ベンチでのシーンはキュンキュンきて良かった・・・。
目黒蓮の体調不良で急遽、本編9話に変わり放映されたこのお話は、古川琴音演じる水季と、池松壮亮演じる津野の、はかなくも切ないラブストーリー。
1時間という枠に、実力ある役者が演じる恋物語は胸の奥深くに刺さる佳作だった。
今、一番旬の若手脚本家・生方美久による「海のはじまり」は、目黒蓮/有村架純の二人が主人公だが、古川琴音と池松壮亮の2人のドラマのことがずっと気になっていた。
生方美久が尊敬する坂元裕二の作品は、4人の男女の群像劇が多い。
「silent」や「いちばんすきな花」もそうだったように、本作も4人の主要な男女が物語を紡いでいく。表の主人公が夏(目黒蓮)と弥生(有村架純)なら、裏の主人公が水季と津野だ。
古川琴音は「大」ブレイクしていない20代の女性の中では、最も実力のある女優さんだとずっと思っている。
北香那や小野花梨らもそのポジションにいると思うが、古川琴音はちょっと頭一つ抜きんでている。
このドラマをきっかけに、連ドラで主演を。。。
濱口竜介の「偶然と想像」はぜひ見てもらいたい一品。
本編でも有村架純を食ってしまう演技で、MATTのようなファンにとっては嬉しいやら(架純ちゃんが目立たなくなってしまうようで)悲しいやら。
ちなみにこの二人、「コントが始まる」では姉妹役、「前科者」では保護司と更生を目指す少女、という役で過去に2度も共演している。今回は役柄上、顔を合わすことはないのだが。
古川琴音は極端な強気と弱気がアンバランスに共存している、危うい水季という一人の女の子を見事に演じている。
セリフ一つ一つの重みや、目の動き、そして声のトーンなど、本当に繊細な演技をしている。
演技を見るのが楽しい俳優さんは、そんなにいない。
そんな彼女をしっかり、どっしり受け止める池松壮亮の役者としての深さも素晴らしい。
若い目黒蓮ではさすがにこうはいかないと思う。
『恋のおしまい』は、短編映画を観ているような上質なラブストーリーだった。
それは一人の強くて弱い女の子が最後まで自分に正直に生きた姿と、それを受け止める大きさを持った男の覚悟を描いた、美しい物語。
本編は残すところ4話となり、いよいよ佳境に入ってくる。
あと一か月は楽しめそうだ。