物語の途中から登場する二人の人物によって、彼の特異な存在は大幅に中和される。

それはイザベラ・ロッセリーニ演じる謎の女・ドロシーと、デニス・ホッパー演じる怪しい男・フランクの二人である。イザベラ・ロッセリーニはあのロッセリーニ監督とイングリッド・バーグマンの娘。確かに横顔などはバーグマンの面影がある。

デニス・ホッパーは異常者を演じたらこの人の右に出るものなし、というくらいこの映画での活躍は特筆もの。

「F●ck/F●cking」を上手に使いたい人は、この映画を観てぜひ勉強してもらいたい。実にスマートにシャウトしまくっている。

 

きっとこの作品もリンチ監督の世界観と映画観にシンクロしない人にとってはしんどいだろう。

ラストでジェフリーが狂人のフランクを射殺して、事件は一見落着となり、一緒に事件を解決に導き友達以上恋人未満だったサンディともめでたく結婚、ハッピーエンドを迎える。

一見穏やかなエンディングなのだが、なんとなく嫌な気分が残るのがリンチ監督作品らしい。

 

表面上はどこにでもあるアメリカの片田舎の誰もが幸せに暮らしているように見える町でも、見えないところでは悪がはびこり、ドロドロした悪意が知らないうちに人々の生活を蝕んでいく。それを映画の冒頭では暗喩的に美しい芝生の下に潜む虫で表現しているのだろう。

 

古き良き時代のアメリカの田舎町好き、リンチ作品好きのMATTは楽しめた。

そうでない人には退屈な映画かもしれない。

でもこういう映画が好きな人は、本当の映画好きだと思う。