岸部露伴シリーズは大好きだ。NHK、さすがである。

映画版は2作目だが、この映画が撮影に入った2024年秋には高橋一生・飯豊まりえの二人は結婚を発表していたので、夫婦で共演していることになる。

ただ、二人の絡む場面はあまりない。。。。

 

監督はシリーズを担当していて、この作品のう良いところを知り尽くしている渡辺一貴。

「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」もそうだったが、果たして映画版というのであれば、もう少し豪華な造りになっていてほしい。さもなくば2時間ドラマでいいのでは?とも思う。

ただ、「ルーブル」同様に、画がとても美しい。

今回はベネツィアが舞台だが、光と陰のコントラストがとても印象的だ。

日本の美とはまた違う、ヨーロッパ的な乾いた空気感が楽しめる。

 

いつものように、岸部露伴が怪異に巻き込まれるわけだが、今回の陰の主役は浮浪者に冷たくあたって、結果的に命を落とすきっかけを作ってしまう水尾という男を演じた大東駿介。

ぎょろっとした目が特徴の彼にとって、この作品での水尾役は出色だ。

 

序盤で彼が殺してしまったソトバという浮浪者(なんと戸次重幸。メイクが凄すぎて、クレジットを見るまで誰だかわからず)に呪われるシーン。

ポップコーンを頭上高く放り投げて、それをダイレクトに食べるという行為を3回連続で成功したら、成仏すると言われ、やむなく実行するのだが、、、、

 

その時の大東駿介の顔芸と、必死な姿が役者魂炸裂である。

なぜ、この水尾という男に大東駿介をキャストしたか、製作者の眼力に敬服する。

本当にこのシーンがあるからこそ、この後の展開を引き継ぐ田宮役の井浦新の演技も生きてくるのだ。

今回はちょっと大東駿介の演技が凄すぎて、それから先のストーリーがイマイチ頭に入ってこなかった。。。。笑

 

大東駿介。映画史に残る名演技と言っても過言ではない(きわめて個人的意見・・・)。

 

ヒロインのマリアを演じる玉城ティナはハーフらしく、イタリアの風景に馴染んでいる。

彼女と飯まりえは高校の同級生で仲が良いそうだ。

 

幸せ過ぎるのが怖い、というのはよく言うが、幸せ過ぎるとその先には絶望が待ち受けているという恐怖は、それが必ず来るとわかっていると確かに恐ろしい。

だが人生はよくできていて、不確定な将来は誰にもわからないからこそ人は生きていける。

 

このシリーズ、原作がある限りどんどんNHKには続編を作ってほしい。

個人的には映画よりもドラマの短編集みたいな方が好きだけど。