芳根京子ちゃん出演なので気にはなっていたものの、最近ドラマが不発続きのフジが苦し紛れに作ったラブコメかあ、、、と勝手に見る気を失っていた。
だが、ネットでの評判を見て少し遅れて観始めたら、意外に良い出来。
芳根京子は、その演技力と長いキャリアが全然活かされていない。
大体のドラマは芳根京子の無駄遣いに終わっている。
主役にこだわる事務所の方針なのか、ずっと残念に思っていた。
少し下の世代だが小芝風花は、主役ではない様々な役にチャレンジして役者としての幅を広げ、開花した。芳根京子も、このドラマをきっかけに大きく羽ばたいてほしい。
ほんとは、もっとサブキャラ的な役もやってもらいたいんだけど。。。。
芳根京子ちゃん、和服もいいけど洋装も可愛い。よくお似合いです。
このドラマも西原はちの原作、泉澤陽子の脚本の良さがあったのは間違いないだろうが、同じフジで前節放映され評価の高かった「嘘解きレトリック」で見せた、NHK朝ドラばりの昭和レトロ路線を受け継いで成功しているのも一因か。
ヒロインの関谷なつ美(芳根京子)と、海軍将校の江端瀧昌(本田響矢)が、親が決めた見合い話で結婚し、新婚生活をスタートするところから物語は始まる。
このドラマの面白いところは、二人の間で繰り広げられる、まるで小中学生のような、観てる方が恥ずかしくなるほどのピュアな関係だ。
これを現代劇でやったら間違いなく初回で脱落者98%になるであろう、初々しい(すぎる)二人のやり取りが楽しめてしまうのはなぜだろう。
二つの理由があるかな、と考えた。
その一つの理由は、もはや昭和レトロがファンタジーになっているから。
明治・大正生まれの多くの方がこの世を去り、戦前戦後の話を聞く機会は減っている。
我々含め、若い世代もこの頃のことを良く知らない。
もしこの時代を生きた人が存命なら、「こんなんじゃあ、なかったよ」などと言われるかもしれない。そんなリアルを聞く機会がなくなったことで、想像(妄想?)の世界がうんと広がる。
そしてもう一つは芳根京子の、コメディエンヌとしての才能がここで大きく発揮されたことか。
彼女の豊かな表情の変化は、彼女独特のものだ。
もちろん、心情の変化や気持ちをセリフだったり、手や顔の動きで表現するのも上手いが、表情の作り方が本当にテクニカルで計算されている。
そして、泣きの演技は彼女の真骨頂。
今作でも中盤で、瀧昌に想いのたけを伝えて、こらえていたものが一気に崩れて泣き出すシーン。映画「記憶屋」のラストシーン以来、思わずもらい泣きしてしまった。
彼女の泣きの演技は涙腺崩壊指数150%だ。
こういった要素が軸となるこのドラマだが、毎回のエピソードは振り返るとあまり大変なことは起こっていない。夫が滅多に家に帰ってこない海軍の軍人という、やや特殊な環境の若い夫婦の日常が描かれているだけだ。
「結婚できない男」が、桑野という変人と彼を取り巻く常識的な人たちの、くすっと笑える日常を描いたように、本作も平凡な日常に起こる何気ない幸せを描いている。
それがまた心地よい。
共演も朝ドラのように安定感あって、ドラマファン視点で見るとキャスティングにはこだわったなと感じた。
関谷家は、高橋勉、紺野まひる、森カンナ、 咲妃みゆ。
森カンナは「まどか26歳、研修医やってます!」に続いて、芳根京子と共演。
なつ美、瀧昌を取り巻く人々に、和久井映見、小木茂光、小関裕太、山本舞香、戸塚純貴。
物語を引っ張る弁士役に生瀬勝久。
安定のキャスティングに、朝ドラを意識しているように思える。
瀧昌の同僚の将校・深見役の小関裕太と山本舞香の二人の恋物語がなかなか良い。
「silent」「恋がヘタでも生きてます」などでも、サブカップルの物語が秀逸だった。
本作でも小関・山本の二人の関係が、なつ美・瀧昌カップルのお子様ランチ的な関係と対比するように、少し大人の駆け引きが描かれていて、楽しめた。
小関裕太と山本舞香。
二人とも若手の中では実力あり、好きな俳優さん。
今後もっと見たい二人。
ゲストに前川泰之、筒井真理子、前原滉、小島藤子、竹財輝之介、白山乃愛、野間口徹など。こちらゲスト陣も手堅い。
お家騒動というか、企業の存続の危機に直面している最近のフジTV。
再生が実現したら、ドラマ部門も過去の栄光は捨てて新たなフジのドラマを確立してもらいたい。昭和レトロ路線の成功は、一つの光明になるか。復活のフジに期待だ。
最期に。
最終回で芳根京子ちゃんが来ていたこのワンピース。
「海に眠るダイヤモンド」で土屋太鳳が来ていたのと同じだったそう。
(よく見つけるよなあ、、、)
まったくの勘で多分第3話のレストランのシーンあたりかな、、、と思って観たら太鳳ちゃん着ていました。時代が何巡かして、こういったデザインが今、新鮮かも。