「舟を編む」が本当に素晴らしかった三浦しをん原作のドラマ。
テレ東で2019年に放映された2時間のスペシャルドラマなので、なんとなくあっさりとまとまった感じ。
手堅い吉田紀子の脚本ということもあるのと、演じた女優が実力派ぞろいだったので、しっかり楽しめる佳作となっている。
阿佐ヶ谷の古い屋敷に暮らす女主人の牧田鶴代に宮本信子。
その娘の佐知に中谷美紀。
大きな屋敷に住むお嬢様の役に、これほどぴったりの配役もないだろう。
その屋敷に血縁のない女性が二人同居している。
佐知の友人・谷山雪乃に永作博美、その友人・上野多恵美に吉岡里帆。
気の強いちゃきちゃきの女性役に、永作博美はジャストフィット。
そしてやや不思議ちゃんというキャラに吉岡里帆は適役だ。
共演に田中泯、要潤、前原晃、井上肇など。萩原聖人がナレーターで参加。
こうしたキャスティングの妙も相まってドラマはスムーズに進行していく。
4人の女性が一緒に暮らす日常の中で、徐々に牧田家の秘密が明らかになっていく。
その秘密が本作のテーマにもなっていると思える。
小説を読んでみないといけないと思ったのは、2時間のドラマにどれだけそのテーマが表現されていたのかな、ということ。
男と女の幸せに対する考え方や想いの違い。
そこに横たわる永遠に埋まらない溝。
NHKドラマの「舟を編む」は連ドラで、人間の感情や行動が非常によく掘り下げられて描かれていた名作だったので、このドラマもシリーズでやるべきだったのではないかと感じた。