たまやんのお勧めということで観てみた。

 

草彅剛くん主演だが、それほど出番は多くない。

この映画の草彅くん、なんかかっこいい。

いつもはアイドルなのに微妙な感じ(失礼・・・笑)なのだが、今回は大人の男の色気があり、なんか違う雰囲気だった。

 

ストーリーは冒頭からまんま「スタンド・バイ・ミー」である。

草彅くん演じる久田の職業が作家で、小学生のころのひと夏のエピソードというシチュエーションもどこかあの名作を彷彿とさせる。

 

主演の男の子2人は実は演技初経験だったそうだ。

今回はむしろそれがいい方向に作用していた。

演技巧者な子役だったら、この何とも味わい深い感じは出なかったろう。

少年時代のひと夏の思い出、決して二度と戻らないあの日。。。。

その切なさが二人の拙い演技からじわじわと感じられた。

 

ストーリーに奇抜さや伏線回収などは、正直言ってない。

実に普遍的で奇をてらうこともなく、どこにでも転がっているような平凡な物語だ。

だけど、見終わってみるとなんだか心があったかくなっている、そんな不思議な映画。

それもこれも、少年時代の大切な友達との何でもない日々、その中に少しだけあったドラマをただただ純粋に描いているからなのだろうか。

 

草彅くん演じる久田の少年時代、母親役に尾野真千子(彼女の演技がまた素晴らしい)。

父親に竹原ピストル。ここはあえてバリバリの俳優でないところがいい。

福地桃子、貫地谷しほり(彼女、若い頃より最近の方が味がある)、村川絵梨、泉澤祐希らが脇を固める。

岩松了がとてもいい存在感を発揮している。

MATTは常々、吉田鋼太郎のようになりたいと思っているが無理なので、岩松了を目指そうと思う。。。笑

 

昭和の食卓。こんな情景を懐かしむのも40代半ば以降かな。。。

 

劇中、主人公の久田とその友人の竹本がイルカを見に小冒険に挑む途中、出会った美少女の由香役に茅島みずき。彼女の瑞々しいお姉さんっぷりが、これまたよい。

少年時代の久田は、由香に憧れとも恋心ともつかない感情を抱く。

少年にとって初めての感情だったのだろう。

家に帰った夜、久田は好きだった斉藤由貴(MATTも好きだったぞ・・・ww)のポスターをはがす。少し大人になった瞬間だった。

 

茅島みずき。舞台である長崎出身。

小学校の頃にこんな感じのお姉さんがいたら、そりゃ惚れるよねえ。。。

 

竹本の母親(貫地谷しほり)が不慮の事故で亡くなることから、貧しかった竹本一家(5人兄弟)は、それぞればらばらに親戚に引き取られていく。

ちょっとしたことでわだかまりの感情を持っていた久田は、竹本が町を去る日に急に思い立って駅に向かう。手にはかつて竹本が食べさせてくれたサバ缶寿司に使ったサバ缶があった。

 

このシーン、なんてことないのに思わずジーンと来て不覚にも涙してしまった。

おそらく、多くの男たちにとって子供の頃に何かしか似たような経験があるのだろう。

そういった感情が一気に来てしまったのかもしれない。

 

シンプルでストレートなストーリーと、長崎の田舎町の美しい風景。

誰の心にもある原風景が、懐かしさとともに切ない記憶をほじくり返してくる。

何気なく観た映画だったが、心に残る作品となった。