NHKドラマ「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」がドイツで行われた、ワールド・メディア・フェスティバル2025で、Entertainment:Omnia Open部門で金賞を受賞するという快挙。
これまで映画、アニメ、ドラマと作られているが、三浦しをんの原作が、本当に素晴らしいのだろう。
この6月から再放送するというので、もう一度見返してみようと思う。それくらいの価値がある名作だ。
そして、以前より映画版を観たかったのだが、アマプラにあるのを発見し早速観てみた。
結論から言うと、まずは映画版を観てから、ドラマ版を観た方がよい。
映画版は馬締光也と、林香具矢が出会い、恋に落ち、そして共に人生を歩むストーリーと、辞書を編纂していく過程が絡み合い、濃厚な人間ドラマとなっている。
NHKのドラマ版は、岸部みどりが主人公となっているが、彼女が辞書編集部に来るまでの人間模様が描かれているのが映画版なので、観ておいたほうが、登場人物の立ち位置や心情がよく理解できて、物語を楽しめるだろう。
映画版は2013年の作品。舞台はドラマ版ではコロナ禍の日本だったが、映画版では1995年の日本から始まる。
馬締光也を松田龍平、香具矢を宮崎あおいが演じている。
二人が出会う下宿・早雲荘(香具矢の叔母が大家)のレトロな佇まいに、昭和な雰囲気をまとう二人のキャストは絶妙だ。
主要キャストもドラマ版との対比が興味深い。
(カッコ内は、NHKドラマ版)
馬締光也:松田龍平(野田洋次郎)
林香具矢:宮﨑あおい(美村里江)
西岡正志:オダギリジョー(向井理)
岸辺みどり:黒木華(池田エライザ)
タケ:渡辺美佐子(草村礼子)
三好麗美:池脇千鶴
村越局長:鶴見辰吾
佐々木薫:伊佐山ひろ子(渡辺真起子)
松本千恵:八千草薫(鷲尾真知子)
荒木公平:小林薫(岩松了)
松本朋佑:加藤剛(柴田恭兵)
宮本慎一郎:宇野祥平(矢本悠馬)
編集者:波岡一喜
ポスターの女優:麻生久美子
馬締と香具矢が主人公の映画版と、岸部みどりが主人公のドラマ版では、視点の違いからストーリーの細かなところや登場人物に違いがある。
映画版は今観ても、12年前の当時のベストキャスティングだったといえる。
麻生久美子のポスターの女優、というのはクレジットを見て初めて気づき、どこに出てた?と探すと、終盤に「大渡海」のポスターのシーンで写っていたのが、彼女だった。
黒木華は、当時演劇界では有名だったが、メディアにはNHKの「純と愛」、「リーガルハイ」やこの映画でブレークをつかんだ。まだ20代前半で、役どころだというのもあったかもしれないが、今よりちょっとキツいイメージ。
ちなみに松田龍平とは先日観た「獣になれない私たち」で再共演している。
共演でもう一つ言うと、オダギリジョーと宇野祥平も、「リバースエッジ 大川端探偵社」で共演。
宇野祥平といえば、桃の木マリン、、、笑
黒木華。
20代の頃の彼女は、どこか尖がったイメージが強い。
今の柔和な感じの雰囲気が好きな人は多いだろう。
そのほかでは、2023年に引退した萩原みのりが端役で出演していた。
当時16歳なので、もしかして馬締と松本先生がファストフード店で用例採集している時に、3人いた女子高生の一人だったかもしれない。
予想していた通りというか、長い年月を費やして辞書を編纂するという一大叙事詩を描くには、2時間強しかない映画版はどうしても物足りない。
もちろん、石井裕也監督による映画版は、作品の出来としては素晴らしかったのだが。
NHKのドラマ版では、思い切って岸部みどりを主人公に据え、彼女の成長譚を軸に辞書を作る人たちの情熱や、言葉の持つ歴史や不思議な力、魅力を余すところなく描いていた。
感動するエピソードも多々あり、個人的にはドラマ版に魅力を感じる。
この夏はドラマ版を見返して、あの感動のドラマにもう一度浸ってみたい。
ドラマ版で話題になった、新旧馬締対決。
松田龍平の役柄は、デジタル版「大渡海」の開発者。
映画版を先に観ておけば、、、と思った。