5月に、「舟を編む」が、ドイツ・ベルリンで開催された"World Media Festivals(ワールド・メディア・フェスティバル2025)"のテレビ及び企業メディア分野のエンタテイメント部門で金賞を受賞したというニュースが流れた。

ギャラクシー賞も受賞し、文字通り国内外で高い評価を得た名作だ。

今回もう一度見直して、昨年ブログを書いた際に「2024年度のベストドラマ」という感想が、間違いで無かったことを再確認。

 

あらためてなぜ、このドラマがこんなにも面白く、感動を呼ぶのか考えてみる。

「これは経費で落ちません!」「しずかちゃんとパパ」「ワンナイトモーニング」などの良作を手掛けている蛭田直美の脚本もいいのは間違いない。

そのうえでじっくり見返してみた結果、二つのキーワードが頭に浮かんだ。

 

それは「言葉が紡ぐ人と人とのつながりの温かさ」と、「真のプロフェッショナルの愚直な情熱」である。

この2つの要素がほどよく絡み合い、決して前のめりで大上段にならず、ただただひたすら辞書を作るという行為に没頭するユニークな人たちを描き切っている。

情に流されず、でもきちんと泣かせるところは泣かせてくれる。

こんなに心地よいドラマはなかなかないだろう。

 

昨年は9話がとても感動的であるということに感銘を受けたが、今回見終えて10話までこんなに面白い作品も珍しいと感じた。

連続ドラマの最終回はたいていの場合、シャンシャンで終わってしまうが、本作は最後の最後まで面白い。

それはクリームサンドの端っこギリギリまでクリームが詰まっているかのような嬉しさなのだ。

 

池田エライザは本当にこのドラマで女優としての株をあげたと思う。

岸部みどりは、間違いなく彼女のかけがえない代表的役名になったろう。

何年か経ったらまた見返したいドラマとなった。