アンブロックでは2話でupが終わってしまっていたので、NHKで再放送をすると知って嬉しかった。
通称「かぞかぞ」は、岸田奈美原作のエッセイをもとに、大九明子の脚本でNHKがドラマ化。
今やすっかりブレイクしてしまった河合優実が主演だ。
河合優実という女優さんは、あの「アンニュイ」な雰囲気のまま様々な役を演じ、それが全然どれも河合優実にしか見えない、とはならないところが不思議だ。
キムタクが全部(いい意味でも悪い意味でも)キムタクになってしまうのとは違う。
そして、どの河合優実もその役を実にかっこよく演じる。
若いのに、本当にかっこよい女優さんだ。そこが彼女の好きなところだ。
河合優実演じる岸本七実の家族は、世間的にみると悲惨かもしれない。
父親の耕助(錦戸亮)は突然他界、母のひとみ(坂井真紀)も病気で車いす生活となってしまう。弟の草太はダウン症(本当にダウン症の役者・吉田葵が演じている)、祖母の芳子(美保純)は認知症を患っている。
だが、彼女はあっけらかんという。
「うちの家族は全然かわいそうとちゃう」
ちなみに河合優実の大阪弁は完璧ではないものの、全然違和感ない。
むしろ本当に大阪出身かと思ってしまった(出身は東京)。
彼女の総合的な演技力の高さに脱帽。
彼女にとって家族とは唯一無二であり、他人の家族と比べるものではない。
比べるものではないので、彼女にとっては自分の家族がどうあろうと、それを受け入れるとかどうとかではなく、すべてが日常であり人生なのだ。
それほど強い絆で結ばれているのが七実にとっての家族であり、タイトルが表している通り家族は後付けの定義に過ぎない。
オープニングの2話は七実のユニークな語り口や家族のエピソード、そして福地桃子演じる天ケ瀬環(あだ名=マルチ)とのやり取りで、コメディ要素が強くぐっと引き込まれていく。
しかし中盤以降は家族にまつわる重いエピソードが目白押しで観ている自分が七実とシンクロして、正直観ているのが辛い話もあった。
福地桃子。バイプレイヤーとして着々と地位を気づいていると思う。
だが七実が壁にぶつかり挫折するたびに、家族に救ってくれる。
別に家族が七実を応援するわけでも、サポートするわけでもない。
家族の存在が七実を奮い立たせる。七実の背中を強く押す力になる。
七実が家族を深く愛する一方で、家族も七実を愛しているのだ。
最終話、たびたび妄想で現れる耕助が七実たちの前に現れる。
耕助は家族を鼓舞しようと、「大丈夫、大丈夫」と繰り返し言う。
七実はそれに対し「ばあちゃんと草太は大丈夫。でも母ちゃんと自分は大丈夫やない」と本音を言い、「大丈夫やないから頑張る」と伝える。
でも、、、、
七実がそう言えるのも常に家族のことを「大丈夫」、と見守る耕助の存在があったからだろう。
耕助の家族を思う深い愛に、涙してしまうとても良いシーンだ。
錦戸亮は、「離婚しようよ」「不適切にもほどがある」とクドカンドラマで存在感を示していたけど、このドラマでは一味違った演技を見せて、なかなか上手いなあと感心した。
本作は草太役の吉田葵くんがとてもよい。
純粋でその発言や行動に癒される。耕助役の錦戸亮のことをドラマの途中までは彼にしか見えない。家族には見えない父親と遊ぶ姿を家族は「草太にはお父ちゃんが見えるんや」というシーンがじ~んとくる。
共演者は奥野瑛太、名村辰、片桐はいり、古館寛治、山田真歩、岡野洋一、片山友希、林遣都、根岸季衣、原扶貴子、早織、黒田大輔、綾田俊樹などバラエティに富んだ配役。
家族をつなぐアイテムに、真っ赤なボルボ240GLが登場する。
最近のワゴンはかっこよくない。
この頃のワゴンがかっこいいのは、リアオーバーハングがビュン!と長いからだ。
ワゴンがワゴンらしいスタイルだった頃の車。それが240GLだ。
最期に、共演美女を探せのコーナー(久しぶり)。
林遣都の同僚の齋藤可奈役の椛島光。
ルックスがすごくよいし、演技もなかなか。
今後活躍するか見守りたい。
椛島光。こんな美女が埋もれたままのはずはない。演技もよいので活躍を期待。