2011年のドラマ。
ネットで隠れた名作として紹介されていて、いつか観たいと思っていたが、アマプラにupされて早速視聴。思っていた以上に面白く、アメリカ単身赴任時代であれば間違いなく一気見していただろう。
MATTと同世代の武富健治の原作。昭和の学園ものに通じる熱い何かがストーリーには見え隠れするものの、赤裸々に描かれる教師の抱える悩みや生徒にまつわる様々な課題が、上手く織り込まれている。
また、古沢良太の脚本や河合勇人監督らによって、一流のエンタテインメントとしても見どころあり。
長谷川博己の連ドラデビュー作であり、このあと「デート」や「家政婦のミタ」でブレイクしていく。生徒たち一人一人の人格を尊重し、その一方で弱さも惜しみなくさらけ出すという魅力的な鈴木先生というキャラクターを、計算し尽くされた演技でまさに才能が爆発している。
生徒役も学園モノあるあるで、今きら星のごとく活躍している俳優たちが、まだ初々しい演技で活躍しているのも見どころ。
北村匠海、土屋太鳳、小野花梨、三浦透子、松岡茉優らが、さすがの演技でドラマを引っ張っていた。
土屋太鳳はキーとなる小川蘇美を演じており、小野花梨や三浦透子は生徒たちの中ではセリフもたくさんあり、彼女らが主人公の回もある。
北村匠海は彼一人が目立つ回はほとんどなし。
松岡茉優に至ってはほとんど端役扱いで、セリフも少ない。
しかし二人とも、時折見せる演技は光りまくっていた。
一方で、いい演技をしている子役たちも多数いたが、その後それほど活躍していないような現実を見て、厳しい世界なのだなとも思う。
鈴木先生の恋人・麻美には臼田あさ美。当時26歳。
今でも美しく、演技派女優の筆頭だがとても可愛いのよね。。。。素敵です。
臼田あさ美。
そういえば、「御上先生」にも出ておられました・・・
教師陣もなかなかのキャスト。NHKに並んでテレ東ドラマはこういうところが心憎い。
校長の斉木しげるをはじめとして、 山口智充、田畑智子、 赤堀雅秋、山中聡、でんでん、富田靖子、歌川椎子、戸田昌宏と、曲者ぞろい。
特に、ドラマ後半でどんどん暴走していく富田靖子演じる足子先生はもはやホラーで、デビューのころの富田靖子を知る世代としては、斉藤由貴のホラーぶりとともに時の流れというか人格の熟成?を感じざるを得ない。
ドラマはいきなり1話から突っ走っていく。
まだ中学2年の教え子と、小学4年生の女の子との色恋沙汰という衝撃的な事件。
さすがテレ東の夜10時枠。この頃から攻めている。
全10話で描かれる事件は、どこかに男女の色恋とセックスが絡んでくる。
中学生というのは心と体のバランスが一番不安定な世代なので、これは当然であろう。
そんな難しい年ごろの生徒たちに鈴木先生が向ける情熱は、多少歪んでいるかもしれない。
理想の教室・生徒を作るための壮大な実験として、以前から目をつけていた小川蘇美という優等生の美少女を、クラス編成でGETするなどやりたい放題なのだが、それもこれも理想のクラス作りと生徒たちの成長を願ってのこと。
だが、その小川に心を奪われてしまうという妄想に苦しめられることになり、その葛藤を長谷川博己は彼独特の内面描写で、生々しく演じている。
いい年をした大人の教師が、中学2年の女子生徒に対して妄想するなど、現代に放送したらかなり気まずいことになっていただろう。まさに今世間を騒がしている問題は、このドラマ以上に酷いことになっているからだ。
それはさておき、生徒たちとの間に様々な事件が勃発するが、鈴木先生は決して生徒たちに説教をしたり、正しい道はこれだとばかりに導いたりはしない。
彼が行うのは生徒たちと向き合い共に悩み、それぞれの個性を引き出して、互いの意見をぶつけさせ化学反応を起こすべく、全神経を集中し、自らの持つあらゆる知見を総動員して答えを導き出していく。
その過程での生徒たちの心や考えの変化、人格の成長だったり、鈴木先生自身の生徒たちに対する眼差しの進化がとても瑞々しい。
これこそが、このドラマの醍醐味であり見どころだ。
そして、恋人の麻美とのできちゃった婚が生徒たちの動揺を呼び、鈴木先生の弾劾裁判へと発展していくが、ここでの生徒たちによるディベートはまさに最終回にふさわしい内容である。
生徒役の俳優たちの演技力と演出、脚本のレベルが高く、これまで観てきた学園ドラマの中でもトップクラスの緊張感にあふれている。
それをしっかり受け止める長谷川博己の演技も素晴らしい。
かなりレベルが高く面白いドラマだったが、当時の視聴率はさんざんだったそう。
しかし原作もドラマも高い評価を得て、知る人ぞ知る作品となったのは至極当然。
まだ本作を知らない人がたくさんいるのだろう。
是非観ないと後悔する一品だ。ドラマシリーズの後に放映されたスペシャル、2年後に公開された映画もいつか観てみたい。