「12人の優しい日本人」を観て、ちょっと昔の三谷作品を観たいと思いチョイス。

三谷幸喜の描く世界が色濃く表れる中でも、もっともらしい作品を選んだつもり。

 

ホテルが舞台の作品って、法廷モノや潜水艦モノのように外れようが無い気がする。

もっとも実力ある作り手が手掛けるという前提はあるが。

 

三谷作品といえば今、「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」が放映されていて、ネットでは「一流俳優が多数出演しているわりに、面白くない」と初回で脱落する人が多いとか。

彼の作品をたくさん観ているわけではないが、三谷作品はゆっくりと始まり、中盤からクライマックスにかけて急激に加速していくというのが特徴ではないだろうか。

個性的な登場人物をじっくりと紹介し、そのキャラたちが劇中でどう動くかを楽しむ。

なので、ドラマも映画も最初の方は登場人物がどういう性格なのか、なぜそのポジションにいるのかをしっかり観察し、ストーリーの理解に努めないといけない。

舞台が主戦場の監督ならではの作りだと思う。

 

キャストの命名が面白いので、Wikipediaの役名と俳優名をそのまま転記する。

例のごとく、そうそうたる顔ぶれである。

 

ホテル従業員
申し分のない副支配人・新堂平吉 - 役所広司
議員の元愛人、今は客室係・竹本ハナ - 松たか子
歌を愛するベルボーイ・只野憲二 - 香取慎吾
能天気な総支配人・二階堂源一 - 伊東四朗
アシスタントマネージャー・矢部登紀子 - 戸田恵子
怪しい料飲部副支配人・瀬尾高志 - 生瀬勝久
ウェイター・丹下二郎 - 川平慈英
客室係・野間睦子 - 堀内敬子
ホテル探偵・蔵人 - 石井正則
筆の達人筆耕係・右近 - オダギリジョー
リネン係・森 - 不破万作
ベルボーイ・尾関 - 熊面鯉
携帯電話ストラップを配っているベルボーイ・御前崎 - 江畑浩規
バーラウンジのマネージャー - 飯田基祐
バーラウンジのウェイター - 中村祐樹
コンシェルジュ - 木村清志
駐車場の誘導係 - 相島一之
館内アナウンス - 清水ミチコ(声のみ)


客たち
人生崖っぷちの汚職国会議員・武藤田勝利 - 佐藤浩市
武藤田の秘書・神保保 - 浅野和之
神出鬼没のコールガール・ヨーコ - 篠原涼子
副支配人の別れた妻・堀田由美 - 原田美枝子
堀田由美の現夫、マン・オブ・ザ・イヤー受賞者・堀田衛 - 角野卓造
事故に遭った大富豪・坂東健治 - 津川雅彦
坂東健治の息子、耳の大きな男性・坂東直正 - 近藤芳正
謎のキャビンアテンダント・小原なおみ - 麻生久美子
ある業界団体の委員長・荒井 - 矢島健一
ある業界団体の副委員長・伊武 - 伊藤正之
ホテル内のスポーツジムでブラを盗まれた女性・鴨田麗子 - 池谷のぶえ
インテリヤクザ - 今井茂雄
飯島直介[注釈 1] - 田中直樹(ココリコ)
飯島民子[注釈 1] - 八木亜希子
須藤さん - 大嶋守立
須藤さんの妻 - 保苅圓子
悲鳴を上げる女性 - 高島彩(当時フジテレビアナウンサー)
 

芸能人
死にたがる大物演歌歌手・徳川膳武 - 西田敏行
徳川の付き人・尾藤 - 梶原善
一九分けの芸能プロ社長・赤丸寿一 - 唐沢寿明
不幸せなシンガー・桜チェリー - YOU
スパニッシュマジシャン・ホセ河内 - 寺島進
アシスタント・ボニータ - 奈良崎まどか
腹話術師・坂田万之丞 - 榎木兵衛
ダンサー・オイリー菅原 - 池田成志
アヒルのダブダブ - 山寺宏一(声のみ。ドナルドダックの声優であることから)
ミュージシャン - ミルトン富田、美野春樹、伊丹雅博、村田陽一、渕野繁雄、加瀬達、下神竜哉、田中敏雄
 

その他
垂れ幕業者 - 阿南健治
事故に遭った蒼白顔のタクシー運転手 - 佐渡稔
記者1 - 伊東孝明
記者2 - 高川裕也
記者3 - 望月章男
大きい警官 - 旭道山和泰
医師 - 井上肇

 

役所広司は彼らしい実直かつ誠実でストイックな副支配人を演じているが、元妻(原田美枝子)に偶然遭った途端に急に見栄を張って俗物的な人物に変わってしまう。

人間臭い演技は、まさに役所広司の本領発揮といったところ。

 

喜劇というのは人間の持つ優しさや愚かさ、幸せも悲しみもすべてごちゃまぜにして、人生って素敵よね、と謳いあげる者だと思う。

チャップリンを敬愛する三谷幸喜らしさが良く出た作品で、まったりお酒でも飲みながら鑑賞するには最高の作品。

 

どうでもいいことを。

松たか子は19年経っても全然雰囲気が変わっていないのが凄い。

堀内敬子は可愛らしいけど、今の方が良いかも。

オダギリジョーと麻生久美子は、この映画のすぐあとに「時効警察」でどっぷりと共演。ちなみに映画では絡みなし。。。