unblockで観ようとしたら、人物の顔が判別できないほど画像がボケボケというザマ。

そしたら、Tverで配信中だったのでこれ幸いと視聴してみた。

 

2014年のTBSドラマ。湊かなえ原作、新井順子がプロデューサー、奥寺佐渡子脚本、塚原あゆ子演出と、役者はそろっていて、面白いに違いない。

 

主演の榮倉奈々は朝ドラでは視聴率が取れなかった2000年代後半、不遇の時代のヒロイン。多部未華子、倉科カナもこの頃だ。

出演者も多彩。主要人物として今、ドラマで活躍中の窪田正孝は成瀬慎司役、賀来賢人は安藤望役。

葉山奨之、山田裕貴らの若手俳優、光石研、山中崇、モロ師岡らバイプレイヤー。

そして三浦友和、原日出子、美保純、山本未來、中越典子、織本順吉、財前直見らベテランも。小西真奈美、徳井義実はキーとなる役だが、この二人に加えて、不祥事のせいで表舞台から遠ざかってしまった小出恵介が出ている。

このドラマでも、真っすぐに生きる熱い男を演じており、いい役者だっただけに実に残念だ。

 

湊かなえの原作らしく、作品の中に母親と子の葛藤が物語を動かす重要なファクターとして組み込まれている。

杉下希美(榮倉奈々)の母・早苗(山本未來)は、娘の極度に依存する母親、西崎真人(小出恵介)の母・美雪(中越典子)は、息子への溺愛が虐待となってしまう母親と、彼女の書く作品は、主人公たちの人生に母との関係が大きく影響するものが多い。

 

物語は2004年、瀬戸内海の島(舞台は小豆島と思われる)で起きた放火事件と、10年後に東京で起きた殺人事件を結びつける謎を、三浦友和演じる退職した警官・高野の視点でひも解いていくスタイル。10年前と現在を行き来する中でそれぞれの登場人物も成長し、時の流れを感じさせて深みのある演出となっている。

 

タイトルにもなっている「Nのために」の、Nを意味するのかが最大の謎なわけだが、そこに隠された秘密は、最終話で一気に明かされる。

それは、固い絆で結ばれた杉下、成瀬、安藤、西崎の4人がそれぞれ大事な人を守るためについた嘘と、胸の奥底に沈めた罪。

そういった深い関係に至るまでの様々な苦悩と信頼、涙がぎっちりと詰まったラストになっている。時を超えて紡ぐ人間愛のドラマ、というのは最近同じくTBSで放映された「海に眠るダイヤモンド」を想起する。TBS制作陣の面目躍如と言ったところか。

 

ドラマの内容とはまったく関係ないけど、映像が昔懐かしいクリアな画像だった。

デジタル放送が普及する前だったからだろう。

今のドラマはデジタル処理で画質が美しいことから、眩しかったり見えてはいけないものが映りこんでしまったり(背景の電線など)するため、あえて少し画質を落として作られているという。それに慣れてしまっているので、この頃のドラマを観ていると、なんだか2時間ドラマみたいで安っぽく感じてしまうのが残念。仕方ないのだが、、、、

 

榮倉奈々はこのドラマで共演した賀来賢人と結婚。

ドラマでは安藤(賀来)ではなく、成瀬(窪田)と一緒になることを選んだ。

現実とドラマは違う結末、というのも面白い。