松本若菜の快進撃が止まらない。
2022年「やんごとなき一族」以降、女優人生が開花した。
それまでの出演作を見てみると結構いろんな役で登場しており、苦労人ぶりがうかがえる。
そんな彼女の主演ドラマを「西園寺さんは家事をしない」に続いて観てみた。
今回のドラマは「西園寺さん~」から一転してシリアス調。
カッコウの托卵をモチーフに、今の夫と違う男の子供を産んで育てていく女性の物語り。
テーマの斬新さは無いが、出演者の演技力と驚くほどの速い展開(1話で3話分くらい進んでしまう・・・)で、視聴者をくぎ付けに。
ただ展開の速さはもろ刃の剣で、ストーリーと人物描写にかなり無理が生じて、見方を変えるとコメディにもなりかねない作りだったのが残念。
でも、それはそれとして観れば意外に楽しめるドラマであった。
松本若菜は「西園寺さん~」で見せたようなコメディエンヌの側面も、今回のような憂いを帯びた表情もどちらも魅力的な女優さんだ。
おそらく彼女主演でなければ最後まで観ていなかったと思う。
落ち着いた低いトーンの声、美しい横顔、どこを切り取っても絵になる女優さんで、若い頃にない魅力が出て来たからブレークしたのだろう。
ネットでも書かれているように登場人物の心理描写があまりに謎なのだが、それも無理もない。観るものを飽きさせず速いストーリー展開にするためには、そうせざるを得なかった。
序盤、あれだけDVだった夫の神崎宏樹(田中圭)は美羽(松本若菜)が子供を産んだ途端、急に人が変わったように優しい夫に戻る。そりゃ、仕事のプレッシャーで病みかけていたから仕方ないとはいえ、丁寧な心理描写の無いままなので違和感大。
急に美羽と宏樹の夫婦問題に介入して家庭をぐちゃぐちゃにしたあげく、その後すぐに美羽と仲直りしてしまう(美羽も美羽だが、、、)親友の真琴(恒松祐里)や、冬月のことを密かに思う同僚の水木莉紗(さとうほなみ)が美羽を罵倒するなどは、そこまでやるかね(人格破綻者?)、、、、というような行動。
ちなみに、、、
一度きりの過ちの末、美羽との間に子供を作ってしまう、かつての恋人・冬月稜(深澤辰哉)は、キャスティングミスではないかと気になる。
さすがに松本若菜の同級生というにはしんどい。
せめて30代後半~40代の少し大人な俳優を持ってきてほしかった。
そんなとんでも脚本・演出なのだが松本若菜のはかなげで幸薄いオーラに支えられて、なんとか10話で完結することができた。
最後は美羽と宏樹が将来、成人した娘に自分たちのこと、娘の本当の父親のことをしっかり話そうと誓ってのハッピーエンドだが、大丈夫だろうか、、、と心配になってしまう。。。笑
共演者は美羽の母親に多岐川裕美、安井順平、西垣匠など。
唯一、このドラマでまともな人(いで立ちはまともに見えないが)の喫茶店マスター・浅岡忠行に北村一輝。チャラいオッサンからかっこよい色気ある男まで幅広い演技が素晴らしい。
彼が迷える登場人物たちの灯台として存在することで、視聴者は興ざめしてしまうことなく、ドラマに没頭することができた。
それにしてもこのドラマ、あの秀作「あなたがしてくれなくても」の脚本家とプロデューサーが再びタッグを組んだというので期待して観たのだが、かなり劣化していて驚いた。
フジテレビ、、、昔は日テレとともにいいドラマ作ってたのになあ。。。。