最近、TVで放映中のドラマよりも、配信で過去の隠れた名作を探すほうが面白い作品に出合えることが多い。

「チェイス」「鈴木先生」と当たりくじを引いたように、面白い作品を観てきたが、このドラマも最高に楽しめた。

 

「舟を編む」の三浦しをんの原作で、これまで2011年に「まほろ駅前多田便利軒」、2014年「まほろ駅前狂騒曲」と映画化されている。ドラマ版は2013年に放映された。

 

多田を演じる瑛太と、行天を演じる松田龍平の二人が架空の街・まほろ市で便利屋を営み、街の住人たちの様々な依頼にゆる~く「全力」で取り組む姿が、人情あふれる物語で展開される。

原作の面白さはもちろんだが、大根仁による脚本・演出が絶妙だ。

同じ年に大根は「リバースエッジ 大川端探偵社」も担当している。

2話の「麗しのカラオケモデル、探します」は、大川端探偵社の伝説の?回、桃の木まりんちゃんの話に似ている。原作にないドラマオリジナルで、大根仁が脚本ということで、さもありなん、である。

 

瑛太と松田龍平が演じる個性的な二人の存在が、この作品の最大の魅力であることは間違いない。マジメでかっこつけの多田と、何を考えているかまったくわからないが、時折ぼそっとつぶやくひとことと行動が正鵠を突いている行天。

お互いいがみ合っているように見えても、自分にはないものを持つ相方をリスペクトしている。

 

憎めない人たちに振り回されながら、金に困り、それでも自らの信条を曲げずに生き抜く。暴力や争いごとは避ける。

松田龍平の父・松田優作が演じた「探偵物語」の工藤俊作を思い出す。

 

「探偵物語」がそうだったように、二人を取り巻く人々も愛すべき人たちだ。

渡邊真紀子、三浦誠巳、大森南朋、松尾スズキらが、脇をがっちり固める。

各話のゲストも多彩。

 

第1話  永澤俊矢、宇梶剛士、 坂井真紀
 幼い娘役に、スカイキャッスルで好演していた新井美羽が。

第2話  風祭ゆき、篠原友希子、野間口徹、大河内浩

 桃の木まりんちゃんのお話とクリソツ。。。

第3話 川村ゆきえ

 三浦誠巳演じる刑事を助けるために、行天の仕掛けた一言がいかしている。

 

第4話 大方斐紗子、 正名僕蔵、 麿赤兒

 このお話に出てくるヌードの蝋人形が妙にエロくて。。。。

第5話  新井浩文、宮下順子
 劇中ドラマに安藤サクラが出ているが、なんとまだ若い広瀬アリスがちょい役で出ている。

 翌年、同じテレ東の「玉川区役所 OF THE DEAD」で魅力的な役に大抜擢。

第6話 臼田あさ美

 シングルマザーの生き方を、臼田あさ美が痛快に演じて〇

 

第7話 渋川清彦、岸部一徳

 このお話に出てくる拳銃が、最終話で非常に重要な役割を持つことに。


第8話 黒木華、高部あい

 黒木華はこの頃からきらりと光る演技をしていたのが、よくわかる。

第9話 信太昌之、宇野祥平、前野朋哉
第9 - 10話  刈谷友衣子、 山本舞香、高良健吾

 山本舞香が出ているが、この頃は刈谷友衣子の方が格上だったようだ。

 彼女、とても綺麗な華のある子なのだが、翌年には体調不良を理由に引退している。

 何があったのかとても気になる。

 

刈谷友衣子。

共演した山本舞香は順調に活躍している。

彼女も光るものがあったのに、、、

第11 - 最終話 真木よう子、赤堀雅秋

 真木よう子と瑛太といえば、同時期に放映された「最高の離婚」で共演していた。

 もっとも真木よう子のお相手は綾野剛で、瑛太のお相手は尾野真千子だったが。

 

最終話では、キッチンのオーナーで未亡人の亜沙子(真木よう子)のために、瑛太自らが定義していた便利屋を卒業することになる。

ヤバい奴らを相手に行天とともに立ち向かい、文字通りボロボロになるが便利屋としての道は外さなかった。ちょっとやり過ぎてしまったが、それも許されるだろう。

 

松田優作の「探偵物語」、オダギリジョーの「リバースエッジ 大川端探偵社」「僕の手を売ります」など、社会的には決して日の当たる存在ではないが、自分の正しいと思う道を貫き通す。そんな生き方に誰しも憧れるから、こういうお話は飽きが来ない。

またいつか、多田や行天のような男たちのドラマができるのを期待したい。

 

ドラマ版は映画とは異なるパラレルワールドのような存在とのことなので、映画版も見てそれぞれの世界観を堪能してみたい。