最近の傾向。
ネット記事で、ちょっと前に放映されて面白かったというドラマを見つける。
そして、それはたいていNHKのドラマだったりする。
本ドラマは、それだけではなかった。
大好きなドラマシリーズ「TRICK」の蒔田光治、木村ひさしがタッグを組んだオリジナル作品というから、観ないわけにはいかない。
タリオとは同害復讐のことをいい、弁護士資格を失った元弁護士の白沢真実(浜辺美波)と、詐欺師の黒岩賢介(岡田将生)という普通なら交わらない2人が主人公のバディもの。
設定、二人の掛け合いなど、「TRICK」の上田次郎と山田奈緒子を彷彿とさせ、ファンにとっては嬉しい限り。
また、作中の随所に出てくる有名人や、過去のドラマ、漫画をネタにしたダジャレの仕込みも、TRICKマニアにはたまらない。
テンポの良いストーリー展開、演出は蒔田ワールドそのもの。
第1話は二人の出会いを描くためのエピソードなので、サクッと。2話はTRICKの「母の泉」を想起させるような、人里離れた山奥の村にやってきた不思議な能力(!)を持つ教祖(伊藤歩)のお話。もうTRICKワールド炸裂でこれもたまらない笑
3話、4話あたりからエンジンがかかってくる。
特に4話の穂志もえか演ずるパパ活を行う小説家志望の女性のお話がいい。
蒔田ワールドともいえる、いったん大団円となったかに見えたが実は複雑な想いが交錯していたことがわかり、ちょっと後味悪いエンディングとなっている。
穂志もえか。
まだ無名だったが、どっしりとした演技で存在感あり。
ラストで急激に表情が変化する演技が素晴らしい。
5話は浅香唯や中山忍らが出演し、TRICKお得意の過去ネタで大いに盛り上がり、6話ではTRICKでも怪演で記憶に残る荒川良々の怖いお話。最終話はいつもいがみ合っていた白沢と黒岩の間に、いつの間にかしっかりと出来上がっていた絆が感動を呼ぶ物語。
蒔田光治の作品の良さ、というのは何かと問われると、それはおふざけとマジメの絶妙なコンビネーションではないだろうか。
特に初期のTRICKで見られた、ギャグで彩られていたストーリーが、最後の最後にぴしゃっとシリアスで締められる、あの何とも言えない後味の悪さ。あれこそが蒔田ワールドであり、TRICKの中毒性の真髄と言える。
またTRICKでの奈緒子と父(岡田真澄)の関係が物語の重要な軸となっているように、本作も白沢真実と行方不明の父(最終話で記憶喪失の状態で再会する。演じるのは遠藤憲一)との関係性がキーとなっている。
なんだかTRICKの話ばかりになってしまったが、おそらく作り手側も狙っていたのだろうから、そこを楽しむことは間違ってはいないことだと思う。
残念なのは本作は2020年7月放映作品で、続編も作れそうな終わり方だったにもかかわらず、その後特に企画がないこと。
浜辺美波、岡田将生ともに現在は売れっ子になってしまい、二人でタッグを組むのは難しいのかもしれない。
でも、もう一度このキャスト、スタッフで見てみたくなる作品だ。
共演者にはいとうせいこう、殺陣剛太。
主な各話ゲストは、
1話 吉田ウーロン太
2話 竹原ピストル、阪田マサノブ、生田智子、 松岡依都美
3話 三浦誠巳、神保悟志、山田キヌヲ、矢柴俊博、しゅはまはる
4話 堀部圭亮、小松利昌
5話 伊武雅刀、嶋田久作、赤間麻里子、渡辺浩之
6話 丸山智己
7話 中田有紀(なつかしい!)、高橋勉、徳井優
岡田将生・浜辺美波という美男美女コンビは、美形ぶりでは阿部寛・仲間由紀恵のコンビに負けずとも劣らないが、コメディの質は元祖TRICKコンビに軍配があがる。阿部ちゃんの喜劇俳優としての才能はいわずもがなだが、TRICKが放映された当時、この作品での浜辺美波とほぼ同い年(20歳そこそこ)だった仲間由紀恵のコメディエンヌとしての演技は、奇跡的であった。山田奈緒子は仲間由紀恵以外では考えられなかった点で、彼女は天才女優だったと今でも思う。
当時20歳だった浜辺美波。つくづく美形だと思う。
本作ではコメディエンヌとしても通用する演技で魅了。
続編はもう無いのだろうか。。。