阪元裕吾監督が、「ベイビーわるきゅ~れ」(以下、「ベビわる」)より少し前に撮った作品。

アマゾンPrimeにあったので早速観てみた。

 

高石あかりや伊澤彩織の二人が殺し屋として出演(ただし、ちさととまひろ役でのパラレルワールドの設定ではない)、「ベビわる2」でも出演していた渡辺哲もスナイパー役で登場。

 

福士誠治が主演だが、彼にとって初の映画主演作とは意外だった。

もっと評価されてもよい役者さんだと思うのだけど。

 

ヒロインのJK役に芋生悠というのが、ファンとしては嬉しい。

その佇まいからお嬢様役が多い彼女、今回は表の顔は事業家、裏の顔は反社のドンという父・真島善喜(山路和弘)の娘として出演。

可憐な佇まいで、悪いやつらばかり出てくる中唯一の善人として光っていた。

芋生悠。彼女の魅力は清楚と妖艶を持ち合わせているところ。

なかなかこういう女優さんはいないと思う。

 

86分の短い尺の中で、テンポよくストーリーが展開されていく。

アクションと暴力、銃撃戦に血、と彼の作品を観ていると北野武作品を想起させる。

本人は特に影響を受けたということは言っていないようだが、忌むべき暴力表現が連続しながらも、作品に没頭してしまう巧みな演出や、カメラワーク、カットに共通点を感じてしまう。

 

ストーリーはシンプルなだけに、いかにアクションとキレのある演出を見せるかが勝負で、舞台もほぼ学校のみと予算も限られた中で十分に楽しめる一品となっている。

 

ブレイク前の一ノ瀬ワタルや前野朋哉、浪岡一喜(結構つまらない役、、、)、主人公である深見を演じる福士誠治の父親役で野間口徹らが出ている。ほぼその他出演者は無名であるが、ヒロインの幼馴染・ヒロ役の伊能昌幸は、阪元監督と同じ京都芸術大学卒でアクションが得意な俳優さん。面白い存在かも。

 

前野朋哉は、悪人ばかりの中でこいつが最も悪い奴、という役柄。

父親である真島もワルだが、真島に比べるとおよそ人間的な感情が欠落している前野演じる本田優介の方がよほど悪人だろう。

 

また「ベビわる」のちさと&まひろの高石/伊澤コンビも出てくるが、こちらは「ベビわる」のような異常な強さは持ち合わせず、あっけなく深見にやられてしまう。

それでも伊澤のアクションはここでもキレを見せ、さすがだ。

この作品では二人とも元JKではなく、JKそのもの。

 

阪元作品はこれで3作連続で見た。

3作品も見ると、監督の描く世界やメッセージが見えてくる。

それは表社会と裏社会、成功者と敗北者、搾取するものとされるもの、など社会の中の対立構造なのか。

もう少し彼の作品を観てみたい。