NHKオンデマンドに入ったから観ることができた。
ずっと観たかった作品だ。
コロナ禍、シングルマザーとして奮闘する一人の女性が、ひょんなことから宅配便のドライバーをやることになり、自分の人生を変えていく物語。
仁村紗和は「SHUT UP」でも貧困に苦しむ女子大生を演じていた。
彼女もまた幸薄い系の最右翼のような女優さんだ。
2021年~22年のコロナが蔓延していたころの尼崎が舞台。
出演者はみんな関西出身の役者さんだ。
山崎亜子=仁村紗和(大阪市枚方区)
咲妃(娘)=毎田暖乃(大阪府)
美里(亜子の母)=キムラ緑子(兵庫県洲本市)
勤め先のマルカ運輸の主な面々
社長の葛西信夫=岡部たかし(和歌山県)
ミネケン=佐野昌哉(兵庫県西宮市)
武田=津田健次郎(大阪府)
副社長=南海キャンディーズの静ちゃん(京都府福知山市!)
と、見事な関西出身役者のオンパレードのおかげで、自然な関西弁が展開されて観ていて安心できる。もちろん、その他の出演者も関西の役者さん。
徳井優、ゆうちゃみ、阪田マサノブ、アジアンの隅田らが出ている。
母の美里のお好み焼き屋の常連は吉本新喜劇の鳥川耕一、漫才師の海原はるか。
この二人のコテコテの関西人がよりシーンをリアルなものにしている。
2021年ころの日本はコロナ禍の緊急事態宣言で大変な時期だった。
同時期に日本にいなかったMATTは、だからこそこのドラマを観て感慨深かった。
アメリカも大変な時期ではあったが、日本人のように皆が必死に頑張って我慢するような雰囲気ではなかった。
劇中の亜子は、娘を育てるためキャバクラ嬢となるもコロナの緊急事態宣言で店が休業し職を追われる。30近くなった彼女を雇ってくれる店も少ない。
そんな時、客だった宅配便会社社長の葛西に誘われて宅配便のドライバーになる。
最初は弱音を吐き、すべてをコロナのせい、誰かのせいにしていた亜子だが武田をはじめとする同僚たちの支えもあり、やがて前向きに生きていく決意をする。
中でも亜子に想いを寄せるミネケンとのやり取りが心に刺さった。
いつも自分のキャパ以上に頑張りすぎる亜子に、たまたま目にした頑張らない亜子の姿が素敵だったと伝える。
その言葉に涙する亜子。
頑張らないでいい、時には自分に、他人に甘えてもいい。
コロナで大変な時代、歯を食いしばって生きた人たちの心には強く響いた言葉ではなかっただろうか。
コロナ禍で人と人のつながりが希薄になった中での、温かい人の心や亜子のように苦しみながらも前を向いて生きる人間模様が涙と笑いを交え描かれ、非常に質の高い人間ドラマだ。
特に、山崎家の女三人の家族愛は3人の世代の違う女優三人の演技力によって感動を呼んだ。主演の仁村紗和はこのドラマで注目され、キムラ緑子の卓越した表現力、そして子役として天才的な演技で魅了する毎田暖乃と、キャスティングが良かったと思う。
最後に。。
(当たり前だが)かなり多くのシーンで宅配の仕事が映し出される。
高校・大学と郵便局でバイトして、配達の苦労と楽しさを知った身としては感慨深かった。
郵便局も宅配もたまに不祥事があるが、多くの配達員はプロ意識をもって職務に就いている。自分も含めてだが、配達員の人たちには必ず一言お礼を言うようにしたい。