黒木華という女優さんは本当に面白い。

彼女の面白いところは、さほど大きく演技を変えないのに、なぜかそれぞれ異なる個性の(それもクセ強の)キャラクターを演じるところ。

これまで彼女のドラマ、映画は多数見てきたが、どの作品も個性豊かで印象に残る。

本作ではキリっとしたやや世間ずれしていない法曹エリートの坂間千鶴を演じているが、でもどこか可愛らしさ(女性の、ともいえるし、人間としてともいえる)を残しつつ演じるのが彼女流。

いろんな役を見て見たい、と思わせる数少ない女優さんの一人だ。

 

竹野内豊のコミカルな役はさほど好きなほうではないけど、「義母と娘のブルース」での宮本良一役に通ずるような本作の入間みちお役は嫌いではない。いや、むしろ好きだ。

懐の広い大人の男、それもセクシーな、という点で彼はこの世代の最右翼だ。

ちなみに劇場版では斎藤工が重要な役で登場し、MATTの中では「いい声の男対決」と勝手に盛り上がっていた。

 

裁判官が法廷に降りてきて被告人や証言者に説諭するとか、やたらと「職権発動」して裁判所が捜査を行うとか、検察官や弁護士とやたら距離感が近いとか、突っ込みどころは色々あるけど、それはさほど気にならない。

余りある魅力的なキャラクターと、それらを演じる役者の力量でドラマが十分見ごたえあるものになっている。

裁判所の裁判官、書記官に小日向文世、中村梅雀、桜井ユキ、新田真剣祐、水谷果穂。

検察官に升毅、山崎育三郎。そのほかに最高裁判事に草刈民代、最高裁事務総長に石丸謙二朗が控える。

 

原作の浅見理都は最近時、「クジャクのダンス、誰が見た?」がドラマ化されたが、彼女の作品は一貫して「正義と真実を明らかにする」ことが作品のメインテーマとなっている。

本作でも入間みちおと坂間千鶴は、法を尊重し、真実を明らかにしたうえで法の下に公平に人を裁くという、一貫した姿勢とリーガルマインドで職務にあたる。

 

裁判官が弁護士か検察官のような正義感をもって真実を明らかにしていく、というのが相当現実離れしているが、それは一般市民が裁判官こそ人間を曇りの無い眼で見て、裁いてほしいと願っているからこそであり、そこがこのドラマがファンタジーたるゆえんだといえる。

 

全11話、それぞれ魅力的なエピソードだが、ゲスト陣もなかなか多彩だ。

 

1話 勝村政信、松本若菜(まだブレーク前)、萩原莉久、松澤一之

2話 前田敦子、馬場徹、金井勇太、西尾まり、馬場ふみか(千鶴の妹)、渋谷謙人(馬場とは「私の知らない私」で共演)、松金よね子

3話 佐津川愛美、岡田義徳、水間ロン、大河内浩

4話 細田佳央太、前川泰之、夙川アトム また同時期にフジの映画「地獄の花園」に出演していた永野芽郁、広瀬アリス、遠藤憲一がスポット出演

5話 生田絵梨花

6話 バカリズム、山田キヌヲ

7話 岡まゆみ、淵上泰史

8話 朝加真由美、真凛、大谷亮介

10話 板尾創路、銀粉蝶、 

11話 佐々木蔵之介、篠井英介、筧美和子(ちょい役)

また、過去の事件にかかわる人物ということで、臼田あさ美、窪塚俊介、羽場裕一、板谷由香ら実力派俳優もそろい、総じて良いキャストのドラマだ。

 

板谷由香。

河合青葉、片岡礼子、瀧内公美などと並んで大人の女性の魅力あふれる女優さん。

演技力も高いし主役も観たい。「夜明けまでバス停で」は良かったです。

 

劇場版では、吉田羊、宮藤官九郎、平山祐介、向井理、田中みな実、津田健次郎、柄本時生、西野七瀬、斎藤工、尾上菊之助。

八木莉可子がほんとにちょい役で出ていた。

 

ドラマの最終章、劇場版と国家の利権が絡む巨悪事件との闘いが描かれ、それはそれで見ごたえがあるのだが、どちらかというとみちおと千鶴、その仲間たちには、いわゆる「半径5m」の事件、市民の声なき声を拾うようなエピソードの方が魅力あふれていると感じた。

スペシャルドラマはまだ見ていないが、こちらも併せていつか見てみたい。

 

共演美女を探せのコーナー。

9話にちょい役で出ていた、松風理咲。

強い眼をした美少女だったが、所属事務所のスイートパワーのゴタゴタで芸能界引退。

違う事務所だったら、活躍できた逸材だったかも。