ジャパニーズホラーは、「リング」が最初にして最後の最高作品と思っているので、そのほかのJホラーは、何を観てもイマイチというのがMATTの所感だった。
しかしこの作品、何気なく観てみたのだがそこそこいいぞ、と思う。
ちゃんと得体の知れない怖さがひたひたと迫ってくる感じがある。
画、ストーリーともにやたらと怖がらせようと必死な割にちっとも怖くない、というJホラーの残念さがこの映画にはない。
監督・清水崇が撮った「ミンナのウタ」のシリーズ作品というのを知っていれば、順番を間違わずに観たのだろうけど、この作品単体で観ても十分楽しめる。
(若干、説明が必要なところは確かにあるが)
ストーリーは渋谷凪咲演じる中学校教師の君島ほのかの目の前で、恋人の七尾悠馬(染谷将太)を交通事故で意識不明となってしまう、という衝撃的なシーンから始まる。
そして、その不可解な事故が32年前に学校で起こったある事件にかかわっているというのが、徐々にわかってきて、ほのかの周囲に不可解で奇怪なことが起こり始める。。。
32年前の事件を引き起こしたのは高谷さなという少女なのだが、彼女の持つ猟奇性が恐怖の根源だ。
そして、MATTがこの映画が心底怖いと思ったのは、2004年と2014年に長崎県佐世保で起こった殺人事件との類似性だ。
2004年の犯人は小学6年生の少女、2014年は女子高生、それぞれまだ未成年の少女が人を殺めるという残虐性で強く記憶に残っている。
現実の世界では家庭が崩壊しているし、映画でも同様の描写がある。
ホラーなのだが、現実社会で起こった恐ろしい事件が下敷きにあるのではないか、と思うと恐怖が倍増する。
主演の渋谷凪咲は「私の知らない私」での好演が印象に残っている。特別に上手い女優さんではないけど、独特の世界を持っている女優さんで、個人的には好きなタイプである。
自分の色があるので、今後も色々な役が回ってくるのではないだろうか。
渋谷凪咲。
「私の知らない私」で、女性の持つ複雑な心境を丁寧に演じていて好感が持てた。
そしてもう一人のヒロイン、早瀬憩も注目の若手女優だ。
ネクストヒロインが多数いるが、その中でも筆頭株だと思う。
年齢ゆえの可憐さが、今後成長していくにつれどのような魅力に変わっていくかが楽しみ。
早瀬憩。
順調に伸びてほしい女優さん。
共演者には松尾諭、マキタスポーツなど。
最近はクレジットが終わったあともしっかり見ていないといけない。
この映画も最後までちゃんと見ていると、モヤモヤしていた謎が解けたり、最後にちょっとぞっとしたりと楽しめる。
ラストシーン、実はほのかは死んでいたというオチも自然な流れでいいし、渋谷凪咲の絶叫が無声になる演出も効果的だ。
Jホラーはアカンな、と思ってあきらめていたMATTに嬉しいプレゼントとなる作品だった。