最期に朝ドラ(正しくはNHK「連続テレビ小説」という」)を見たのは、2018年上期の「半分、青い。」だった。
朝ドラは、ちょっとでも見てしまうとそのままずるずると最後まで行ってしまうので、気を付けて観ないようにしていた。
だが、今回はついつい観てしまう。
伊藤沙莉主演、脚本が「恋せぬふたり」がとても素晴らしかった吉田恵里香、そして主人公のモデルが明治大学卒で日本初の女性判事となった三淵嘉子(つまりMATTにとって大先輩)だ、というのが揃っていたためだ。
もう一つ、土村芳、黒木華、大西礼芳らと同じ京都芸術大学卒の土居志央梨が出ている、というのも決め手であった。
ずっといい女優さんと思っていたが、このドラマの山田よね役で一気に有名になってくれて嬉しい。
土居志央梨。「リバーズ・エッジ」で印象に残ったが、その後目立った出演もなく。
今回は男装の役だったが、彼女はどちらかというとフェミニンな役が多かった。
毎週5日分を録りだめして、週末に一気見していたのでストーリー展開はよく理解できた。そして、法律をテーマにしたドラマながら、吉田恵里香の脚本らしく社会で孤立し奮闘する人たちに対する優しい眼差しが感じられ、毎回ほっこりとさせられた。
昭和初期から戦前戦後、最後は平成の時代までを一気に駆け抜けて、壮大なストーリーとなっているが、一貫して「法律とは何か?」を視聴者に問いかけている。
我々が生きていくうえで法律は欠かせないものだし、法治国家に生きている以上、知らないでは済まされない。だが現実生活で法律を意識することは、そうない。
三淵センパイの学んだ大学で法律を少しかじった程度のMATTであるが、それでもいわゆるリーガルマインドは身に着けたと思っている。
常に法的思考を持つことは、自分の中で法律と人間の営みの密接な関りを意識することになる。
毎回、毎週、伊藤紗莉演じた猪爪寅子の「はて?」を見ると、そこで立ち止まり法律を、社会を考える機会をもらえた。
この日本で戦前より変わったこと、変わっていないことは何か?
最終話で寅子やよねが桂場(松山ケンイチ)に詰め寄ったシーンが印象深い。
何も変わっていない世の中のように見えるが、その世の中を変えようとする一人ひとりの存在こそが尊く、寅子やよねがこれまでどんな屈辱に出会っても、失敗し倒れても、前に進んできたことの意味がこのシーンに集約されていて、感動した。
主題歌は米津玄師の「さよーならまたいつか!」。ドラマの世界観をポップに表現した名曲。
また劇中の引用曲では、仲野太賀演じる佐田優三と寅子のシーンなどで流れた「You are so amazing」の美しいメロディもドラマを大いに盛り上げた。
役者陣、脚本、音楽、すべてが完璧に揃った、近年の朝ドラの中でも高いレベルの名作だったと思う。