かみさんがNETFLIXのお勧めにあがったのを観ていたので、ついつい一緒に観始めてしまう。ここのところ過去観てよかったドラマをもう一度観なおしているが、このドラマもその流れに乗ってしまったようだ。

 

アメリカ駐在時代の2年前に観て、いたく感動。

良いドラマは二度見ることでまた新たな発見がある。

2年前に観た時は母子の愛の軌跡に感動したのだけど、今回はまた違った観点で感動・感心できた。

 

「mother」で血のつながらない母子の愛や母性についていろいろと考えさせられた。

思えば本作もベースになるのは血のつながらない母子の愛憎劇だ。

「mother」では虐待を受ける少女を、母性など無いと思っていた担任教師の女性が救おうとすることで、他人同士の母子の間に強い愛情が芽生えていくという物語。

 

一方、「ぎぼむす」ではどうか。

竹野内豊演じる宮本良一から突然、自分が死んだ後の娘を見守ってくれといわれて偽装結婚するキャリアウーマンの女性=岩木亜希子が、自分の幼少時代の悲しい記憶を埋めるために良一の娘の母親になる決心をする。

しかし、お互いに距離のあった母子関係が近づいていくにつれて、血のつながった親子よりも濃い人間関係が形成されていく。

 

どうも人はこういう設定に弱い。それはなぜかと考えてみる。

家族、親子というのは血がつながっているから愛情で結ばれている、というのは当然なのだろう。でもそれって本当だろうか。

血がつながっているからこそ、実は距離ができたり本当のことを言えなかったりということが多いのではないか。

だからこそ、血縁関係のない親子に、ある種の憧憬というか幻想のようなものを感じるのかもしれない。

 

主演の綾瀬はるかの、徹底的に時代劇風のセリフ回しで亜希子を演じ切った演技力はもとより、竹野内豊のキャスティングもハマっている。このドラマの良一役は竹野内をイメージして作られたのでは、と思わせるほどだ。

 

今回あらためて気づいたことは、成人した宮本みゆきを演じる上白石萌歌ちゃんの良さを引き出す幼少期役の横溝菜帆の存在が大きいことだ。

非情に感情表現豊かな子役で素晴らしいと思っていたが、彼女と萌歌ちゃんがしっかりと同期した役作りをしているおかげで、変わらないみゆきと成長したみゆきを見られ、ひとりの少女の成長譚がドラマの奥行を深くしている。

 

横溝菜帆。6話までのこの子の演技が、その後の上白石萌歌の演技を引き立てている。

 

その彼女だが最近ネットであの子役がこんなに成長した、みたいな記事で出ていた。

 

なんともう16歳。まさにリアル版「ぎぼむす」。

映画「魔女の宅急便」で、キキ(小芝風花)の少女期役もやってたらしい。

 

共演者についても実力ある役者を揃えていることも再認識した。

レギュラーの佐藤健や麻生祐未、井之脇海はもとより、浅野和之、浅利陽介、宇梶剛、奥貫薫、川村陽介(「mother」にも若き日の彼は出演)、阪田マサノブなどの準レギュラー陣、ゲストでも林泰文、中村アン、以前も書いたがブレーク前の古川琴音など。

 

脚本の森下桂子の手腕によるところも大きいと思うが、普遍的なテーマを絶妙なタッチで描いた漫画原作者の桜沢鈴も素晴らしい。

調べてみると寡作の人のようだが、一作でもこんな素晴らしい作品を書いてくれてありがとうと言いたい。

 

MISIAの「アイノカタチ」のイントロで、パブロフの犬のようにウルウルしてしまう。

何度でも見返したくなるドラマだ。