冬ドラマの中ではメッセージ性が強く、硬派なドラマだった。

御上先生を演じる松坂桃李がドラマの初回で、あの国民的教師ものドラマを揶揄するようなセリフがあり、挑戦的だと話題になった。

 

そのためこのドラマは昭和な熱血教師ものを超える、今様の教師ものを目指すのかと思いきや、その実態はマジメに日本の教育制度や子供の未来を考えるお話で、学園の闇を暴く展開も、エンタテインメント性を付加するに過ぎないということに気づく。

 

なんといっても松坂桃李の役作りの熱意と演技は、ドラマの世界を構築するのに大きく貢献していた。共演の吉岡里帆もその熱量をしっかり受け止め、是枝という若く内面に葛藤を抱えた教師を魅力的に演じている。

この二人、「ゆとりですがなにか」でも教師役でお付き合いまでするのだが、今回は(当然)恋愛描写はゼロ・・・・笑

 

強さと儚さのバランスが絶妙。最近時の吉岡里帆は魅力的だ。

 

オープニングは、堀田真由演じる真山弓弦が国家公務員試験の会場で人を刺し殺すという、衝撃の事件で幕を開ける。

前半から中盤にかけては、学園もののセオリー通り生徒たちのさまざまな人間模様に、教師である御上が時に寄り添い、時に一緒に悩み、と人間ドラマとしての楽しみあり、また学園の不正を暴くサイドストーリーがそこに絡んできて、視聴者を飽きさせない。

 

松坂、吉岡、堀田らの熱演も見どころなのだが、生徒たちの演技力にも注目だ。

学園モノといえば、将来有望な若手俳優の登竜門的性格があるが、今回の俳優陣は最近の学園ドラマの中では、かなりレベルが高かった。

 

蒔田彩珠、高石あかり(「わたしの一番最悪なともだち」で共演も、このドラマでは絡みなし)、上坂樹里、永瀬莉子、吉柳咲良、奥平大兼ら実力、実績ともにトップクラスの面々は、さすがの演技であったが、特に蒔田彩珠、吉柳咲良、高石あかりは主演を張れる女優と言って間違いない。

彼らに加え、影山優佳、野内まる(「阿修羅のごとく」で好演)、窪塚愛流(窪塚洋介の息子)、花岡すみれら、これから活躍が期待の若手も多数出演している。

 

蒔田彩珠の成長が著しい。

エキゾチックな顔立ちと確かな演技力が彼女の魅力。

 

最終回は御上先生が何を守ろうとし、何と闘ってきたのかが明らかになる。

ずっと敵か味方かわからなかった北村一輝演じる古代理事長とともに、若く将来のある子供たちのために日本の教育をなんとしてでも正しい道に導かないといけない、という飽くなき理想とそれを実現するという使命感であった。

 

常に考え続けること、答えの無い質問から目をそらさないこと。

教育とは教師と生徒がともに自分の頭で考え、正解の無い問いに向き合う。

それは苦しいことだけれど、それが世界を変えていくきっかけとなる。

 

毎回、教育や政治、国の未来について考えるための素材が多数ちりばめられていて、ドラマの主人公たちと考えることができた。

 

共演、脇を固める俳優陣はさすうがTBSと思える豪華さだ。

岡田将生、臼田あさみ、迫田孝也、林泰文、常盤貴子、及川光博といった面々。

特に岡田将生をこんな贅沢に使うか、とも思うが岡田も「ゆとりですがなにか」で、松阪、吉岡と共演していたのは興味深い。

その他ゲストは、知花くらら、山田真歩、井上肇、梅沢昌代、和田聰宏ら。

 

TBSのドラマはメッセージ性とエンタメ性を融合させる、その匙加減が絶妙である。

90年代で時が止まっているフジ、長寿シリーズモノでしか勝負できないテレ朝、某アイドル事務所との蜜月が長かったせいで、偏った作品しか作れない日テレ。

このままでは、民放では永遠にTBS、テレ東には勝てそうもない。

もちろん、NHKドラマのクオリティには足元にも及ばないのが現状。

 

配信系もあるし、本当に一部の地上波ドラマはこのままだとヤバいかもなあ。。。。