最近時、MEGUMIの女優としての才能の爆発がすごい。

特に、「おいハンサム!!」での良妻賢母なお母さん役は、吉田鋼太郎演じる夫・源太郎を上手に掌の上で転がすさまが絶妙で、吉田鋼太郎の演技をMEGUMIが完璧にサポートしていた。

 

このドラマのMEGUMIはそんな「プロ妻」から、やたらとドSなキツイ妻に変貌している。

原作・脚本の足達伸が自分の家庭をモデルにして書いたらしく、彼自身のダメ男っぷりを存分に主人公の柳田豪太に投影しており、風間俊介が好演。

 

タイトルはあまりにストレートすぎなのだが、劇中ではこのタイトル通り、落ち目の脚本家である豪太が、ことあるごとに妻のチカに「おねがい、させて」と懇願する。

なんとも情けないのだが、風間俊介が絶妙な芝居で男の情けない側面を見せてくれる。

 

駐在時代にお世話になり、今でも連絡を取り合う仲の通訳のエイコさんが言っていた言葉を思い出す。

「男はね、みんな犬なのよ。男が家の外でやることはみんなドッグ・アクティビティよ」

ほんまにそう思う。所詮、男はみんな盛りのついた犬とおんなじ。

 

盛りのついた犬の言うことなんか、全然切なくもなんともない。

ほんとに切なかったのは11話、完全に夫婦生活が壊れていた二人が、なぜか夫婦漫才をやることになったお話。

一生懸命二人で練習し、夫婦の関係も少し修復したかに見えたが、本番で豪太が尻込みしてしまい、チカが恥ずかしい思いをしてしまう。

帰り道でこれまで貯めこんでいた感情が爆発するチカ。

「情けないあんたより、もっと情けない自分が悔しい!!」

女にこんなことを言わせてしまう男は、本当に情けない。情けないぞ、豪太。

 

その後、こんな柳田家をネタに脚本を書いてみようと一念発起した豪太だったが、できた作品を懇意にしているプロデューサー(坂田聡)に見せたところ、一言。

「奥さんを丸裸にしてるのに、お前が裸になってないじゃないか」。

同じく作品を見たチカには「あたしだけバカみたいじゃない」。

 

本当に極限まで情けない男だ、豪太。

でもこのドラマを描いた足達伸は、ここまで丸裸になった。そこは自らを投影した主人公・豪太と違い立派といえる。

 

共演は近藤芳正、熊谷真美、吉岡睦雄、内田慈、吉本美優など。

熊谷真美演じる義母とMEGUMIの大げんかは中盤の見どころだ。

 

なんとこのドラマ、映画にもなるらしい。

情けない男と、そんな男に文句言いながらも見捨てない女。

決して表面では仲良く見えない二人なのだが、二人の間にある溝は決して深くはない。

どこかで何かがズレてしまった。でもそれが何なのかは二人で一緒に見つけるしかない。

映画がどんな話になるか知らないけれど、豪太とチカの行く末を見て見たい。