原作の著者・池永陽は愛知県出身だが、現在はMATTの母親の故郷・岐阜県山県市在住だそう。
2014年のNHK BSプレミアムドラマ。
11年前なので当たり前だが、出演者が皆若い。
また、当時の世相を反映しているというか、現在のNHKドラマのように重いテーマ性を前面に出すわけでもなく、懐かしい感じのする人情ドラマだ。
宗田行介役の高橋克典は、「特命係長 只野仁」シリーズが大好き。
今でも渋いが、あの頃の高橋克典は本当にかっこよかった。
行介という男を演じるにあたって、高倉健をイメージしているように思えた。
高橋克典の表情や語り口に、往年の健さんを垣間見た気がする。
共演する柏木冬子に木村多江。この年代で好きな女優さんの一人。
この二人は2019年のドラマ版「後妻業」で共演していた。
ちなみに南野千果役の倉科カナは、高橋とはNHK「正直不動産」では社長と部下の関係だ。
先に書いた通り、物語はいわゆる人情ドラマ。
ただ原作では多くの登場人物が描かれているらしく、一方ドラマは5話完結なので各人物像の掘り下げが浅くなっている可能性がある。
事の重大さに大小はあるものの、過去に過ちを犯した普通の人たちが人生をやり直すためにもがく、という群像劇なので全10話くらいでじっくり描いてもらえたら、もう少し物語に没入できたかもしれない。
NHKらしく出ている俳優陣が渋いので、よりそう思った。
小林稔二、岩松了、長野里美、八嶋智人、渡辺えり、津田寛治、吉行和子、西尾まり、有森也実、徳井優、藤吉久美子ら、いつも通り手堅いキャスト。
美山加恋や、岡本玲といった当時の若手女優陣。
壇蜜はおでん屋の若女将役で、いい雰囲気。演技もしっかりしている。
各エピソードではやはり小林稔二が印象に残る演技で魅せてくれた。
寝たきりの妻を看護する元刑事役だが、有森也実演じるスナックのママに惚れて、温泉旅行に行っている間に妻の具合が悪くなり、飛んで帰って自分の不義理を詫びるというお話。
刑事の夫を長年献身的に支えた妻。今度はその妻の看護を懸命にやってきた夫だが、人生に疲れてつい魔が差した。。。
そんな男の人生が見えるようにリアルに演じるところがさすが。
長らくバイプレイヤーとして様々な役を演じてきたキャリアが作る円熟味、役者としての懐の深さを感じる。
個人的には「窓際太郎の事件簿」シリーズが大好きだが、、、、笑
「窓際太郎の事件簿」。名作です。
このドラマと並行して「TRUE COLORS」を観ていたので、11年前の倉科カナちゃんと現在を見比べて感無量。あんなにキャピキャピしていた女の子が、今は大人の魅力あふれる女性に変身。でも若い頃の倉科カナも、確かな芝居で実力はしっかり備えていたと再認識した。
倉科カナ。この頃は可愛い、今は美しい。
原作と少し違うのが行介が人を殺してしまった理由と背景。ドラマ版の設定がなぜ変えられてしまったのかがわからない。ドラマ版での事件の背景が無理があり過ぎて感情移入しづらく、そこだけ残念だった。
最近のドラマは伏線・考察ブームがちょっと行き過ぎている気がする。
秋元康の一連のドラマ以降、その傾向が強くなったのだろうか。
この頃のドラマはその点シンプルだ。
考察ブームに少し食傷気味の昨今、11年前のこんなドラマを懐かしく感じる。