絶対面白いと思って勝手にハードル上げていたけど、全5話見終わっての感想は想像以上に楽しめる一品だった。

 

80年代といえば男子も女子もプロレス黄金期である。

当時を思い返せば、MATTだってプロレス技やスター選手に熱狂し毎週TVの前にくぎ付けになった世代だ。

 

NETFLIXの豊富な資金で、時間をたっぷりかけて一流のスタッフをそろえて作った作品。面白くないはずがない。

鈴木おさむの企画・脚本は的確で、キャスティングも要所を抑えた見事な配役。

ダンプ松本を演じたゆりやんレトリィバァのダンプの再現力は想像を超えているし、色々あって苦悩の日々を送っていた唐田えりかの文字通り体を張った演技に脱帽。

もうひとり、こちらも色々あった剛力彩芽も唐田とともにプロレスラーに見える動きと体つくりで、真剣勝負の出演。

スタッフと俳優が渾身込めて作ったドラマだからこそ、の素晴らしい作品だった。

 

時は昭和50年代~60年代。

なんでもありで、今からは考えないくらい酷いことが通用した時代だったが、一方で今のように息苦しいルールや環境が存在しておらず、みんなが自由にモノを言い、行動できた時代だった。

 

だからこそ、長与千種やダンプ松本のように苦しい境遇で育った少女たちが、夢をつかむチャンスがそこにあったし、苦しみながらも頑張ったものたちには、それ相応のご褒美を掴める時代だった。

 

たった5話だが、一気見できるほどの迫力なのは、なんといってもリング上でのプロレスシーンが本当に迫力満点だったからだ。

同じNETFLIXの「サンクチュアリ‐聖域‐」と同じく、出演者たちが本物クオリティを再現すべく、時間をかけて体力と技を学んだからにほかならない。

 

こういうシーンの一つ一つが本当に真面目に作られている。

 

ビューティペアのジャッキー佐藤(鴨志田媛夢)とマキ上田(芋生悠)はじめ、クラッシュギャルズもデビル軍団も、極悪同盟も皆、あの頃を想起させる佇まいでファンならずとも満足できた

ジャガー横田役の水野絵梨奈は石井杏奈と同じE-Girlsのメンバー。

デビル雅美の根矢涼香や、大森ゆかりの隅田杏花らも、雰囲気あってよい。

 

芋生悠がプロレスラー役をするとは、、、意外なキャスティングに心ときめいた。

 

それから昭和時代の興行師の怪しげな雰囲気も、全女の社長・松永高司(村上淳)、松永俊国(斎藤工)、松永国松(黒田大輔)らが、うさん臭さ満開で演じていて、この3人がいてこそ昭和の混沌とした興行の世界を活き活きと体現していると思う。

 

MATTが暮らしていた大阪市内では、毎日のようにバンが街中を走り回り、ストリップやプロレスの宣伝をしていた。あの猥雑な感じは今では見られなくなったが、このドラマを観て久しぶりにあの頃のことを思い出し懐かしくなった。

 

極悪レフェリーで有名だった阿部四郎を音尾琢真が怪演していたり、ダンプの母親を仙道敦子が熱演していたりと、脇を固める俳優も一流だ。

 

「極悪女王」は、今、あらためて振り返り見直されている昭和の時代の良い部分を思い返させてくれた。

それは、コンプライアンスや社会の決まり事の順守が薄かった(存在しなかった?)時代、確かに滅茶苦茶だったかもしれないが、人々が活き活きと自分の思うままに自由に生きていた現実。

単なる郷愁に過ぎないのかもしれないが確かにそこにあった時代であり、こういったドラマが今求められているということに、あの時代は間違っていなかったのではないかとも思う。

錯覚かもしれないが。。。

 

現代にもあの頃の長与千種やダンプ松本のような人たちはいるのかもしれない。

大事なのは、こんな時代でも悩み苦しむ若者たちが、現状を打破しようと思ったらそれが実現できる時代であってほしいと願う。

 

なんか、このパターンならいくらでもNETFLIXでドラマにできそうなネタがあるのかも、と思ってしまった。まだまだ楽しみなコンテンツが出てくるのを期待できそうだ。

 

唐田えりか。剛力彩芽ともに演じたクラッシュギャルズは最高。

純粋にかっこよかった。

女優としての彼女の実力は折り紙付き。早く戻ってきてほしい。